11月11日 A株「中立」
10月の販売統計、9月末の引き締め策による影響は限定的

国家統計局の最新統計によると、10月には不動産販売量がやや減少したが、販売価格は上昇傾向を持続し、デベロッパーの開発投資意欲も引き続き旺盛だった。中国政府が9月30日に実施した不動産引き締め強化の短期的な影響は限定的で、これが今後一段の引き締め強化につながる可能性が出てきた。また、追加利上げの可能性が高まる中、不動産銘柄の株価はやや低調に推移し、セクター全般のバリュエーションがより適正水準に近づいたが、BOCIは個別銘柄の一段の調整を予想し、反発局面はその後になるとの見方。年末ごろにはさらに頻繁に不動産締め付け措置が実施される見通しを示し、当面は政策警戒感が続くとみている。

中国国内の不動産販売価格は10月に前年同月比で8.6%、前月比では0.2%上昇した。前月実績を上回るのはこれで2カ月連続。BOCIは短期的に物件価格が下落する可能性は低いとみている。

デベロッパーによる不動産開発投資はやや上向き、新規着工分が60%超のレベルを維持した。また、開発用地の獲得競争は一段とヒートアップし、先行きに対するデベロッパーの強気見通しが続いている。BOCIはこうした状況から来年の新築物件供給の拡大を見込み、物件相場の調整につながる可能性を指摘している。

1-10月期には分譲用住宅の販売伸び率が1-9月期のペースを維持したが、10月単月では販売面積、販売額ともに小幅の減少傾向を示した。BOCIは9月30日の引き締め策に対する市場の反応が、前回4月17日に発表された引き締め策の直後より鈍いと指摘。この先、中国政府の締め付け強化が続く見通しを示した。

一方、貸し付けの面では前年同期比伸び率の減速が見られたが、前月比では上昇傾向が続いた。デベロッパーの資金繰り悪化などの問題は今のところ表面化していない。

BOCIは個別では、業界最大手クラスの万科企業(深セン000002)、保利房地産(600048)を選好し、引き締め策の効果が相対的に緩やかな中小都市部で多くの開発事業を抱える点で福星科技(000926)、栄盛発展(002146)を有望視している。また、工業団地開発銘柄の中では上海世茂(600823)をトップピックとしている。