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ナスダック相場は終わった?-国内のIT主力銘柄に注目(香川睦)
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

ナスダック相場は終わった?-国内のIT主力銘柄に注目(香川睦)

2017/6/16

執筆:香川睦

今日のポイント

  • 米FOMCは追加利上げを決定したが、記者会見も含め想定された範囲で終了。米国市場では、ダウ平均が最高値を更新も、ナスダック指数上位銘柄には売りが続いている。
  • ナスダック指数の利益成長ペースは、市場平均(S&P500指数)を大きく上回る見通し。
    「第4次産業革命」の進展を映す中長期トレンドにおける一時的なスピード調整とみる。
  • 日本のIT関連主力5銘柄に注目。市場平均(TOPIX)や米国のビッグ5(平均)に匹敵するパフォーマンス。政府は「未来投資戦略」を発表し、IT投資を成長戦略の柱に据えた。

(1)米ナスダックの下落は一時的な調整か

今週の米国市場では、ダウ平均やS&P500指数が最高値を更新した一方、IT(ネット)大手を中心とするナスダック総合指数の株価調整が目立ちました。特に、ナスダック相場の堅調をリードしてきた「ビッグ5」(アップル、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック)を巡っては、時価総額の合計がナスダック100指数の約4割を占め、相場全体への影響度が大きいことから、投資家の警戒感が強まっています。図表1は、「ビッグ5」の株価を指数化(2013年初=100)して示したものです。100日移動平均線から上方乖離していただけに、目先は利益確定売りが嵩む可能性もありそうです。いったん100日移動平均線前後まで株価下落が進むとしても、直近高値から概ね7-8%程度調整するイメージの「健全なスピード調整」に入ったとみなすことができます。

図表1:「ビッグ5」の平均株価推移(2013年初=100)

(出所: Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年6月14日))

(2)中長期のトレンドは成長期待に支えられている

2000年当時の「IT(ネット)バブル崩壊」時と異なり、業績の力強い拡大期待とバリュエーションの両面からみて、ナスダック相場が終焉を迎えたとは思っていません。上述した「ビッグ5」が時価総額ウエイトで約4割を占めるナスダック100指数とS&P500指数ベースのEPS(1株当り利益)の実績と予想の推移を比較すると、ナスダック100指数の利益成長の優位が鮮明となっています(図表2)。米IT(ネット)企業の業績拡大ペースは、「第4次産業革命」と呼ばれるIOT(あらゆるモノがインターネットでつながる技術)やAI(人口知能)の需要拡大見通しを背景とするものです。一方、2002年3月時にナスダック100指数のPER(株価収益率)は280倍を超えたことがありましたが、現在の予想PERを試算すると、2017年で約21.4倍、18年で約18.7倍、19年で16.6倍に留まっており、「高成長期待を反映した比較的高いPER」の範囲に留まっているようにみえます。既述のように、中期的なトレンド(例:100日移動平均線)からの上方乖離(短期間での株価の上げ過ぎ)の反動がもたらすスピード調整であっても、市場平均に対する中長期の優勢が崩れたとは考えていません。

図表2:ナスダック100指数の業績推移

(注:予想EPS(1株当り利益)は、Bloomberg集計による市場予想平均)
(出所: Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年6月14日))

(3)日本にも「第4次産業革命」は波及するか

国内では、政府が6月9日の臨時閣議で、第2次安倍政権で5回目となる「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」と「未来投資戦略」を決定しました。これらは、「民間経済の停滞を打破して成長を実現していく鍵」として、「第4次産業革命のイノベーション(技術革新)」を産業や社会生活に取り入れ、社会課題を解決していく「Society(ソサエティー)5.0」の実現を唱えています。具体的な「目指すべき戦略分野」として、IOTやAIを活用した生産性の改善、医療改革、IT関連のインフラ整備、教育改革、自動走行、小型無人機等の実証促進、技術革新を促進する規制改革などを推進する方針です。株式市場では、日本のIT関連株価も市場平均(TOPIX)に対して優勢に推移するようになりました。図表3は、国内市場で注目されている「IT関連の主力銘柄(時価総額が比較的大きい東証上場銘柄)」の株価を平均化したものです(2013年初=100)。米国市場の「ビッグ5」に匹敵する好パフォーマンスであることがわかります。米国の「ビッグ5」とやや異なるのは、広義のIT分野において、日本が得意な「ゲーム」(任天堂)、「電子機器あるいはFA(生産自動化)向けセンサー」(ソニー、キーエンス)など国際競争力がある独自の分野であることです。ソフトバンクグループは、(携帯電話事業会社から)「世界的なIT投資会社」に変貌しつつあります。サウジアラビアなどの資金を活用した「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(約10兆円)を立ち上げ、「日本のバークシャーハサウエイ(著名投資家ウォーレン・バフェット氏が経営する投資会社)」を目指している感があります。こうした銘柄の株価は、目先のナスダック調整から影響を受けそうですが、中長期の視点では堅調なパフォーマンスが期待できると考えています。

図表3:日本のIT関連主力銘柄の相対推移(2013年初=100)

(注:予想PER(株価収益率)は、Bloomberg集計による市場予想平均EPS(1株当り利益)に基づく)
(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年6月15日)

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