今日のまとめ

  1. 欧州主要国の5年債利回りは落ち着きを取り戻した
  2. 景況感は上向いている
  3. 南欧諸国の財政立て直しは進捗している
  4. 株式市場はボックス圏を推移しいている
  5. ドイツの選挙が終われば成長戦略へ舵をきることができる

癒えつつある南欧

2009年のギリシャ危機に端を発した欧州財政危機は、ひと頃、世界の投資家が最も注目する懸念事項でした。しかし最近は、あまりニュースになりません。あの問題は、もう解決したのでしょうか? 今日はそのことについて検証してみたいと思います。

先ず欧州主要国の5年債利回りのチャートを示します。

去年の8月、イタリアの5年債利回りは5.4%、スペインは7.4%でした。金利が高いということは、債券価格は逆に人気離散で売られていることを意味します。投資家はこれらの国々の借金の借り換え能力に疑問を持っていました。しかし現在はイタリア、スペインともに利回り3.2%と、随分、下がっています。これは投資家の不安がかなり取り除かれた事を意味します。

一方、フランスとドイツの5年債利回りは、歴史的に低い水準から、徐々に上昇しています。これはそれらの国々の景気が回復してきていることを反映しています。

景気の現況に関するZEW-FMSカレント・エコノミック・コンディションの調査でも景況感は上向いています。

政府の取り組み

南欧諸国は危機の発端となった財政赤字の圧縮に果敢に取り組んでいます。下はギリシャの基礎的財政収支です。

次はスペインの基礎的財政収支です。

これらのグラフからも財政の立て直しは進捗しており、「世界の投資家が、誰も南欧諸国にお金を貸してくれないので、国が破綻する」という危機は遠ざかったと言えます。しかし欧州は依然として高い失業率と不景気の問題を抱えています。

欧州の株価の動き

欧州の株価はどのように推移したのでしょうか? 下はバンガードFTSEヨーロッパETF(ティッカーシンボル:VGK)の長期チャートです。

このETFはFTSE Developed Europe Indexに依拠しており、欧州先進17カ国の全ての市場の上場企業497社から構成される指数です。従って、全体の動きの目安になると言えるでしょう。これを見ると欧州の株式市場はギリシャ問題の発覚以降、ずっとボックス圏の中を横這っていることがわかります。

ドイツ連邦議会選挙が終われば成長に舵切り

9月22日にドイツで連邦議会選挙があります。現在のドイツの議席比率は下のグラフのようになっています。

今回の選挙で、メルケル首相のキリスト教民主同盟がどれだけ得票を伸ばせるかはわかりませんが、仮に現在の連立政権(キリスト教民主同盟+自由民主党+キリスト教社会同盟)が過半数を得られず、多数派を形成するために社会民主党と組まなければいけなくなった場合でも、ドイツには過去にもそうした例があり、大きな懸念材料ではないと思います。

むしろ選挙が終わった事で、有権者を気にせず、成長戦略へ舵を切ることができるようになることが重要だと思います。