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今中能夫「楽天証券投資Weekly」
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所アナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を分かり…

今中能夫「楽天証券投資Weekly」

2013/8/2
今週から「楽天証券投資Weekly」を発行します。従来お送りしてきた「信用取引評価損益率コメント」「決算発表銘柄コメント」を発展的に統合したものです。
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楽天証券経済研究所所属のアナリスト今中能夫による今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。
今後の相場の見通し、決算発表情報、個別銘柄の短期株価見通しなどを分かりやすく解説しています。

マーケットコメント

日経平均は週初に下落した後切り返す、銘柄を選んで買いたい相場か

2013年7月29日の週の株式市場は、前週末の弱い流れを引き継ぎ、続落して始まりました。30、31日のアメリカのFOMCの結果を見て、アメリカが金融緩和を継続するかどうかを見極めようという動きが出てきました。また、消費者物価指数が順調にプラス転換していることから円高に振れてきましたが、これらが相まって急激な株価の下落に繋がりました。一部企業の4-6月期決算の中身への不安も重なりました。

一方で、底値を拾う動きもあり、続々と発表される2014年3月期1Q(4-6月期)決算に注目する動きも出てきました。FOMCの結果は金融緩和継続であり、それに好意的に反応したNYダウは8月1日終値で史上最高値を更新し、NY市場で円安が進みました。東京市場でもアメリカの金融緩和継続をポジティブに受け止め、8月1日は337.45円高と大幅高となり、14,000円台を回復。8月2日も続伸し、前日比460.39円高の14,466.16円で引けました。参院選直前の7月19日終値の14,589.91円から、7月30日安値13613.78円まで976円下げましたが、これを9割近く埋めました。

チャートを見る限り、今回の調整も6月の調整のように結果としてそれほど深くない調整で済む可能性があります。チャートは三角保合いであり、後述のように決算の中身を見ると、相場は当面は基本的に上向きと思われますので、銘柄を選んで買う時期が既に到来していると思われます。

グラフ1 日経平均株価:日足

増税と憲法で政治的問題。アベノミクスは大丈夫か

ただし、政治的な問題が浮上しています。まず、消費税増税の可否、時期について安倍政権内と自民党内に異論があるということです。アベノミクスの中心人物たちが相次いで来年4月からの消費税増税の延期あるいは増税幅の縮小について発言しました。

筆者にとっては大変意外な発言でした。というのは、円安になって経済活動が活発になり、輸入物価の上昇や金融緩和を通じて物価が上昇に転じているわけですから、自然な形ならば金利は上昇していくことになります。約1,000兆円の政府財政を抱えている日本は、このままでは政府の利払い費用が増加し財政難に陥ってしまい、金利が急騰し景気が腰折れてしまうリスクがあります。このリスクを回避するためには、政府債務削減の道筋を立てて、国債市場を説得しなければなりません。

ところが、消費税増税の延期ないし増税幅の縮小は、日本政府の政府債務を縮小させる意志は弱いという悪いシグナルを国債市場に送りかねず、金利急騰を引き起こす可能性があります。1,000兆円の政府債務の重みが、アベノミクスの唱導者たちの間で共有されていないようです。物価上昇率の年率2%増を実現すれば、政府債務は実質的に年率2%ずつ目減りするから政府債務は軽く扱って良いと考えているのかも知れませんが、金利上昇で利払い費用が累積的に増えていく場合は、政府債務が都合よく目減りするとは限りませんし、そもそも1,000兆円という額自体が巨額すぎるのです。

また本稿でも何回も指摘していますが、円安、金融緩和、財投、原発再稼働、TPP、成長戦略など政策メニューが多いため、相互に矛盾が発生することが多いのがアベノミクスの特徴です。アベノミクスの唱導者たちは、必ずしもこの矛盾を認識していない、さらに言えば、諸外国に比べ極端に重い約1,000兆円、名目GDPの約2倍の政府債務の重要性について、認識が希薄であるように思います。安倍政権とアベノミクスが無条件に景気と株価を押し上げるという期待からはそろそろ離れたほうが無難かもしれません。

アメリカの金融政策と日本企業の決算は日経平均をサポート

一方で、海外では日経平均の上昇をサポートする動きになっています。7月30、31日のアメリカFOMCの結果は「金融緩和継続」でした。前述のように、この結果、NYダウは史上最高値を更新し、円安になりました。

また、日本企業の2014年3月期1Q(4-6月期)決算の中身を見ると、当初言われていたほど悲観的ではありません。

自動車では富士重工業、マツダが好業績で、1Qの為替分のみを上乗せし通期業績予想を上方修正しました。1Q営業利益を見ると、富士重工業は696億円(前年比4.0倍)で、フォレスター、インプレッサが日本とアメリカで好調です。古くなってきたレガシーもアメリカで堅調に売れています。1Qの為替メリットはドル中心に401億円であり、円安メリットの大きさがわかります(アベノミクスの最大の成果は円安と20兆円の緊急経済対策でしょう)。会社側の通期営業利益予想は期初予想の1,800億円(2013/3期は1,204億円)は1,980億円に上方修正されましたが、今の円安が続けば更なる上方修正が見込まれます。

マツダの1Q営業利益は365億円(前1Q18億円)でした。このうち為替メリットが292億円でしたが、スカイアクティブ搭載車の増加による採算向上効果もありました。CX-5、MAZDA6(アテンザ)が好調でした。通期営業利益見通しは1,200億円(前年比2.2倍)は据え置かれていますので、上方修正の期待が持てます。

本田技研工業の1Q営業利益は1,849億円(前年比5.1%増)でした。9月以降世界100カ国で発売する新型フィットなどの新車発売に備え、生産能力を増強しているため、そのコストが負担となりました。ただし、通期営業利益見通しは7,800億円(前年比43.2%増)と据え置かれています。今後の変化に期待が持てそうです。

トヨタ自動車の1Q営業利益も6,633億円(87.9%増)で、通期は期初予想1兆8,000億円(2013/3期は1兆3,208億円)から1兆9,400億円に上方修正されました。

デンソーも円安メリット、国内外の自動車生産増加の影響を受けており、通期見通しは上方修正でした。自動車については円安メリットの大きさを実感させる内容でした。

また、7月のアメリカ新車販売台数は前年比14%増でした。好調ぶりに弾みが付いてきました。表1は主要メーカーのアメリカ新車販売台数の月次データですが、7月はトヨタ自動車と本田技研工業が軒並み好成績を挙げました。この表にない会社では、富士重工業が5月39,892台(前年比34.2%増)、6月39,235台(同41.6%増)、7月35,994台(同42.9%増)、マツダが5月24,270台(19.2%増)、6月22,496台(13.0%増)、7月24,977台(29.3%増)となっています。特に富士重工業の好調ぶりが目立ちます。

表1:アメリカの新車販売台数

電機を見ると、ソニーはテレビとモバイル(スマートフォン)が黒字転換しています。経営上の懸案事項だったテレビの黒字転換と今後の業績ドライバーになりうるモバイルの黒字化をポジティブに受け取りたいと思います。デジカメも大幅な悪化は避けられた模様です。映画、音楽は今期大幅増益を見込んでおり、金融も好調持続。ようやく業績が回復軌道に乗ったことを印象づける決算でした。パナソニックも、黒字転換しており、今後に期待したいと思います。

一方、シャープは営業利益は黒字転換しましたが、経常損失が続いています。ただし、9月に到来する約2,000億円の転換社債償還の資金の目途は付いた模様です。

このほか、村田製作所、ヒロセ電機のようなスマートフォン向けに強い電子部品メーカーの好業績が目立ちました。村田製作所のコンデンサ、SAWフィルターなどの各種電子部品とヒロセ電機の超精密コネクタがなければスマートフォンは作れないと言われています。中国メーカーが台頭するなかでスマートフォンの動きが注目されます。

三角保合後の日経平均の動きは、上昇基調となる可能性が高いとは思われますが、なお政府の態度などになお不透明感があります。ただし、個別銘柄の世界では、銘柄を選んで投資する時期が到来しているように思われます。特に、為替レートが大きく円高転換することは当面なさそうなので、自動車、電機などの輸出・グローバル関連には積極的な姿勢を持っても良いのではないかと思われます。これまでの1Q決算で、足元の堅調と見通しの明るさが確認できた銘柄群、トヨタ自動車、本田技研工業、富士重工業、マツダ、日野自動車、デンソー、ソニー、パナソニック、村田製作所、ヒロセ電機を銘柄として挙げておきます。

表2:楽天証券投資WEEKLY

 

 

グラフ3 信用取引評価損益率と日経平均株価

グラフ4 ドル/円レート:日足

グラフ5 ユーロ/円レート:日足

マーケットスケジュール

2013年8月5日の週の日本での注目点は、まず、7~8日の日銀金融政策決定会合です。また、8日には7月の景気ウォッチャー調査が公表されます。

アメリカは、5日に7月のISM非製造業景況指数が公表されます。6日には、6月の貿易収支が公表されます。

7~8日の日銀の金融政策決定会合が注目されます。意外性のある政策が打ち出されるかどうかで、相場の流れに変化があるかもしれません。7月30~31日のFOMC、8月2日の米雇用統計の結果との絡みもあります。注視したいと思います

 

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