12月14日 「中立」
NDRCが来年の石炭契約価格を据え置き、スポット価格抑制効果は限定的か

香港株式市場公共セクターにおけるBOCIカバー銘柄の先週の株価上昇率は、大半がベンチマークに対してアンダーパフォームする展開となった。ハンセン指数は前週比で0.3%高。H株指数は同0.4%安。業界別にみると、IPP(独立系発電事業者)が1.1%、ガス銘柄が1.9%、代替エネルギー銘柄が2.0%、それぞれベンチマークをアンダーパフォーム。香港公共銘柄のみ0.6%のアウトパフォームだった。BOCIのトップピックはIPPの華潤電力控股(00836)。同銘柄はバリュエーションの低さから12月13日に6.3%値上がりし、前週比で1.7%高となった。

『中国証券報』によると、政府は水力発電能力の2020年目標値を380ギガワット(GW)から430GWに引き上げた。これに伴い第12次5カ年計画(2011-15年)の目標値も最大で5GW上方修正される見通し。現在の水力発電能力は270GW。新たな目標値における2010-20年の発電量年間成長率見通しは4.8%。公共料金値上げ見送りや11月のCPI上昇を受けて公共セクターは全体的に低調だが、発電能力目標値の引き上げにより再生可能エネルギー銘柄は上値余地があるとBOCIは指摘している。

『新浪網』によると、陝西 、山西、河北、重慶の発電所で、気温低下による電力需要の増加を受けて石炭在庫が不足している。11月末時点において陝西省の主要発電所15カ所の3分の2で石炭在庫が臨界値を下回り、12月初めには河北省の発電所8カ所で石炭在庫が3日分を切ったという。BOCIは、発電用石炭のひっ迫状況が生産を再開したエネルギー消費産業へのさらなるプレッシャーとなり、石炭在庫全体に影響を及ぼすものとみている。

国家発展改革委員会(NDRC)は先ごろ、2011年の石炭契約価格を据え置く方針を明らかにした。これによりスポット価格高騰を抑制する効果を狙う。11年の販売量は10年の7億トンから7億6900万トンに引き上げられる見通し。石炭契約は12月10日以降25日以内に締結される。BOCIはこれについて、たとえ契約価格が横ばいであっても、石炭生産者がスポット価格を引き上げる可能性は高く、IPPの石炭調達コストは増加するとの見方を維持。2011年の契約価格による石炭調達率は、2008年と同様の78-95%にとどまると予想している。

石炭積み出し港・秦皇島における先週の5500キロカロリー種石炭価格は1トンあたり800元と、2週連続して前週価格を維持した。坑口価格は4週連続横ばいの1トンあたり570元。NDRCによる来年の契約価格据え置き発表後、スポット価格は横ばいを維持しているものの、エネルギー消費産業が生産調整を終えた上、季節要因による発電需要が拡大して在庫がひっ迫する状況下、スポット価格の大幅な下落は期待できないとBOCIは指摘している。このため個別ではIPPの中でも石炭価格の変動に強い華潤電力控股および大唐国際発電(00991)を引き続き推奨している。