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今中能夫「楽天証券投資Weekly」
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所アナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を分かり…

今中能夫「楽天証券投資Weekly」

2012/9/28
今週から「楽天証券投資Weekly」を発行します。従来お送りしてきた「信用取引評価損益率コメント」「決算発表銘柄コメント」を発展的に統合したものです。
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楽天証券経済研究所所属のアナリスト今中能夫による今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。
今後の相場の見通し、決算発表情報、個別銘柄の短期株価見通しなどを分かりやすく解説しています。

マーケットコメント

9月24日の週の日経平均株価は、軟調な展開でした。前週の日銀の金融政策決定会合における金融緩和強化策が不十分と市場に受け取られたこと、それによって円高傾向が続いたこと、尖閣諸島を巡る問題で、中国市場で日本車の売れ行きが減速していることから、トヨタ自動車、日産自動車などの日本メーカーが中国で減産することなどが嫌気されました。日経平均株価は9月13日振りに8,000円台に下落し、200日移動平均線を下回りました。

楽天証券の売買代金上位銘柄を見ると、NTTドコモがソーシャルゲームに参入すると報じられたことから、ディー・エヌ・エー、グリーが前週末から27日木曜日までに大幅安となりましたが、売買代金も増えました。中国での減産報道から、本田技研工業、トヨタ自動車が下落しました。日中間の航空便の予約客減少の報道で、日本航空、全日空も下げました。一方、関西電力は、来春に原発再稼働の方針と報じられたため、週間で上昇しました。

9月21日付けの信用取引評価損益率を見ると、3市場ではマイナス14.71%と前週比ほぼ横ばいでしたが、楽天証券では1.88%改善しマイナス9.79%となりました。楽天証券の信用買い残は傾向的に減少が続いていますが、信用取引評価損益率の改善も相まって買い余力は増えていると思われます。

28日前場は動きの鈍い展開ですが、尖閣問題がくすぶる一方で、自民党新総裁が決まったため、総選挙が近いと誰もが感じるでしょう。民主党政権から自民党政権に移行するならば、経済にも株価にもポジティブに受け取ってよいと思われます。

企業の動きを見ると、自動車の中国減産は悪材料ですが、iPhone 5の販売が好調なことは好材料です。

また、尖閣諸島を巡っては、中国、台湾、韓国が連携して日本に対峙する模様ですが、それに日本が正しく対応する場合、軍備の大幅増強が視野に入ってきます。日本の防衛力は日本経済の規模や排他的経済水域の面積と比べると相対的に小さく、もしこれが実現すれば、景気や技術革新にポジティブな影響が期待できるでしょう。

また、中国事業の混乱は、日本企業が中国から離れ、他のより安全で将来性の大きな市場、例えば、アセアン、インド、南米、中東、アフリカなどに経営資源を振り向ける良い機会となると思われます。

今後の相場展開が注目されます。

表1:マーケット指標

グラフ1 日経平均株価:日次

グラフ2 信用取引評価損益率と日経平均株価

マーケットスケジュール

10月1日の週のマーケットスケジュールを見ます。

まず、10月1日に、アメリカのISM製造業景況指数と8月のユーロ圏失業率が発表されます。米欧景気を確認する重要な指標です。

3日は、9月のアメリカISM非製造業景況指数と同じくADP雇用統計が発表されます。8月のユーロ圏小売売上高も発表されます。

4日は、8月のアメリカ製造業新規受注が発表されます。9月12、13日開催分のFOMC議事録も公表されます。欧州ではイングランド銀行と欧州中央銀行が政策金利を発表します。

日本では4、5日に日銀金融政策決定会合が開催されます。5日には、2Qのユーロ圏GDP改定値、9月のアメリカ雇用統計も発表されます。

なお、中国が国慶節に入るため、1、2日は香港市場休場、1~5日まで上海、深セン市場が休場となります。

日本では2Qが締り、3月決算企業が沈黙期間に入ります。2Q決算の観測記事が出やすくなります。また1日の週は、海外からの情報が多い週になるため、そのインパクトに注意すべき1週間となりそうです。

セクター情報、企業情報

今回は、スマートフォン市場を分析します。銘柄は、KDDI(9433)と日東電工(6988)です。また先週に引き続き音楽などのエンタテインメント市場も分析します。アミューズ(4301)を取り上げたいと思います。

KDDI(9433)

9月21日に全世界で「iPhone 5」がアップルから発売されました。発売後3日間で販売台数が500万台を超えました。この数字は、「4S」の400万台を上回りましたが、アナリスト予想より下回っています。理由はいくつかある模様で、中国の組み立て工場が反日デモに巻き込まれたことや、新型薄型ディスプレイの製造歩留まりが悪く、生産量が増えないことが背景と報じられています。ただし、これらの問題は解決に向かっている模様なので、今後iPhone 5の販売台数は増加すると思われます。

表2 スマートフォン普及率

iPhone 5は日本でも欧米でも人気ですが、欧米では買い替え需要も多くなっている模様です。表2はスマートフォンの普及率ですが、足元ではアメリカが50%前後、イギリスが50%台と思われます。欧米では新規需要、買い替え需要合わせて今年のiPhone 5は好調が予想されますが、来年もそうとは限りません。欧米は市場が成熟しつつあるため、サムスン電子、LGだけでなく、数多くの中国勢が、手頃な価格でスマートフォンを投入し、シェア拡大を狙ってくるだろうと思われます。

一方、日本の普及率はOECD諸国のなかで最も低い20%です。足元でも20%台と思われます。これは、日本では3G携帯電話の機能がもともと高く、それとスマートフォンの性能差が欧米ほど大きくなかったことによると思われます。従って、スマートフォンの各機種がデュアルコアCPU、高性能薄型パネルなどを搭載し、LTE、デザリング機能などの新機能が付いて、3G携帯電話との性能差が拡大するほど、日本でもスマートフォンへの乗り換えが加速すると思われます。

KDDIは、2011年10月14日にiPhone 4Sを発売しました。同じ日に「4S」を発売したソフトバンクに比べ、機能に制約があったため、「4S」の販売台数はソフトバンクほど伸びなかった模様ですが、「5」の出だしはKDDIが優位になっている模様です。この要因は、まず基本的にソフトバンクとの間で機能差がなくなったこと、逆にスマートフォンをパソコンのインターネット接続に使うことができる「デザリング機能」をつけたことです。ソフトバンクのデザリング機能は2013年1月からになるため、年内はKDDIが優位になると思われます。iPhone 5の実際の売れ行きも、KDDIのほうが勢いがある模様です。

KDDIのPERは10倍台で、NTTドコモより高いものの、ソフトバンクと同水準です。iPhoneを発売するまでは、顧客をソフトバンクに奪われるばかりで、業績は横ばい圏で推移していました。しかし、iPhone 5が業績をよりポジティブなものに変える可能性があります。

日東電工(6988)

日東電工はスマートフォン、タブレットPC関連の電子部品、電子材料の会社を探すときに、村田製作所と並んで必ず出てくる会社です。

日東電工の収益源は、情報機能材料です。2013/3期1Q決算では、売上高768億円(前年比0.6%%減)、全売上高の49%を占めています。この情報機能材料が属するオプトロニクス部門の1Q営業利益は125億円(前年比25%減)、全営業利益の77%を占めていますので、日東電工の業績はこの情報機能材料の動きにかかっていると言えます。

情報機能材料の中身は、液晶パネル用偏光板とITOフィルムです。偏光板は、光の通り具合を加減して映像を見やすくするものです。日東電工では、携帯電話、スマートフォン用、タブレットPC用、テレビ用などを製造しています。

また、ITOフィルムはタッチパネルに使うものです。

二つの製品とも、技術的に参入障壁が高く、寡占化が進んでいます。偏光板は、日東電工、住友化学、LGケミカルの3社で70~80%の市場シェアを持っています(日東電工のシェアは推定約35%)。ITOフィルムは、日東電工が約40%のシェアを持っており、このほか、尾池工業(未上場)、帝人化成(帝人子会社)などが上位シェアを持っています。

情報機能材料の中をユーザー分野別に見ると、テレビ用が概ね半分弱で残りがスマートフォン向け、タブレットPC向けです。1Qはスマートフォン向け、テレビ向けが伸び悩んだ結果、オプトロニクス部門は25%減益となりました。ただし、タブレットPC向けは順調に伸びています。全体では2Qから売上高が回復している模様です。

今後を見ると、スマートフォン向け、タブレットPC向けは、iPhone 5等のスマートフォンの好調などによって夏から冬にかけて繁忙期に入ると思われます。テレビ向けは台数には期待できませんが、大画面化である程度補える見込みです。

会社側では、業績は2Qから回復し、通期では26%営業増益が達成できるとしています。下方修正リスクは若干あるかもしれませんが、2Q以降の業績回復と、通期の増益転換は見込んでよいと思われます。

アミューズ(4301)

先週のエイベックス・グループ・ホールディングスに続き、エンタテインメント企業の中でアミューズを取り上げたいと思います。

音楽業界が大きな構造変化の中にあることは、先週説明しました。アルバムと音楽配信が減少する中で、コンサート市場が伸びており、コンサート市場が持ち上げる形で音楽市場が安定成長を実現することができるようになってきました。

もう一つ、最近目立った動きが出てきました。それは、舞台を楽しむ人が増えていることです。アミューズが今春企画した「海盗セブン」は、大地真央、寺脇康文、岸谷 五朗などの一流どころ、ベテランどころに、若手トップクラスの三浦春馬を組み合わせたところ、大ヒットしました。3~5月の全国公演で、会社想定の約8万人を大きく上回る約12万人を動員しました。ほとんどがS席(11,500円)でグッズも売れたため、5億円以上が当初想定の利益に上乗せされたと思われます。舞台公演は固定費が大きく、失敗すると赤字になるリスクがありますが、成功すると利益に貢献するのです。

また、人気俳優の大泉 洋が参加するTEAM NACSの「ニッポン公演 WARRIOR~唄い続ける侍ロマン」が7万人、これも若手の人気俳優である、佐藤健、石原さとみを起用した「ROMEO AND JULIET」が6万人を動員しました。

このほかライブで、Perfume、flumpool、ポルノグラフィティなども成功しました。

この結果、1Q業績は好調で、38%営業増益となりました。これを受けて、会社側は当初は41%営業減益と見ていた通期会社予想業績を、12%営業減益に上方修正しました(2012/3期は福山雅治のライブツアーが約70万人動員したこともあって、65%営業増益でした)。2Q以降は企画等に未定な部分はありますが、前期並みの業績程度にまで上乗せされる可能性もあります。

ライブ、舞台とアミューズが志向するリアルなエンタテインメントが人気を集めており、来期もこの動きが持続する可能性があります。人気商売で業績変動が激しい会社ですが、来期も高水準の業績を期待してもよいと思われます。そうであれば、5倍台の今期予想PERの割安さが目立ちます。

表3 銘柄データ

銘柄一覧

 

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