12月20日 「中立」
発電用炭価格が高止まり、本土系電力銘柄に不透明感

中国国内の石炭火力発電量は11月に再びプラス成長に転じたが、石炭価格の高止まりを受け、本土系電力セクターを取り巻く不透明感が一段と高まっている。発電用炭価格が高水準で推移する一方、インフレ抑制を目指す中国政府が電気料金値上げを見送るとの警戒感が根強いことなどが理由。また、本土系都市ガス・セクターでは、資源税の課税対象範囲が西部エリア全体に広がったことでコスト増懸念が浮上している。BOCIはこうした中、業務統計の好調が見込まれる風力発電銘柄を有望視し、個別では中国風電(00182)、龍源電力(00916)に対して強気の見方を示している。

公共セクターにおけるBOCIのカバー銘柄の大半が先週、主要株価指標を下回る低調なパフォーマンスとなった。香港公共銘柄がハンセン指数を1.6%アウトパフォームする半面、本土系電力銘柄および本土系ガス銘柄がH株指数をアンダーパフォームした。

中国国内の発電量は11月に前年同月比5.6%増(1-11月の発電量は前年同期比14.0%増)。11月の伸び率は10月の同5.9%からさらに減速し、16カ月ぶり低水準にとどまった。ただ、石炭火力発電量は気温の低下や水力発電量の落ち込みを背景に、前年同月比0.5%のプラスに転じている。

一方、石炭価格は高止まりし、石炭積み出し港・秦皇島における5500キロカロリー種価格は先週1トン当たり795元と、前週比0.6%の調整幅にとどまった。また、坑口価格は同570元と、これで5週連続して横ばい推移した。国家発展改革委員会(NRDC)が石炭契約価格の値上げ抑制に動いた後、秦皇島の発電用炭価格はやや軟化したものの、BOCIは冬季の需要増や高エネルギー消費産業の生産正常化(省エネ政策の下で一部減産が行われていた)を理由に、短期的な石炭相場の反発を予測している。

河北省は低気温に起因する水力発電量の落ち込みを受け、火力発電への切り替えを実施したが、この方針は結果的に発電用炭の供給ひっ迫を深刻化させ、火力発電設備の一部稼働停止を招いている。実際、同省の既存発電機40基(20MW以上)のうち、12月13日時点で稼働していたのはわずか34基だった。

個別銘柄の動向では、香港系の中電控股(00002)が子会社TRUエナジーを通じて豪ニューサウスウェールズ州の電力事業買収に成功した。BOCIは買収によるTRUの事業規模拡大を前向きに評価し、TRUの分離上場の可能性が高まったとの見方。中電控股の株価の先行きに中立的な見方を継続した。このほか華能国際電力(00902)は蘇州港の石炭ふ頭プロジェクトをめぐってNDRCの承認を得た。同社はこれより前に、船舶事業の上海時代航運有限公司の権益50%を取得しており、BOCIは石炭供給確保に向けた同社の戦略が長期的にコスト増大リスクの軽減につながると評価。ただ、短期的には石炭高騰による影響を見込み、同社株価の先行きに中立的な見方を継続している。