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今中能夫「楽天証券投資Weekly」
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所アナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を分かり…

今中能夫「楽天証券投資Weekly」

2012/10/12
今週から「楽天証券投資Weekly」を発行します。従来お送りしてきた「信用取引評価損益率コメント」「決算発表銘柄コメント」を発展的に統合したものです。
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楽天証券経済研究所所属のアナリスト今中能夫による今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。
今後の相場の見通し、決算発表情報、個別銘柄の短期株価見通しなどを分かりやすく解説しています。

マーケットコメント

10月9日の週の日経平均株価は、中国における日系自動車メーカーの9月の新車販売台数が、尖閣紛争とデモによる影響で大幅減となったという観測や、IMFのワールド・エコノミック・アウトルックにおいて、世界経済見通しが下方修正されたことなどを受け、週初から下落しました。日経平均は、9、10、11日と続落し、10日には前日比173.36円安の8,596.23円と、8月3日以来、8,600円台を割りました。11日は、一時前日比プラス圏内にまで戻ったものの、結局安く引けました。ただし、12日前場は前日までに下げすぎた反動でやや高くなっています。

週初から11日までの動きをセクター別、銘柄別に見ると、自動車セクターで安い銘柄が目立ちました。トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車のほか、デンソー、アイシン精機など大手自動車部品メーカーに株価が下げるものが目立ちました。一方で、富士重工業、スズキなど、中国生産をしていないか、していても影響が軽微な中堅メーカーの株価は底堅く推移しました。

民生用電機も、パナソニック、ソニーとも弱い展開でした。特にパナソニックは1970年代から中国に工場を展開してきたことが嫌気されたようです。電子部品も村田製作所、京セラ、TDKなどが軟化しましたが、とりわけ中国に生産拠点を数多く持っている日本電産がきつい下げ方を見せました。

シャープも安くなり、11日終値は146円と150円台を割りました。ホンハンとの資本・業務提携の交渉に進展が見られないことを懸念したと思われます。これ以上の株価下落は信用不安の拡大等、不測の事態を招く可能性も否定できないため、注意が必要です。

また通信では、NTTドコモは顧客流出を懸念して続落しましたが、KDDIはMNP(携帯電話番号ポータビリティー)制度での顧客流入が一貫して続いていることや、iPhone 5のデザリング機能(iPhone 5を使ってパソコンのネット接続が出来るようにする機能)で先行したことを評価して、今週に入って上げる展開となりました。12日はソフトバンクの買収観測から両社とも高く始まっています。

一方、イー・アクセス買収を決めたソフトバンクは、買収金額の大きさと買収効果が必ずしも明確でないことから下落しました。また、10月11日のNHKニュースと、12日の新聞各紙によれば、ソフトバンクはアメリカの携帯電話市場3位のスプリント・ネクステル買収を検討しています。投資金額は約1.5兆円以上と言います。スプリント・ネクステルを通じて5位のメトロPCSコミュニケーションズ買収も検討していると言われており、この場合の買収金額は総額2兆円以上になると報じられております。ちなみに、ソフトバンクの時価総額は約2兆7,000億円です。12日のソフトバンクの株価は売り気配で始まり、11時過ぎの時点で前日比15%以上下落しています。

ソフトバンクが旧J-PHONE(現ソフトバンクモバイル)の買収に成功した大きな要因は、買収後NTTドコモ、KDDIが価格競争をしなかったためです。巨額の負債を抱えたソフトバンクに対して、より大きな競合他社が積極的な値引きを行っていれば、ソフトバンクは進退窮まったでしょう。NTTドコモやKDDIが価格競争に打って出なかった理由は、独禁法に抵触するかもしれないというよりも、そうした場合、ソフトバンクがJ-PHONEをより大きな外資系通信会社に売却するかもしれないという観測があったそうです。

しかし、アメリカ提携電話市場トップのAT&T、2位のベライゾン・ワイヤレスの経営陣の能力が、日本の通信会社のそれと同レベルだと考えるわけには行きません。ソフトバンクの今後の株価には注意が必要です。

一方、ゲーム、エンタテインメント系の銘柄には、週初から下げた後で上げるものもありました。任天堂は一時11,120円まで上げた後、10,000円トビ台で下げ止まりました。アミューズは11日には一時急落したあと、結局上げて引けましたが、12日は主力株が戻す中で安く始まりました。

京都大学山中伸弥教授のノーベル賞受賞を受けて、iPS細胞関連も物色されました。例えば、タカラバイオは5日終値から12日前場までの1週間で50%以上上昇しました。iPS細胞は応用が進めば医療に革命的な変化をもたらす可能性があります。今後折りに触れて関連銘柄が物色される可能性があります。

また、10月5日付けの信用取引評価損益率を見ると、3市場ではマイナス15.29%と前週比1.49%ポイント改善しました。楽天証券でもマイナス10.78%と、前週比小幅改善しました。

政治を見ると、野田政権は衆議院解散、総選挙から逃げ回っている感がありますが、民主党からの離党が相次いでいるため、いずれ内閣不信任案→解散総選挙に追い込まれる可能性が高いと思われます。

また、米軍が日本近海で軍事力を増強しているため、中国が尖閣諸島で武力行使に訴える可能性は、今回は低いと思われます(領海侵犯などは、この先も続くと思われますが)。しかし近い将来、中国が尖閣諸島の領有権を巡って武力行使、あるいは局地戦争を起こす可能性は否定できないと思われます。その場合、中国で事業展開している日本企業の資産凍結、駐在員、中国人も含めた社員の拘束など、日本企業の事業、資産等に相当の被害が出ることが予想されます。中国事業の縮小、撤退等で、中国比率を低めることができる企業は良いのですが、深入りしすぎた企業は、既に大きな経営リスクを抱えていると考えておいたほうがよいと思われます。

今後の投資戦略を考えると、突っ込んだ自動車株、自動車部品株を、企業の中身を見ながら選んでみたいと思います。トヨタ自動車、本田技研工業、富士重工業、デンソー、アイシン精機の安いところを狙うのが一つの方法と思われます。同様に、電子部品株の中で、村田製作所、京セラ、TDK、日東電工などを狙うのも一つのやり方と思われます。

また、内需系のエンタテインメント会社、エイベックス・グループ・ホールディングス、アミューズなども改めて検討する価値があると思われます。

今後の相場展開が注目されます。

表1:マーケット指標

グラフ1 日経平均株価:日次

グラフ2 信用取引評価損益率と日経平均株価

マーケットスケジュール

10月15日の週のマーケットスケジュールを見ます。

日本では、15日に8月の鉱工業生産・確報が発表されます。19日には、8月の景気動向指数・改訂値が発表されます。

アメリカでは、15日に8月の小売売上高、16日に9月の消費者物価指数、9月の鉱工業生産指数と重要指標の発表が続きます。9月のユーロ圏消費者物価指数も16日に発表されます。

17日には、アメリカの9月の住宅着工件数、同じく建設許可件数が発表されます。いずれも住宅関連の重要指標です。

18日は、アメリカの10月のフィラデルフィア連銀景況指数と、毎週木曜日に発表される週間新規失業保険申請件数が発表されます。

19日はアメリカの9月の中古住宅販売件数、8月のユーロ圏国際収支が発表されます。

15日の週は、アメリカの9月の鉱工業生産指数、住宅着工件数、建設許可件数、中古住宅販売件数に注目したいと思います。これまでの指標を見る限り、アメリカ経済は堅調に回復しています。中国経済の減速が明らかになりつつありますが、15日の週のデータで、アメリカ経済の現状を再検討したいと思います。

セクター分析、企業分析:自動車セクター(続き)

今週は先週に続き自動車セクタ-を取り上げます。

9月の企業別の中国新車販売台数が発表されました。その数字と、各社ごとの全体の生産、販売台数に対する影響度を測ったものが表2です。

これを見ると、中国での日本車販売減少の影響が大きい自動車メーカーは、まず日産自動車、次にマツダになると思われます。

一方、影響が軽い会社としては、まずトヨタ自動車です。トヨタの中国比率は約10%です。仮にこれが大きなショックになっても、それを吸収する十分な経営力、財務力をトヨタは持っています。

本田技研工業の中国比率は比較的高いですが、アメリカにしっかりとした地盤をもっていること、新興国での二輪事業が堅調であることから、見た目よりは中国の影響は減じられていると思われます。

また、スズキは日本とインドに強力な地盤をもっています。三菱自動車は、業績が好調なので、中国ショックをかなりの程度吸収できると思われます。富士重工業も同様です。

表2 日本の自動車メーカーの中国比率

表3 主要国・地域の新車販売台数

中国では自動車産業は戦略産業ですので、日本企業が参入する場合は、現地資本と合弁会社を作らなければなりません。その場合、利益は折半になります。決算上は、日産自動車が中国の現地法人の利益を全額営業利益に計上し、当期純利益の段階で少数株主持ち分で調整しています。他社は、持分法投資損益として当期純利益に加えています。

いずれにせよ、いくら中国で稼いでも、利益の半分は合弁相手が持っていき、技術流出のリスクもあります。中国の自動車市場は世界最大ですが、それゆえに競争相手も多いので、中国事業は必ずしも採算の良いものではないのです。

トヨタやホンダのように、日本、アメリカ、アセアンでしっかり稼いでいる会社は、このような状況になるのであれば、無理に行く必要はないところです。今回は、再びトヨタ自動車と本田技研工業に注目したいと思います。

また、中堅メーカーの中で、富士重工業に注目してみたいと思います。富士重工業が計画していた中国での合弁事業は、中国当局の認可がおりませんでしたが、これは幸運だったというべきでしょう。日本とアメリカに熱烈なスバルファンを抱えて、効率的な経営をしています。

デンソー、アイシン精機などの大手自動車部品メーカーは、中国を含むアジアの生産販売比率が日本に次いで高く、100%出資で進出しているケースが多いため、その分中国リスクを完成車メーカーよりも受けています。ただし、ユーザーの分散度が高いため(トヨタだけでなく、日系、外国系の大半の会社と取引がある)、中国リスクの吸収は十分可能と思われます。

表4 銘柄データ

  • 弊社では、この情報を用いて行う判断の一切について責任を負うものではありません。

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