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今中能夫「楽天証券投資Weekly」
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所アナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を分かり…

今中能夫「楽天証券投資Weekly」

2013/2/8
今週から「楽天証券投資Weekly」を発行します。従来お送りしてきた「信用取引評価損益率コメント」「決算発表銘柄コメント」を発展的に統合したものです。
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楽天証券経済研究所所属のアナリスト今中能夫による今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。
今後の相場の見通し、決算発表情報、個別銘柄の短期株価見通しなどを分かりやすく解説しています。

マーケットコメント

2013年2月4日の週の株式市場は、前週末のアメリカ雇用統計が良好な結果だったことから、円レートの下落が続き、週初から高く始まりました。5日には白川日銀総裁が任期満了前の辞意を表明したため、円安が加速、6日の日経平均株価は大幅高となりました。円レートは6日に一時1ドル=94円台、1ユーロ=127円台に入り、日経平均は同日に前日比416.83円高の11,463.75円となり、2008年9月のリーマンショック後の高値を更新しました。この日はほぼ全面高となりました。

しかしその後は、円レート、日経平均株価ともに短期的な過熱感が台頭し、円レートはやや円高方向に向かい、日経平均は下落しました。円レートは8日に1ドル=93円台、1ユーロ=125円台になっており、日経平均は7日に前日比106円下落、8日は203.91円安の11,153.16円で引けました。

日経平均はいったん調整に入る可能性があります。2012年11月13日のザラ場底値8,619.45円を底として、2月6日のザラ場高値11,498.42円まですでに33%上昇しました。この間、1月中旬の若干の調整を挟んだだけで大きな調整はありません。また、先週指摘した2012年3月高値と同年6月安値の倍返し12,200円に接近しています。

また、より重要なのが3Q決算で明らかになった問題です。従来から円安メリットが大きいと考えられてきた電機、精密セクターで2013年3月期通期業績見通しを下方修正したり、見通しを据え置く大手企業が出ています。日立製作所は通期営業利益見通しを前回予想の4,800億円から4,200億円(前年比2%増)に下方修正しました。理由は主に中国での景気減速を受けて上場子会社が業績見通しを下方修正したためです。

ニコンも中国での一眼レフの販売不振を受けて通期業績見通しを大幅下方修正しました(2013/3期営業利益予想720億円→480億円、前年比40%減)。加えて、1-3月期の円ドルの為替感応度がゼロになります。これは、全社的にドル建て部材を増やしたためです。この対ドル為替感応度ゼロというのは電機、精密セクターでは決して珍しいことではなく、ソニーは今期からゼロ、パナソニックは23億円と企業規模のわりに小さく、JVCケンウッドのように対ドル感応度が円安に対してマイナスの会社もあります。薄型テレビのようなデジタル家電の自社工場を持たす、EMS会社に委託生産する比率を高めたり、部品のドル調達を増やせば、感応度はゼロになります。対ユーロでは感応度がプラスの会社が多いですが、これはユーロ建てで購入できる部材が少ないためです。ルノーの取引先からユーロ建てで自動車部品を仕入れている日産自動車の対ユーロ感応度はゼロです。

日本の輸出企業は2007年から5年間続いた円高に対応して収益構造を変化させてきました。国内の自社工場を海外移転するだけでなく、できるものはEMSに生産委託したり、香港やシンガポールに部材の調達拠点を作って、日系電子部品メーカーであってもドル建て調達するなどの施策を講じて、少なからぬ企業が為替感応度ゼロを目標にして、円高に対応してきました。従って、今回のように急激に円安転換しても、特に電機、精密の多くの企業は円安メリットが必ずしも大きくでません。

また、もう一つの問題点は、ニコンやソニーのように製品の海外販売で苦戦している会社がでていることです。ソニーは液晶テレビ、デジタルカメラなどのデジタル家電製品の通期販売台数計画を下方修正しました。中国や欧米市場での販売不振が原因です。製品が台数ベースで伸びない場合、為替感応度はプラスであっても予想通りには出ない可能性があります。

後述しますが、逆に自動車各社の為替感応度の高さ、円安メリットの大きさが確認できました。

今の円安が急に円高になる可能性は小さいと思われること、内需系企業は輸入物価の上昇によるデメリットが今後出てくる可能性があること、内需系よりも輸出系企業のほうが相対的にPERなどの株価指標が割安であることから、内需系よりも輸出系企業のほうが投資妙味があるというこれまでの意見は変えません。ただし、過去5年間の円高に対応する中で、個々の企業の収益構造は変化しています。輸出系企業でも、個別企業の吟味が必要な状況と思われます。

表1:楽天証券投資WEEKLY

グラフ1 日経平均株価:日足

グラフ2 日経平均株価:月足

グラフ3 信用取引評価損益率と日経平均株価

マーケットスケジュール

2013年2月12日の週のマーケットスケジュールを概観します。

日本では、2月12日に1月のマネーストックと消費動向調査が公表されます。13日には企業物価指数が公表されます。円安後の消費動向と企業物価の動きが分かります。

14日には、2012年10-12月期GDP第一次速報が公表されます。また、13、14日と日銀金融政策決定会合があります。

アメリカでは、15日に1月の鉱工業生産指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数が公表されます。

日本の消費動向調査、企業物価指数とGDP速報で、円安後の日本経済の動きが分かると思われます。

なお、11~15日に上海、深セン市場が旧正月で休場になります。香港市場は11~13日、シンガポール市場は11、12日が休場になります。

特集:2013年3月期3Q決算2 円安の中での投資先を考える

先週に続き3Q決算を分析します。

自動車セクター

トヨタ自動車、富士重工業、マツダと好業績を伝える決算が続きました。トヨタは日本がエコカー補助金の反動、欧州が不況によって、中国は反日運動の影響もあり各々振るいませんでしたが、北米、東南アジア、中近東が好調でした。原価改善と営業努力にも大きなものがありました。3Q営業利益は前年比17%減の1,247億円でしたが、これは前年同期が大震災後の部品不足が解消された後の増産期だったためです。円安効果がこれから発現されることもあり、会社側は2013年3月期通期業績見通しを上方修正しました。営業利益見通しは前回予想の1兆0,500億円から1兆1,500億円(前年比3.2倍)に上方修正されました。

富士重工業、マツダも、好調な業績でした。富士重工業は、インプレッサ、フォレスターなどの日米販売が好調で、通期見通しを上方修正しました。営業利益は従来予想の820億円から1,070億円(前年比2.4倍)に上方修正されました。マツダも、日本、アメリカ、オーストラリア、アセアンでSKYACTIV搭載車種をはじめとする新車販売が好調でした。コスト改善努力に円安メリットが加わり、通期営業利益見通しは従来の250億円から450億円に上方修正されました(2012年3月期は387億円の赤字)。

民生用電機

パナソニックは3Q営業利益346億円と黒字転換しました(前3Qは81億円の赤字)。売上高は、白物家電、デジタル家電ともに減収で、自動車関連だけが増収という振るわない内容でしたが、固定費圧縮と材料の合理化・価格低下で補いました。最終損益も3Qは黒字でした。一応最悪期は脱したと思われますが、これから何を売って会社を伸ばすのかという方向性はまだ見えません。3月に発表される中期計画が注目されます。

シャープも3Q営業利益は26億円の黒字でした(前3Qは244億円の赤字)。デジタル家電が黒字転換し、白物家電、情報機器(コピーなど)が黒字を維持したこと、液晶の赤字が大幅に縮小したことが要因です。ただし、アップル向け小型液晶が今後どうなるかなど、依然として問題を抱えています。今年9月に到来する約2,000億円の転換社債の償還原資は、資産圧縮と銀行団からの3,600億円の協調融資で賄う計画です。継続的な営業黒字が融資の条件になります。

ソニーも3Q営業利益は464億円の黒字でした(前年同期は917億円の赤字)。営業段階に繰り入れられている持分法投資損益と構造改革費用、減損を修正すると、前3Q修正営業利益237億円に対して今3Qは同650億円となります。中味を見ると、デジタル家電製品は赤字は縮小したものの依然として赤字が続いており、売上高は会社側の想定を下回った模様です。液晶テレビの赤字は前3Q 1,013億円から今3Q 147億円に縮小しました。モバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C、旧ソニー・エリクソンなど)も前3Q 484億円の営業赤字から今3Q 213億円の営業赤字に赤字が縮小しました。ゲームはソフト不足とプレイステーションヴィータの不振が響き、前3Q 338億円の営業利益が今3Q 46億円に急減しました。

このように縮小したといえども多くのカテゴリーで赤字が続いていますが、デバイスはイメージセンサーの好調で156億円の営業赤字から97億円の黒字に転換しました。また、映画、音楽、金融が好調で、営業利益は映画が前3Q7億円→253億円、音楽同153億円→164億円、金融同326億円→342億円となりました。今回の決算を見る限り、ソニーは映画、音楽、金融の会社であるという色彩が強くなっています。

ゲームでは、会社側のコメントはありませんが、今年後半に「プレイステーション 4」を発売するという声もきかれます。「3」で使っていた「セル」というCPUではなく、デュアルコアの汎用CPUの改良型を4個並べて8コアにしたものをCPUとして使うとも言われています。本当だとしたら、かなり作りやすくコストダウンしやすいハードとなり、任天堂のWii Uの脅威となるかもしれません。しかし、ソフト不足は決定的であり、そもそも自前のゲームソフトをやる気があるのかという疑問さえあります。「4」発売が必ずしもゲーム部門の回復を意味するものではないことに注意する必要があるでしょう。

このほか、JVCケンウッドが決算発表しました。3Q営業利益4億円(前3Q 19億円)と振るわない決算でしたが、音楽部門(傘下にビクターエンタテインメントとテイチクエンタテインメントを抱える)の営業利益が6億円(同5億円)と堅調で、業務用システムも6億円(同2億円の営業赤字)と黒字転換しました。円安デメリットの会社で、ドル感応度は年間2億円のマイナスになりますが、これは海外生産の体制を変更することで1年以内に円安メリットにできると思われます。特に、音楽部門は通期でも業績を下支えする見通しで、SMAP、桑田佳祐、家入レオ、関ジャニ∞などベテランから若手まで数多くのアーティストを抱えています。

為替感応度

最後に、主要企業の為替感応度と来期業績へのインパクトを試算した表2をあげておきます。円安メリットの大きさではトヨタが群を抜きます。円安メリットに年間3,000億円を目標にしている原価低減と、販売増の効果を足し合わせると、今の為替水準が続くという前提ですが、2014年3月期営業利益は2兆円前後に達する可能性があります。そうなれば、2015年3月期に過去最高営業利益2兆2,704億円(2008年3月期)の更新が視野に入ってくるでしょう。

また、富士重工業、マツダの為替メリットにも大きなものがあります。両社とも為替水準が現水準を維持するならば来期大幅増益の可能性があります。

ソニーや村田製作所へのインパクトも計算上は大きいのですが、製品が売れるかどうかが問題になります。村田製作所はスマホ向け電子部品の売れ行きに左右されます。ソニーはドル感応度がゼロで、ユーロ感応度がプラスなので、欧州で値引きなどに追い込まれると、単純計算のようには行かなくなります。

このように考えていくと、国内海外で自社工場を抱えているトヨタを筆頭とする自動車各社の円安メリットが最も現実的に発現できると思われます。

表2 自動車、電機等の主要企業の為替感応度

表3 主要企業の2013年3月期3Q決算発表予定日

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