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今中能夫「楽天証券投資Weekly」
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所チーフアナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を…

今中能夫「楽天証券投資Weekly」

2012/9/7
今週から「楽天証券投資Weekly」を発行します。従来お送りしてきた「信用取引評価損益率コメント」「決算発表銘柄コメント」を発展的に統合したものです。
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楽天証券経済研究所所属のアナリスト今中能夫による今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。
今後の相場の見通し、決算発表情報、個別銘柄の短期株価見通しなどを分かりやすく解説しています。

マーケットコメント

日経平均株価は、8月20日に今年のサマーラリーの高値、9,222.87円(ザラ場)をつけた後、調整局面に入っています。今年のサマーラリーは、7月25日ザラ場安値8,328.02円を底とした中間反騰でした。夏休み前に欧州債務危機の懸念から売られましたが、欧州首脳が夏休みに入り、ロンドンオリンピックが開催された間は、とりあえず上げる展開となりました。

しかし、欧州首脳が夏休みから帰ってくるにつれ、欧州情勢への懸念が増す形となり、6日終値は8月20日高値から5.8%、536円安のところに下がりました。出来高は少なく、特に8月22日に一旦高値をつけた後は、出来高が急速に減少する、「冷めた」サマーラリーとなりました。ただし、その後は日経平均が下げに転じる局面で、出来高は増え始めています。

依然としてリスクが多い世界です。特に欧州情勢はますます複雑怪奇の様相を呈してきました。ドイツ以北の国々でギリシャへの支援に公然と異議を唱えるEU加盟国が出てきました。欧州の動きには注意を怠れません。しかし一方で、欧州中央銀行(ECB)は6日の理事会で、償還期限1~3年の南欧国債を無制限に購入する枠組みで大筋合意したと報じられました。これを受けて、6日の欧州株式、NYダウは大幅高しています。

7日午前の日経平均もこの動きに素直に反応しています。そろそろ買うことを考えたほうがよいのではないかと思わせる動きです。

チャートを見ると、上述の日経平均7月25日安値が、その前の安値6月4日ザラ場8,238.96円、更にその前の安値2011年11月25日8,135.79円を割りませんでした。8,100~8,400円のレンジにかなり強いサポートラインがあると思われます。

また、今回高値(8月20日ザラ場9,222.87円)は、前回高値7月4日ザラ場9,136.02円、3月27日ザラ場10,255.15をつけた大反騰の前の2011年10月31日ザラ場高値9,152.39円を上回っています。

これまでの日経平均の動きと、今の金融情勢を考え合わせると、日経平均は下値をじりじり切り上げる展開が予想されます。当面のハードルは9月19日の日本航空の東証上場です。大型上場ですので、それまでは購入資金調達のために手持ち株を換金する動きがあると思われますが、相場の勢いを注視したいと思います。

信用取引評価損益率を見ると、三市場評価損は8月31日申込み分でマイナス19.69%(前週比1.99%ポイント悪化)と大きな評価損になっていますが、楽天証券のそれは、マイナス13.16%(同0.13%改善)と三市場ほどは悪化していません。出来高が増えるに従って、楽天証券の信用買い残も増え始めています。今後の展開が注目されます。

表1:マーケット指標

マーケットスケジュール

9月10日の週のマーケットスケジュール予定を見ます。まず10日に日本の2012年4-6月期GDP2次速報と8月の景気ウォッチャー調査が発表されます。景気ウォッチャー調査は株価に与える影響が大きいため、注意が必要です。11日はアメリカ貿易収支、12日は同じくアメリカでFOMC政策金利が発表されます(12、13日はFOMC)。7月のユーロ圏鉱工業生産も発表されます。

12日は日本で7月の機械受注が発表されます。13日はアメリカの週間新規失業保険申請件数、14日は、アメリカの消費者物価指数、小売売上高、ユーロ圏消費者物価指数などが発表されます。

10日の週は、欧米でデフレ圧力がどの程度なのかを測る統計がいくつも発表されるため、FOMCの結果を含めて注意が必要です。

決算スケジュール

現在は、2013年3月期1Q決算から同2Q決算に至る端境期ですので、注目すべき決算は多くありません。

9月の決算発表予定を見ると、9月11日に一建設(2013年1月期2Q)があります。1Qは実質減益でした。消費税増税前の駆け込み需要があるかもしれません。

13日は、スリー・ディー・マトリックス(2013年4月期1Q)、東京ドーム(2013年1月期2Q)があります。東京ドームは昨年の震災の影響がなくなっています。業績が注目されます。

14日は、エイチーム(2012年7月期)、エニグモ(2013年1月期2Q)、沖電気工業(2013年3月期1Q)があります。エイチームは携帯電話用ゲーム開発の会社です。6月に業績見通しを上方修正しています。新年度の業績見通しが注目されます。エニグモはブランド通販の会社です。上場後初めての決算発表です。沖電気工業は、海外子会社の決算過大計上が発覚したため、1Q決算が遅れています。決算に注意する必要があります。

セクター情報、企業情報

9月に入り2013年3月期2Q決算を予想する動きが出てくると思われます。これまで株価がパッとしない中では意外かも知れませんが、買い材料、売り材料ともに多くなってきているというのが、アナリストとしての筆者の実感です。逆に言えば、欧州危機とそれが新興国、ひいては世界経済に波及するリスクの現実味を、市場参加者が重く受け止めているということでしょう。

買い材料が豊富なセクターの筆頭は、自動車セクターです。トヨタの8月のアメリカ販売が好調でした。トヨタの好調は、デンソー、アイシン精機などの大手自動車部品メーカーだけでなく、TDKのような自動車向けの比率の高い電子部品メーカーに追い風です。

また、建設、不動産も、復興需要だけでなく、南海トラフ地震対策や近年急増している集中豪雨に対する対策のように、全国的な災害対策をどうするかという問題が、今後大きくクローズアップされそうです。予算の問題はありますが、対策が本格化すれば、大手建設会社(大成建設、大林組など)、専門建設会社(NIPPO(道路会社)、ライト工業(法面工事)など)などに恩恵があると思われます。地方での地価上昇による恩恵(三菱地所、三井不動産など)も考えられます。復興需要はあくまでも時限需要ですが、災害対策は、もし本格化すると、建設投資のあり方を変えるものになる可能性があります。

エネルギー(原発廃炉、火力発電所やメガソーラーの建設など)も、材料が多い分野です。例えば、東京電力管内には建設後40年以上経過した老朽火力発電所が20基以上ありますが、これを高効率で発電コストが安いLNG火力に更新すれば、少なくとも東電管内の電力不足は解消します。

そうなれば、大手建設会社(大成建設、大林組など)だけでなく、三菱重工業、IHIなどのプラント機器メーカー、日立製作所、東芝、三菱電機などの発電機メーカー、燃料や海外機材を輸入するときは大手商社(三菱商事、三井物産など)が恩恵を受けます。東電がそうしないのは原発利権が惜しいからでしょうが、東電だけでなく、全国に老朽火力発電所は多いので、この更新がいつ始まるのか、関連企業はどこも注目しています。

一方、売り材料が多い分野は、民生用電機、建設機械などです。民生用電機はシャープの格付けが投機的水準まで下がりました(ムーディーズによるシャープの短期債務格付け)。再建モードになかなかは入れません。建設機械も、中国の鉄鋼需要がスローダウンしたことにより鉄鉱石価格、原料炭価格の下落が続いています。これが、インドネシアで鉱山機械需要がスローダウンする要因になっています。

電子部品は、9月にアップルのiPhone 5が発売されると言われていますが、村田製作所など大手電子部品メーカーが期待するほどスマートフォン需要が盛り上がるのかが焦点です。あるいは、今年は良くても、アメリカ、欧州、中国でスマートフォン普及率が40~50%台に達している現状を考えると、来年のスマートフォン出荷台数は今年に比べ一旦減少する可能性があります。中国製低価格品の大量供給も予想されます。低価格品といっても機能的には十分なものになっています。

参考銘柄-トヨタ自動車、本田技研工業

今回は自動車セクターを取り上げます。日本の自動車セクターは、東日本大震災やタイの洪水の影響を大きく受けながらも、いち早く立ち直り、2012年3月期4Qからは全社営業黒字となりました。その後は、震災で失われたシェア、特にアメリカ市場でのシェアを順調に回復しています。昨年言われた日本車の競争力低下は、部品不足、在庫不足でたまたまシェアが低下したところに後講釈で言われただけでしょう。

また、中国市場がスローダウンする中で、アメリカとアセアン市場に強い日本車メーカーは注目されやすいと思われます。

2Qに入っても自動車セクターはトヨタ自動車を筆頭に好調です。8月のアメリカ新車販売台数は、トヨタ自動車が前年比45.6%増、本田技研工業が前年比59.5%増となり、昨年の穴を見事に埋めています。全体でも19.9%増となりました。一方、GM前年比10.1%増、フォード12.6%増、日産自動車7.6%増、現代自動車(傘下の起亜自動車を含む)11.5%増となり、トヨタ、ホンダの伸びが突出していることがわかります。好調さにも格差がついています。

また、アメリカ市場でハイブリッドカーが本格的に売れてきたことが、トヨタの好調の要因の一つです。昨年までは、トヨタのアメリカ市場での基幹車種はカムリ、カローラの2車種でしたが、現在は、この2車種にプリウスシリーズを加えた3車種が主力車種となっています。

秋以降は全世界で新車ラッシュとなります。トヨタは、アメリカで年末に「アヴァロン」(AVARON)のフルモデルチェンジを行う予定です。ホンダは、9月中旬に中型セダン「アコード」をフルモデルチェンジして発売する予定です。アコードの2モーター式ハイブリッドカーとプラグインハイブリッドも2013年に発売する予定です。今は出遅れている日産自動車も下期には複数車種のフルモデルチェンジや新車投入を計画しています。新車効果が今年から来年にかけて期待できそうです。

業績を見ると、トヨタ自動車の今期会社予想営業利益は1兆円ですが、これまでの好調さを見ると、1兆1,000億円~1兆2,000億円程度になる可能性があります。本田技研工業も、会社予想業績は達成可能と思われます。

表2:銘柄データ

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