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ニューマネーとオールドマネーの感覚を持つ
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

ニューマネーとオールドマネーの感覚を持つ

2014/2/28
企業年金等の資産運用の世界では「ニューマネー」と「オールドマネー」という言葉をしばしば用います。「ニューマネー」というのは、毎月定期的に入金される掛金のことを指します。新しく拠出するお金というニュアンスです。
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ニューマネーとオールドマネーという考え方

企業年金等の資産運用の世界では「ニューマネー」と「オールドマネー」という言葉をしばしば用います。「ニューマネー」というのは、毎月定期的に入金される掛金のことを指します。新しく拠出するお金というニュアンスです。これに対して「オールドマネー」という場合、すでに積み上がった資産のことを意味します。文字通り「古株」という感じです。

かつて企業年金運用にはいろいろな規制がありました。企業年金が保有してよい株式の上限比率を規制していた時期もあり、1997年12月まではリスク資産のウエートは5割を超えてはならず、さらに3割以上株式を保有することは認められていなかったほどです。

ニューマネーとオールドマネーの規制もなかなか興味深く、「ニューマネーの資産配分と、オールドマネーの資産配分は同一でなければならない」とか「投資顧問会社への運用委託はニューマネーに限る」といった規制があり、徐々に緩和されていったという歴史があります。

本連載は歴史の勉強ではないので、企業年金の規制緩和を覚えることが目的ではありません。しかし、こうした「ニューマネーとオールドマネー」という考え方が、「なんとなく投資」から脱却するための参考にならないか考えてみたいと思います。

運用の計画におけるニューマネーの重要性と活用ポイント

まず、「ニューマネー」を資産形成においては意識することが、普通の人ほど重要です。投資は売買だけで成立するものではなく、現役世代は追加拠出による資産増を重要視するべきです。毎月もしくはボーナスのたびにニューマネーをいくら追加できるかを運用計画に織り込むことが大切です。これにより少額から資産形成をスタートできますし、期待リターンを抑えて無理のない資産計画とすることができます。

ニューマネーの捻出は、毎月の仕事の稼ぎや家計のムダづかいとも連動しています。何もないところから定期的にニューマネーは出てこないからです。そのため、ニューマネーの検討を行うことは、運用を運用だけで考えるのではなく、個人のお金の出入りの流れに位置づけるきっかけにもなります。

また、「ニューマネー」を投資のリスクコントロールの要素として検討に用いることもできます。1年間に拠出できるニューマネーの金額が、仮に最悪の運用結果に陥ったときの損失可能性を上回れば、1年間で資産の減少はなく運用を続けることになるからです。

仮に100万円を保有しており、年率20%の損失可能性を見込むとします(企業年金運用ではリーマンショックの年度にマイナス17.8%を記録しています)。仮に毎月1万円、ボーナスごと6万円を拠出し年間24万円を積み増せる人ならば、全額を投資していたとしても、リーマンショックレベルの損失時にも資産形成をともかく継続できることになるわけです。

個人の投資においては、致命的な痛撃で運用を継続できなくなることを避けることのほうが、高い期待リターンの可能性追求より重要であり、ニューマネーはそうしたリスクコントロールの具体的基準にもなるわけです。

また、運用の見直しにおいて「ニューマネー」を使って調整弁とする方法も考えられます。運用の見直しについてリバランス等のテクニックが紹介されますが、売買コストの生じることが難点です。譲渡益課税がなされることもおもしろくない要素のひとつです(しかも20%!)。しかし、取り過ぎたリスクウエートを看過していいわけではありません。このとき「ニューマネー」についてはリスクを落とした拠出を継続することで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えることができます。

仮にリスク資産60%:預貯金40%のポートフォリオを志向していた投資家が、アベノミクスの高騰によってリスク資産70%:預貯金30%のポートフォリオに変化したとします。当初が60万円:40万円で、現在が93.3万円:40万円となった状態がこれにあたります。

考えてみれば、10%のウエート変更は資産価値の上昇によるものですが、リスク過剰の状態であることは否めません。しかし10%相当の13.3万円を売ってしまえば売却手数料と税金がかかります。そこで、毎月1万円の積立+ボーナス6万円の積立をしているなら1年間は投資に資産振り向けを中断し、93.3万円:62.2万円になるまで待つのです(6:4の割合に戻る)。これなら売却コストは生じません。

3種類ほど紹介してみましたが、ニューマネーの使い方ひとつで、投資の選択肢がずいぶん広がることが分かります。

成熟した投資家のマインドはニューマネーとオールドマネーに異なる評価を下せる

ところで、株価が下がると安く買えてうれしいと、にやにやしている人がいますが、そのマインドセットは個人投資家もみならうべきだと思います。今回説明しているニューマネーとオールドマネーの問題で整理をしてみると、このにやにやがうまく整理できそうです。

市場が下落しているときは「オールドマネー」は大きく下落し含み損を抱えます。普通の人はそこで萎縮をしてしまい、新しい投資を行わなくなります。しかし、特に売る必要がない資産であれば含み損はあくまで含み損です。市場の回復が想定され、それを待つ時間的余裕さえあれば、それほど心配する必要はありません。

同時に「ニューマネー」の視点から考えれば、下落基調の相場は、安く買えるチャンスでもあります。ニューマネーをもって追加購入ができれば平均購入単価も下がっていきます。平均購入単価を下げたということは、当初の価格まで市場が回復しなくても、元本割れから脱することができるということです。

このとき、「オールドマネー」の発想と、「ニューマネー」の発想はまったく異なるということを整理すれば、下げ相場で買う、という行動ができるようになります。あるいは狼狽売りを避けるメンタルも養うことができるでしょう。投資においては、異なる思想を同時に抱え込んで運用できるようになると、なんとなく投資から一歩踏み出した投資家のマインドになってきます。

もちろんここで述べたことの大前提は市場の回復です。しかし、リーマンショックの直後、3.11直後のマーケットなどでは、オールドマネーは手放さず、ニューマネーを投入し続けることができた人ほど資産の減少を抑え、早期に利益を得たということは覚えておくといいでしょう。

個人が投資を続け、資産形成を続けていく限り、「すでにある資産(ここでいうオールドマネー)」の運用管理と、「新規に積み増す資産(ここでいうニューマネー)」の運用管理を同時に考えていかなければなりません。

企業年金運用でも最近になって「ニューマネー」「オールドマネー」という言葉はあまり使わなくなりました。しかし、言葉の古くささはともかく、考え方はまだ利用価値があるように思います。

運用において「ニューマネー」を意識する

オールドマネーの含み益はニューマネーの安値仕込み

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