12月17日 H株「オーバーウエート」、A株「オーバーウエート」
旅客・貨物輸送需要が来年も自律成長持続へ、運賃も高水準を維持か
中国国内の航空業界では今年、国内線、国際線の旅客・貨物輸送需要が力強い回復を示し、同セクターは予想を上回るペースで金融危機前の利益レベルを回復した。航空需要は所得水準の向上や国内旅行の急増を背景に2011年も自律成長を持続する見込み。BOCIは11年の旅客総数が前年比10.4%増加すると予測し(国内線、国際線がそれぞれ同10%、15%増)、貨物輸送量については同11.7%の伸びを見込んでいる(国内線、国際線が同10%、15%増)。BOCIはまた、旧正月休暇を控えた来年1月半ばには航空市場がピーク期を迎えるとし、新たな航空ブームが到来すると予想。航空・空港銘柄の好決算を見込み、セクター全体の先行きに対する強気見通しを継続している。
BOCIは中国の航空業界が依然、発展途上にあるとし、成熟化に至る過程でセクター全体の規模拡大や収益性の向上が進むと予測している。また、インフレ環境の下では減価償却費(各社総経費の約20%を占める)がヒストリカル平均値にとどまるとみて、11年の利益率向上を予想。これがインフレ高進によるマイナス影響を相殺するとみている。
航空運賃は今年前半から、多くの路線で同シーズンの過去最高レベルに達した。中でも例年閑散期に当たる6月には、ピークシーズンに当たった前年7月、8月を上回る水準を記録した。BOCIは今年の運賃の値上がりについて上海万博効果を指摘。データ不足を理由に「11年に過去最高を更新するかどうかは予測しにくい」としながらも、国内線、国際線ともに前年並みの高水準を維持するとみている。また、旅客輸送部門の座席数については、08-09年とほぼ同程度の増加数を示すと予測。前年実績の高さから、11年の座席数伸び率は前年比11%程度と、08年の同11.1%、09年の同12.9%からやや減速する見通しを示した。
一方、貨物輸送部門の月次ロードファクターは昨年前半から上向きに推移している。BOCIは世界的な景気回復を背景に、11年末まで上昇傾向が続くとの見方。同時に11年の貨物輸送料金に対しても楽観的な見方を維持している。
航空セクターにとっては、ほかに人民元為替相場の上昇も追い風。BOCIは個別では、本業の好調が見込まれる香港のフラッグキャリア、キャセイ・パシフィック(00293)や、本土系航空会社の中で最も収益性が高い中国国際航空(00753)、さらに人民元高による恩恵を最も受けやすい中国南方航空(01055)、本拠地の観光開発がプラスとなる海南航空(600221)を有望視している。また、空港銘柄の中では海南美蘭国際機場(00357)や、上海国際機場(600009)、厦門国際航空港(600897)、広州白雲国際機場(600004)を選好。うち香港上場銘柄の海南美蘭国際機場については、コア事業の安定成長や資産買収計画を前向きに評価している。