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地政学リスク(GeopoliticalRisk)
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地政学リスク(GeopoliticalRisk)

2014/10/8
為替の変動要因として政治要因についてお話しましたが、その中で突発的に発生する地政学リスクについて触れてみたいと思います。
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為替の変動要因として政治要因についてお話ししましたが、その中で突発的に発生する地政学リスクについて触れてみたいと思います。

地政学リスクとは、地理的な位置関係によって、その地域の政治的・軍事的緊張が高まるリスクのことです。20世紀以降、中東、バルカン半島、朝鮮半島は代表的な地政学リスク発生ポイントとみられています。イスラエル建国以来、石油の供給地域である中東は常に地政学リスクを内在しています。また『半島』というのは、内陸と海に囲まれ、常に地政学リスクが内在する地域です。朝鮮戦争(1950〜1953年)のあった朝鮮半島は、休戦状態であり現在も緊張関係が続いています。また2月にロシアが軍事介入したクリミア半島は、19世紀以来の地政学リスクが高い地域です(クリミア戦争1853〜1856年ロシアvsトルコで勃発し、翌年イギリス、フランスがトルコを支援)。

地政学リスクが発生すると以下のような反応が見られます。

  • 株式・金融・通貨・商品市場を一気に揺さぶる
  • 国際関係やその地域の経済のみならず世界経済全体の先行きを不透明にする
  • リスクが高いほど投資マネーが委縮し、消費も委縮され世界経済全体が景気減速に

このように短期的にあるいは長期的にマーケットや景気に多大な影響を与えることになります。例えば、イラク、ナイジェリア、ベネズエラなど産油国の治安・経済・社会情勢が不安定になれば石油の需給関係や市況に影響を及ぼし、世界経済全体に影響を及ぼすことになります。

また、クリミア半島にロシアが軍事介入した直後は、ユーロ円を中心に円高になりました。そして、直近では8月7日にオバマ大統領がイラクへの限定空爆承認を発表すると、8日の東京時間午前中だったこともあり日経平均は大幅安(▲454円)となり、ドル円は102円台前半から101円台半ばまで急落しました。しかし、同日、ロシアがウクライナ国境近辺での軍事演習を終了し基地に引き揚げたとの報道が伝わるとNY株は大きく反発し、ドル円は102円に乗せて引けました。このように、地政学リスクに敏感になっているマーケットでは、ひとつひとつのニュースに敏感に反応し、大きく動くことがあるため注意が必要です。

2014年は地政学リスクの年

今年は、地政学リスクが頻繁に発生している年です。突発的に相場が動く可能性があるため要注意の年です。8月までの2014年を振り返りますと、

  • 2月 ロシアのクリミア半島への軍事介入
  • 3月以降 以降、ウクライナ東部で親ロシア派との戦闘状態
  • 6月 イスラム過激派「イスラム国」がイラク北部攻勢
  • 7月 マレーシア航空機ウクライナ東部で墜落
  • 7月 イスラエルのガザ侵攻
  • 8月 オバマ大統領、イラクへの限定空爆承認を発表

このように今年は例年よりも多く発生しており、しかもウクライナ、イラク、イスラエルと多方面にわたっています。そして突発事件は予測不可能であり、その後の影響を警戒することしかできません。同じような緊張状態が続く場合は、マーケットへの影響は減退していきます。

しかし、事態が進展したり、突発事件が発生した場合は、相場が突然動くため目を離すことは出来ません。

ウクライナ問題は、クリミア半島への軍事介入から発展し、ウクライナ東部での親ロシア派との戦闘状態に焦点が移っています。そこにロシアが表立ってどのようにかかわるのか、またロシアへの経済制裁に対するロシアからのカウンター制裁によって、ロシア、欧州とも経済にじわじわと影響が出始めていることも注意が必要です。ユーロ、ユーロ円はいまだ警戒しているような動きをしているため、反発が見られたとしても一時的の可能性があり、ロシアの出方によっては再びユーロ安に動くことも予想されるため警戒しておく必要があります。

地政学リスク
地理的な位置関係によって、その地域の政治的・軍事的緊張が高まるリスクのこと
発生の多い地域    中東、バルカン半島、朝鮮半島  『半島』に注意 地政学リスクの影響

 株式・金融・通貨・商品市場を一気に揺さぶる(短期的影響

 世界経済全体の先行きを不透明に

 リスクが高いほど投資マネーが委縮し、消費も委縮され世界経済全体が景気減速に(長期的影響)

 突発事件は、予測不可能であり、その後の影響を警戒する必要

グローバルリスク(GlobalRisk)

為替の変動要因としてこれまで政治要因や地政学リスクをお話しましたが、それらに加えて経済要因も含めた世界全体のリスクはどこにあるのかは大きな流れとして把握しておく必要があります。

新聞やメディアで、「中東が大変だ」、「ウクライナが大変だ」、「中国の経済はどうなるのか」、あるいは「新興国全体はどうなるのか」など断片的に情報は入ってきますが、リスクとしての影響はどの程度大きいのか、リスクの順位はどうか、リスク同士の関係はどうなっているのか、などを世界全体のリスク(GlobalRisk)として体系的に、歴史的な流れの中で大きな流れとして常に頭の中に描いておくことが出来れば、相場予測に役に立つことがあります。

そこで参考になるのが専門家の見方です。世界のマーケットでも注目されているのが世界最大のリスクコンサルタント企業であるユーラシアグループ(イアン・ブレマー社長)が毎年年初に発表している「世界の10大リスク」です。情報自体は有料なので発表直後には見ることは出来ませんが、1~2週間経つと新聞やネットに概要が公開されてきますので、それを参考にすることが出来ます。「2014年の世界10大リスク」は以下の通りです。

2014年世界10大リスク

  • リスク1. 難局に立つ米国の同盟関係
  • リスク2. 新興国の多様化(選挙)
  • リスク3. 新しい中国
  • リスク4. イラン
  • リスク5. 産油国
  • リスク6. 戦略的データ
  • リスク7. アル・カーイダ2.0
  • リスク8. 中東の動揺の広がり
  • リスク9. ロシアの気まぐれな大統領府
  • リスク10. トルコ

詳細はネットで調べるといろいろな記事が出ているのがわかります。項目だけでも一覧するだけで役に立ちます。専門家はこのように見ているのだと分かりますので参考になります。現在の状況に照らし合わせると、「リスク8:中東の動揺の広がり」「リスク9:ロシアの気まぐれな大統領府」がリスクとして前面に出ていることがわかります。専門家から見れば、現在起こっていることは年初の予測の延長線上で見ているということがわかります。

参考までに同社の「2013年世界10大リスク」を見てみます。

2013年世界10大リスク

  • リスク1. 新興国の急成長は終焉
  • リスク2. 中国国家VS.情報
  • リスク3. アラブの夏
  • リスク4. アメリカ合衆国の政治・財政
  • リスク5. アメリカ同盟国の構造的負けJIB(日本、イスラエル、イギリス)
  • リスク6. ヨーロッパ危機
  • リスク7. アジアの地政学
  • リスク8. イラン問題
  • リスク9. インド問題
  • リスク10. 南アフリカ問題

2013年と2014年の項目を比較するだけでもリスクの注目度がどのように移っているのかがわかります。このレポートは、2010年に発足したばかりの民主党、鳩山由紀夫政権の年内交代を的中させてから脚光を浴びるようになったのですが、2013年では日本はリスク5とリスク7に2度も登場していますが、2014年には日本についてほとんど触れていません。2014年の年初時点では日本の経済的、政治的重要度は落ちていると判断しているのかもしれません。

このユーラシアグループと同じように日本でもグローバルリスクを分析発表しているところがあります。PHP総研がグローバル・リスク分析を年初に発表しています。これは発表と同時にネットで見ることが出来、また日本の観点からのリスク分析が多いため参考になります。

グローバル・リスク2014

  • リスク1. 新南北戦争がもたらす米国経済のジェットコースター化
  • リスク2. 米国の量的緩和縮小による新興国の低体温化
  • リスク3. 改革志向のリコノミクスが「倍返し」する中国の社会的矛盾
  • リスク4. 「手の焼ける隣人」韓国が狂わす朝鮮半島を巡る東アジア戦略バランス
  • リスク5. 2015年共同体創設目前で大国に揺さぶられツイストするASEAN諸国
  • リスク6. 中央アジア・ロシアへと延びる「不安定のベルト地帯」
  • リスク7. サウジ「拒否」で加速される中東秩序の液状化
  • リスク8. 過激派の聖域が増殖するアフリカ大陸「テロのラリー」
  • リスク9. 米 - イラン核合意で揺らぐ核不拡散体制
  • リスク10. 過剰コンプライアンスが攪乱する民主国家インテリジェンス

このレポートも参考までに「グローバル・リスク2013」を見てみますと以下の通りとなります。

グローバル・リスク2013

  • リスク1. 中国「世界の工場」の終わり
  • リスク2. 中国周辺海域における摩擦の激化
  • リスク3. 大陸パワーに呑み込まれ周縁問題化する朝鮮半島
  • リスク4. 「新たな戦争」か「緊張緩和」か? ピークを迎えるイラン核危機問題
  • リスク5. 武装民兵の「春」到来で中東の混乱は拡大
  • リスク6. ユーロ危機は数カ月毎の「プチ危機」から「グランド危機」へ
  • リスク7. マイノリティ結集と「分断されたアメリカ」がもたらす社会的緊張
  • リスク8. 外交・安全保障問題化する原子力政策
  • リスク9. 差し迫るサイバー9.11の脅威
  • リスク10. 顕在化する水と食料の地政学リスク

このように専門家の見方を参考にしながら、グローバルリスクを捉え、また昨年と比較しながらリスクの方向を捉えていく方法(地理的平面軸と時間軸の併用)は、相場の長期的予測を考える上で大変参考になります。今年はどの通貨が上がるのか、どの通貨が下がるのか是非試みてください。

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