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レストラン・セクターについて
広瀬 隆雄
わかりやすいグローバル投資レポート
グローバル投資に精通する広瀬隆雄氏に、新興国株式だけでなく、米国株、欧州株をはじめとする先進国株式など、海外全般の経済や投資ストラテジーをご紹介いただきます。

レストラン・セクターについて

2013/12/16
今日のまとめ、1.レストラン株はお店のコンセプトが良ければ急成長できる2.多く出店し過ぎると飽和状態を招き、とたんに経営のかじ取りが難しくなる3.魅力の維持のためにはリニューアルなどの工夫が必要になる
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今日のまとめ

  1. レストラン株はお店のコンセプトが良ければ急成長できる
  2. 多く出店し過ぎると飽和状態を招き、とたんに経営のかじ取りが難しくなる
  3. 魅力の維持のためにはリニューアルなどの工夫が必要になる

レストラン・セクターの概観

レストラン・セクターは着席型レストラン(sit-down)、ファースト・カジュアル・レストラン(fast casual)、クイック・サービス・レストラン(quick service)の3種類に大別されます。

着席型レストランは一回の食事の値段が最も高く、従って景気に左右されやすいです。あとの二つの形態は、不況に比較的強いとされていますが、リーマンショック以降の景気回復局面では貧富の差の拡大が目立ち、低所得者層ほど立ち直りが遅れました。この関係で「不況に比較的強い」持ち味が十分に発揮されなかったという評価もあります。

レストランの株は前回のレポート(小売(専門店)セクターについて)で紹介した小売(専門店)セクター同様、お店のコンセプトが重要になります。新鮮味のあるコンセプトで消費者の心を捉える事が出来れば、同じ店舗を全米に展開してゆくことで急成長できます。成長真っ盛りの中型株の方が業績的に安定感があるのは、そのためです。

逆にあまり多く出店し過ぎると、飽和状態を招くリスクがあります。その兆候は、普通、既存店売上比較の低迷というかたちで現れます。長年続いたレストランが魅力を維持し、飽きられないようにするには絶え間ない工夫やリニューアルが必要です。

このセクターに属する主な企業は次の通りです:

ティッカー 銘柄名 事業内容
バッファロー・ワイルド・ウイングス BWLD スポーツ・バー、チキン唐揚げ
バーガー・キング・ワールドワイド BKW ハンバーガー・チェーン
ザ・チーズケーキ・ファクトリー CAKE アメリカン・ダイニング
チポトレ・メキシカン・グリル CMG メキシコ料理
ブリンカー・インターナショナル EAT 南部風レストラン
ダーデン・レストランツ DRI イタリアン、シーフード
ドミノ・ピザ DPZ ピザ
ダンキン・ブランズ DNKN ドーナツ
クリスピー・クリーム・ドーナツ KKD ドーナツ
マクドナルド MCD ハンバーガー・チェーン
パネラ・ブレッド PNRA サンドイッチ
スターバックス SBUX コーヒー
ヤム・ブランズ YUM フライドチキン、ピザ、タコス

バッファロー・ワイルド・ウイングス

バッファロー・ワイルド・ウイングス(ティッカーシンボル:BWLD)はスポーツ・バーです。同社のレストランの店内には大型スクリーンがいくつも設置され、アメリカン・フットボールなどの実況中継をしています。

来店客はビールを飲みながらチキンの唐揚げを食べます。バッファロー・ワイルド・ウイングスは21種類のソースを用意し、お客さんが色々な味を楽しめるようにしています。このように「楽しさ」を強調した店舗戦略が同社の特徴です。

売上の49%はディナーの時間帯、15%が深夜、20%がランチ、16%が夕刻(ハッピー・アワー)となっています。また売上高に占めるチキンの比率は40%、ビールが22%、その他が38%となっています。

このストア・コンセプトはここ数年、とてもポピュラーで、同社は急速に業容を拡大してきました。過去5年間の店舗数成長率は年率13%でした。現在の店舗数は959(うち自社所有が422、フランチャイズが538)で、その殆どが米国とカナダです。同社は1,700店舗くらいまで店舗数を増やすことが出来ると考えています。

既存店売上比較は自社所有店舗が4.8%、フランチャイズ店舗が3.9%です。過去5年間の売上高成長率は年率25%でした。

同社の食材のコストの中で最も大きいのは鶏肉です。鶏肉は1年前の冬は1ポンド当たり2ドル前後していましたが、現在は1ドル60セント程度に下がってきており、これが同社の利益に寄与しています。

【略号の読み方】

  • DPS一株当り配当
  • EPS一株当り利益
  • CFPS一株当りキャッシュフロー
  • SPS一株当り売上高

バファロー・ワイルド・ウイングスは無借金経営です。

バーガー・キング・ワールドワイド

バーガー・キング・ワールドワイド(ティッカーシンボル:BKW)は1953年にフロリダ州で創業されたバーガー・キングが母体となっています。その後、バーガー・キングは食品会社ピルズベリーに売却され、さらにピルズベリーは英国のコングロマリット、グランド・メトロポリタンに買収されました。その後、バーガー・キングは2006年に新規株式公開(IPO)されますが、リーマンショックで業績が悪化し、再び非公開化されます。今回はブラジルのプライベート・エクイティ・ファンド、3Gキャピタルがオーナーとなり、2012年6月に再びIPOされたわけです。

現在、3Gキャピタルは同社の株式の70.5%を所有しています。3Gキャピタルはウォーレン・バフェットと共同で投資案件を探すこともあり、バリュー投資家のニューフェースとしてウォール街から注目されています。このような背景からもわかる通り、同社の戦略は成長に重点を置いたものと言うより事業再生を目指したものとなっています。目下の戦略は自社所有店舗を処分し、100%フランチャイズ方式にするというものです。フランチャイズ方式の利点は1.資本を沢山必要としない、2.マージン重視の経営が出来る、3.国際展開をしやすくするなどです。

こうした事業再編成を反映して、同社の売上高は減少しています。しかし自社店舗を処分し終わった後は、ブランドとノウハウを提供する代わりにフランチャイズ・フィーを取るという、身軽な経営になります。

今後は主に新興国でフランチャイズ展開をしてゆくことで成長を出す方針です。

ザ・チーズケーキ・ファクトリー

ザ・チーズケーキ・ファクトリー(ティッカーシンボル:CAKE)は比較的高いメニューを展開する着席型レストランです。同社のレストランは、ディズニー・ランドやラスベガスを連想させる、かなり派手なインテリアになっています。デート、誕生日、お祝いなど、特別な日に訪れるレストランだと考えると良いでしょう。

ザ・チーズケーキ・ファクトリーのメニューは幅広く、200近いアイテムが載っています。とりわけ同社はデザートのチーズケーキが有名であり、同社の名前の由来になっています。同社は顧客の満足度が高いことで知られています。現在177店舗が稼働中であり、毎年10店舗程度新規出店してゆく計画です。

既存店売上比較は前年比+1~2%程度で推移しています。同社は無借金経営です。

チポトレ・メキシカン・グリル

チポトレ・メキシカン・グリル(ティッカーシンボル:CMG)はブリートやタコスなどのメキシコ料理のファースト・カジュアル・レストランです。

同社は新鮮で健康的な素材にこだわるという点を訴求ポイントにしており、店舗は清潔でハイテク感覚に溢れています。

現在、1,539店舗を展開中で、海外はロンドン、パリなどに14店舗あります。同社はもともとマクドナルドの子会社でしたが、マクドナルドは2006年10月までにチポトレ株を全て売却しました。

同社の店舗当たり売上高は年々上昇しており、チポトレのコンセプトが未だ勢いを持っていることを示唆しています。

最近の既存店売上比較は+6%前後で推移しています。来店客数も微増しています。

ブリンカー・インターナショナル

ブリンカー・インターナショナル(ティッカーシンボル:EAT)は南部風料理を出すチリズ・グリル&バーを展開しています。店舗数は自社店舗が822、フランチャイズが443です。

同社の既存店売上比較は-1.9%で推移しており、これは経営計画(+1%から+2%)よりかなり悪いパフォーマンスです。チリズ・グリル&バーのコンセプトが、かなりくたびれてきて顧客に飽きられている兆候があります。

同社は売上テコ入れのため、メニューの刷新やテレビ・コマーシャルなどに力を入れています。

ダーデン・レストランツ

ダーデン・レストランツ(ティッカーシンボル:DRI)はオリーブ・ガーデン(822店舗)、レッド・ロブスター(678店舗)、ロングホーン(430店舗)などのカジュアル・ダイニング・レストランを展開する企業です。

リーマンショック以降の不景気で、同社のオリーブ・ガーデンとレッド・ロブスターは特に来店客数の伸び悩みに苦しんでいます。

ドミノ・ピザ

ドミノ・ピザ(ティッカーシンボル:DPZ)は米国最大のピザ配達チェーンを展開しています。同社の創業は1960年ですが1998年にプライベート・エクイティ・ファンドのベイン・キャピタルによって非公開化され、事業再構成の後、2004年に新規株式公開されました。

現在、自社所有店舗は388、フランチャイズ店舗は9.867あります。海外売上比率は10%です。

同社のブランドとコンセプトは成熟しており、もう急成長は見込めませんが、ピザは比較的不況に強いです。

また同社はネットから注文を受けるシステムを構築し、顧客が同社のサービスを利用しやすいよう気を配っています。

これらのことから同社の業績はまずまず堅調です。

同社のバランスシートには15億ドルの負債が載っており、これは少し重い負担だと言えます。

ダンキン・ブランズ

ダンキン・ブランズ(ティッカーシンボル:DNKN)はダンキン・ドーナツ(約1万店舗)とバスキン・ロビンズ(7,000店舗=日本では「サーティーワン・アイスクリーム」)の二つのブランドをフランチャイズ展開しています。

ブランドと店舗運営ノウハウだけを提供している関係から、営業マージンは50%と高いです。同社の売上はリーマンショック後の不景気下でも比較的良く推移しています。

ただ既に店舗数は多いので新規出店による成長はあまり見込めません。またバランスシートには18億ドルの負債が載っており、返済負担は重いです。

クリスピー・クリーム・ドーナツ

クリスピー・クリーム・ドーナツ(ティッカーシンボル:KKD)はプレミアム・ドーナツのストアを展開しています。現在、自社所有店舗は93、フランチャイズ店舗は696です。

同社は米国よりもむしろ海外に積極的に展開しています。

同社は2000年に新規株式公開された当時、大変な人気を博したのですが、その後急拡大が祟って業績不振に陥りました。このため現在は以前より売り場面積の小さい店舗を基本とし、フランチャイジーが参加しやすい規模にしています。

同社は無借金経営です。

マクドナルド

マクドナルド(ティッカーシンボル:MCD)は3万5千店舗に及ぶハンバーガー・チェーンを展開しています。このうち81%がフランチャイズで、残りが自社店舗です。海外比率は68%です。

最近の同社の既存店売上比較は+0.9%で推移しています。アジア市場における成長の鈍化が気になります。とりわけ日本市場はテコ入れの必要があります。

同社のビジネスは比較的景気に左右されにくく、業績は読みやすいです。バランスシート上の負債は135億ドルで、これは自己資本の47%に相当しますが利払いには全く問題はありません。

パネラ・ブレッド

パネラ・ブレッド(ティッカーシンボル:PNRA)は店舗内で焼いたフレッシュなパンでサンドイッチを食べさせるコンセプトを展開しています。最近流行りの、ヘルシー志向に上手く乗っていると言えます。

現在の店舗数は1,736です。既存店売上比較は+1.3%で、これは同社としては不満が残るパフォーマンスでした。また来店客当たりの売上高も下がっており、大成功した同社のコンセプトが曲がり角に来ていることを示唆しています。

同社のストアはランチ・タイムなどの忙しい時間にサービスが遅れる問題を抱えており、サービス改善が課題です。

パネラ・ブレッドは無借金経営です。

スターバックス

スターバックス(ティッカーシンボル:SBUX)は米国内に8.078、海外に2,116の自社店舗を展開するとともに9.573のライセンス・ストアが世界中に展開されています。既存店売上比較は+7%と大変立派な数字です。

同社は店舗に加えてインスタント・コーヒー「VIA」、ならびに「K-Cup」を展開しています。

またコーヒー豆を以前は食品会社、クラフトを通じてスーパーに卸していたのですが、2011年にこの関係を解消し、自ら配給する方式に切り替えています。

ヤム・ブランズ

ヤム・ブランズ(ティッカーシンボル:YUM)はケンタッキー・フライド・チキン、ピザ・ハット、タコ・ベルなどを展開しています。同社はとりわけ中国で多数の自社店舗(5,200)を展開しており、全社売上高の約半分がここから上がっています。

しかし中国での既存店売上比較は-11%と大きく落ち込んでおり、今後の成長戦略を見直しする必要が出ています。

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