11月29日 「中立」
中国政府が物価安定策を強化、公共料金の引き上げ計画は見送りの方向
香港株式市場公共セクターにおけるBOCIカバー銘柄の先週の株価上昇率は、下落傾向にあるベンチマークをアウトパフォームした。ハンセン指数およびH株指数はそれぞれ前週比で1.5%、2.3%値下がりしている。業界別ではIPP(独立系発電事業者)銘柄が前週比で2.0%安となった一方、ガス銘柄が1.1%、代替エネルギー銘柄が0.7%、香港公共銘柄が0.1%それぞれ上昇した。BOCIが先週トップピックに挙げた中国電力新能源(00735)の株価上昇率はH株指数を9.6%アウトパフォームしている。
国家発展改革委員会(NRDC)はインフレ抑制策として物価安定を継続的に訴えており、先週は以下を含む様々な対策を導入した。1)NRDCは全ての地方政府に対し、公共料金の価格引き上げには慎重に対応するよう求めた。現在、水道、天然ガス、電気、石油製品の価格設定には政府の価格メカニズムの適用が義務付けられている。こうした状況下において短期的な公共料金値上げは実現困難とみられ、公共セクター銘柄の利益見通しが改善する可能性は少ない。2)NRDCは大手国営石炭会社に対し発電用炭契約価格の自主的な値上げ抑制を再度求めた。NRDCは1週間に2度にわたり石炭会社に協力を要請。この動きは12月半ばに行われる石炭契約価格交渉の行方を方向付けるものとなるとみられる。
物価安定に向けたNDRCの最新通達を受け、多くの地域で天然ガス料金の引き上げ計画が見直されている。河北省は年内に公共料金の値上げを行わないと明言。同様に、安徽省は熱源、水道、天然ガス、交通機関やその他公共サービスの値上げを先送りする方針を示した。現在、広東省、江蘇省および河南省が天然ガス料金の値上げを中止している。天然ガスの料金改正スケジュールの遅れはガス銘柄の短期的な利益成長を制限する。BOCIは今後さらに多くの省がNDRCの求めに応じてガス料金引き上げ計画を延期するとみている。
NDRCは、「第11次5カ年計画」の省エネ・排出削減目標を達成するため実施していた電力供給抑制策を調整する方針。火力発電量の制限を受けたディーゼル発電の利用により、一部地域で生じたディーゼル油の供給不足に対応する。
昆侖能源(00135)が親会社の中国石油天然気(ペトロチャイナ、00857)や地方政府から積極的に資産を買収している。4億800万元を投じてLangfang Huayouガスプロジェクトの一部を取得したほか、中石油北京天然気管道有限公司の株式60%の入札に102億元を提示。市場では昆侖能源が落札する可能性が高いとみられている。
石炭積み出し港・秦皇島における5500キロカロリー種の発電用炭スポット価格(11月29日)は前週比1.3%高の1トン当たり810元。在庫は6.7%減の585万トン。坑口価格は横ばいだった。