11月2日 A株「中立」
不動産過熱抑制策の影響で取引数が減少、地域差が顕著に
政府の不動産加熱抑制策の影響で、先週は国内全域で不動産取引数の減少がみられた。特に主要都市(1級都市)での取引数は7-8月の水準まで戻し、西部の2級・3級都市との差が拡大している。価格の調整にはいまだ至っていないものの、過熱抑制策の継続と、今後全国的な導入が予定される不動産ローン規制が徐々にその影響を拡大していくとみられる。BOCIは不動産セクターについて、他のセクターに比べた割安感や、今後施行される新たな不動産税などのネガティブ要因の影響を指摘している。
市場動向:BOCIの調査によると、主要17都市における不動産取引面積は10月25-31日の週に前週比1.6%減の265万1000平方メートル。四川省成都と湖南省長沙が年初来最高を記録した一方、重慶市と江蘇省南京市の落ち込みが最大となった。平均価格インデックスは記録的な高値に達し、浙江省の寧波と杭州が最も値を上げた。
関連政策動向:◇多くの地域で不動産過熱抑制策のさらなる強化が進み、初めてのマイホーム購入に対する30%の減額措置が見送られた。◇第12次5カ年計画(2011-15年)案の審議において、現在の不動産規制策の延長が提案された。◇住宅・都市農村建設部が不動産仲介に関する規制策を近く実施。◇広州地下鉄のインフラ投資がピークを迎える。
企業動向:◇BOCIのカバー銘柄のうち32社が2010年7-9月期決算を発表。このうち24社が増益を確保した。◇京投銀泰(600683)が上海新天地酒店(Shanghai Xintandi Hotel)の株式27.5%を2億6800万元で取得した。
不動産過熱抑制策の影響は、中央部や西部の2級、3級都市に比べ、東部の1級都市で顕著に現れており、この傾向はしばらく続く見通し。また、新たな不動産規制策は資金が限られる小規模デベロッパーにとってより大きな打撃となり、地域の不動産市場の変動に業績が左右される可能性が高い。一方、2級、3級都市で事業展開する万科企業(000002)、保利房地産(600048)、栄盛房地産発展(002146)などの大手デベロッパーは豊富な保有物件を背景に、投機目的ではない自宅用物件の需要増にも対応。資金力と適応力を有する大手デベロッパーは、現在の不安定な状況においてもより安全な投資先とみられる。