11月22日 「中立」
中国政府のインフレ抑制策が懸念材料、電気料金の値上げ余地は限定的

中国政府がインフレ抑制を最優先課題に据えたとみられ、政府当局は先週、複数の物価抑制策を導入した。こうした政策動向は本土系公共銘柄の逆風となる見通し。香港株式市場における発電、ガス、水道、再生エネルギー銘柄の値動きは先週、まちまちの展開となった。石炭積み出し港・秦皇島における5500キロカロリー種の石炭価格が前週比2.5%高の1トン当たり815元に達するなど、石炭スポット価格が引き続き堅調に推移する中、電力銘柄は前週比平均3.4%下落した。国家発展改革委員会(NRDC)が石炭生産者に値上げ抑制を求めたことは電力銘柄のコスト負担を軽減させる見通しだが、BOCIはインフレ抑制策のあおりで電気料金の引き上げ余地も限られるとの見方。電力セクターの短期見通しにやや慎重な姿勢を示している。

BOCIのカバー銘柄を見ると、本土系電力銘柄が先週、ハンセン指数を1.7%アンダーパフォームする一方、再生エネルギー銘柄、香港公共銘柄はそれぞれ1.1%の幅でアウトパフォームした(ハンセン指数の先週の値下がり率は2.0%)。

NRDCは石炭会社に対し、発電用炭契約価格の自主的な値上げ抑制を求めると同時に、所在地以外の省市向けの石炭販売を制限しない方針を通達した。インフレ圧力が高まる中、発電用炭の需給ひっ迫感を緩和し、スポット価格上昇を抑制するのが狙いとされる。

中国の大手電力5社は今のところ、2011年度分の石炭契約価格をめぐる石炭生産者との正式交渉を開始していない(昨年は11月初めに開始)。NRDCがインフレ抑制を目的に石炭価格および電力価格の監視を強める中、今回の交渉はかなりの部分で政策の影響を受ける見通しだ。電力、石炭双方ともに契約価格の大幅な上昇を見込んでおらず、BOCIは電力会社の利益モデルに前年度比5%の値上げを織り込んでいる。

上海市全体の水道料金は最近、1立方メートル当たり2.8元へ約22%値上がりした(同1.63元の供給費と同1.30元の汚水処理費を含む)。水道料金引き上げは昨年6月以来で、前回は同1.84元から2.30元への値上げが実施された。

河南省が天然ガス価格決定メカニズムを大幅に変更する可能性が出ている。家庭向け販売価格と川上価格との連動制を構築するとともに(事前のヒアリングの必要性がなくなる)、使用量ごとに住宅向け販売価格に段階を設け、低所得世帯向け価格を据え置くなどの内容。ただ、BOCIはこの方法が全国規模で広がる可能性は低いとみている。

大唐国際発電(00991)は、四川省・大渡河水力発電所建設計画がNDRCの認可を得たと発表。総発電容量は2600メガワットで、権益保有比率は70%。5年以内に完成し、同社発電容量に占める水力の比率が10年の推定12%から上向く見通し。5年間の総投資額は220億元で、この分はすでに年間200-30億元の設備投資予算に組み込み済み。BOCIは同社純負債比率(11年予想は366%)の上昇圧力にはつながらないとみている。