12月22日 H株「中立」 A株「中立」
銀行業監督管理委員会、地方政府への融資のリスク管理を強化

中国銀行業監督管理委員会(CBRC)は、地方政府がプロジェクト資金調達のために設立した特別目的会社向けの融資について、リスク管理を強化するガイドラインを発行した。ガイドラインは特別目的会社向けの債権を5種類に分類した上でリスクごとに規制を明示している。主な規制は以下の通り。
◇元利に対するキャッシュフロー、政府保証、担保の割引価値が120%未満のプロジェクトは「要注意」、80%未満のプロジェクトは「問題」に分類。
◇キャッシュフロー・カバレッジレシオに応じ、債権を「フルカバレッジ」「ジェネラルカバレッジ」「パーシャルカバレッジ」「ノーカバレッジ」に分類。それぞれのリスクウエートを100%、140%、250%、300%に設定する。

ガイドラインの施行中も、プロジェクト、不良債権、担保の評価について、さらなる定義の明確化が求められる。

今回の規制は銀行の自己資本比率(CAR)に影響する。BOCIの予想では、上場銀行の2010年末のCARは平均して前年を0.6ポイント下回る。特別目的会社向けの債権に対するリスクウエートが上昇すれば、中国民生銀行(01988)、深セン発展銀行(000001)、中国工商銀行(01398)など一部銀行の自己資本比率が低下する見通し。これらの中には自己資本比率維持のため、さらなる増資を検討せざるを得ない銀行もあるが、増資はバリュエーションの低下を招く可能性がある。

不良債権比率への影響も懸念される。ただ、上場銀行の2010年末の不良債権比率は前年を上回るものの、安全な水準を維持する見通し。

今回の規制が上場銀行の資本および資産に与える影響を判断するには、BOCIの手元情報が限られており、各行とのさらなる対話が必要。BOCIは、規制が銀行に急激な打撃を与えないよう、当局が各行と調整しながら適用を進めるとみている。