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老後をにらんだ年内利益確定の「その次」戦略
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

老後をにらんだ年内利益確定の「その次」戦略

2013/12/16
譲渡益課税の軽減税率が10%から20%の本則に戻るまでカウントダウンが始まりました。今年の年内に受け渡しが終わった取引については10%の譲渡益課税ですみます。
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2013年末は利益確定したくなるが

譲渡益課税の軽減税率が約10%から約20%の本則に戻るまでカウントダウンが始まりました。今年の年内に受渡しが終わった取引については約10%の譲渡益課税ですみます。これは取引日でいうと25日水曜までの売買が対象です(国内株式の場合。例外あり。)。

おそらく多くの人が今まで投資していた資金について利益確定を考えることと思います。特にアベノミクス相場の上昇に乗れた投資家ほど含み益が拡大し(しかも久しぶりに!)、約20%の税率が高く見えてきます。

個人投資家はゴールを自分で好きに決めればいいので、売却を決定するのもまた自由ですが、「なんとなく投資」の危険性を考えると、「なんとなく利益確定」の恐れが心配されます。

将来に資金ニーズがあるにもかかわらず、なんとなく利益確定して、なんとなく消費に使ってしまうのはあまり賢い戦略とはいえません。本連載としてはこの2013年12月のコラムのテーマとして「なんとなく利益確定」から卒業し「その次」を考える投資手法を少し考えてみたいと思います。

資金ニーズは今ではない利益確定の注意点

利益確定の誘惑を避けるべき重要な課題は老後資産形成です。資金ニーズは遠いうえ、必要な資金額は高額になるため、常に中途での解約の誘惑にさらされています。確定拠出年金や企業年金は制度上の制限として退職時まで解約が不可能であるため、解約の誘惑に負けずにすむ仕組みでもありますが、個人の証券口座ではそうはいきません。

老後をにらんだ資産形成を行っていて、今はまだ30~40歳代だとすれば実際の資金ニーズはまだまだ先のことです。つまり今年行う利益確定は、今はまだ使わないお金を有価証券から現金に戻してしまうということです。

利益確定は、ここまでの運用によって得られた値上がり益を確保したともいえますが、その後の値動きによって生じる追加的な含み益を得ることはもうありません。マーケットに資金を置くことの中断でもあることを十分に意識する必要があります。そのまま現預金として残しておけば、預金の利回りしか付利されません。せっかく投資に回した資金を、また低金利の環境に押し込めてしまう可能性も考える必要があるわけです。

もちろん、2014年ないし数年内に使用するニーズがあれば、この年末の利益確定は悪いことではありません。住宅購入の予定があり頭金支払いがある、あるは子どもの高校入学年度が来年である、といった場合は、軽減税率の今、利益確定をして資金を現金化しておくのもいいでしょう。

それでは、資金ニーズが10年後、あるいは数十年後にある場合はどうすればいいでしょうか。

老後をにらんだ利益確定「その後」戦略

そこで、利益確定「その後」の運用戦略を「なんとなく投資家」向けに4つほど考えてみました。どれが必ず有利とはいえせん。しかし自分にフィットする戦略があれば、一考してみてください。

アイデア1)利益部分のみ売却する

一つめの発想は「運用益に相当する部分のみ利益確定」し「多くはそのまま運用継続する」パターンです。

運用を継続する予定がある場合において、「部分的な利益確定」は役立つ投資戦略ですが、実行する人はあまり多くありません。「全額買い」「全額売り」だけが投資だと思ってる人は多いのです。特に口数を多く有している投資信託やETFの場合、「部分的な利益確定」を考えてみることができます。

仮に投資元本が100万円であり、アベノミクス相場に乗っかって150万円まで価格上昇した投資信託やETFがあったとします。このとき150万円をすべて売却し50万円分について10%の譲渡益課税を払うのではなく、50万円分を売却し、16.66万円分にのみ課税される方法もあります(投資元本が33.33万円、譲渡益が16.66万円と仮定)。課税額も小さくなりますし、投資も投資元本に相当する金額を継続することができます。

残高部分にも未確定の譲渡益が残りますが、「運用は継続」「部分的に利益確定」という目的は達せられます。リバランスの観点からも、リスク過剰になっていた分を堅実に利益確定したと見なせます。資金ニーズが10年後や20年後であれば、また新たな税制優遇が行われる可能性もあります。無理に全額利益確定しないのもひとつの方法です。

もちろん、(アイデア2)のように、投資信託やETFを全額売ってまた買い直すことも可能です。この場合は、含み益の課税関係を一気に整理できる一方で、もう一度買い直すための購入コストがかかることを意識してください。またメンタル的には「面倒な手間」を惜しむリスクも無視できません。

アイデア2)売却後2014年に再投資する

2つめの発想は、2013年末に売った銘柄について、2014年の大発会ないし上旬の相場のうちに、買い戻すという方法です。ここまでの上昇分については軽減税率での譲渡益課税を行い、一度リセットをするものの、できるだけ早く再投資をする考え方になります。

売却時とまったく同じ価格で再取得をするシステムとしてクロス取引を証券会社は提供してます(楽天証券のケースはこちら)。ただしクロス取引の手数料が生じるため、少額の投資残高の場合は、あまりお得にならないこともあります。一般的な個人投資家は売却時価格と新規購入時価格が同一になるかにあまりこだわる必要はないと思います。

それよりも重要なのは「再投資を実行する」ということです。理屈として再投資をする意識があっても、実行されないことはよくあります。ちょっとした市場の騰落は再投資をためらわせます(下がっても、上がっても!)。年末年始の忙しい時期は面倒が先に立ってしまい、再投資をサボってしまいます。

面倒を避けたくなるのは人間の本性であって、これを戒めるだけでは精神論になってしまいます。しかし資金ニーズがまだ遠いにもかかわらず「利益確定」というアクションを取った以上は、「再投資」というアクションもぜひ取ってください。

このタイミングで、売却前の銘柄と異なる銘柄を買ってみるのも一つの方法です。信託報酬の割安な投資信託、今までチャレンジしていなかったETFの購入などに踏み出してみてはどうでしょうか。幸い2013年末の年末年始休暇は長い人が多く、投資戦略を引き直すにも絶好かもしれませんよ。

(アイデア3)少なくともMMF等にはしておく

利益確定をしたとき、「さあ、出金指示だ」と指定した銀行口座に振り込み指図をしたくなります。しかし、証券口座に留め置いた100万円と、出金した100万円の寿命は異なります。特に日常使用するメインバンクを出金口座にしていた場合、要注意です。

非合理的な口座管理のことをメンタルアカウンティングとして行動ファイナンスでは指摘していますあ、「よいメンタルアカウンティング」もあります。つまり「口座を分けたことで、お金を使わずにすむ」という可能性です。証券口座はそのひとつだと思います。

私たちは証券口座を日常資金の口座とはみなしていません。「うまく儲かったら、ぱっと使おう」と思う人はあっても「毎月証券口座から10万円引き出して日常生活費に充てる」と考える人は少ないでしょう。これは老後資金を取り崩さないためにはいい「器」です。

証券口座に残しておけば、またいつか再投資を行う可能性も残りますし、銀行預金より利回りも高いことが多いものです。利益確定した資金については、少なくとも証券口座に残し、MMF等で運用を継続することをオススメします。銀行口座に移すと、ずるずると取り崩してしまい、気がつけば半減、ということもしばしばです。「よいメンタルアカウンティング」として証券口座を利用してみましょう。

(アイデア4)NISAで再投資をする

先ほどの(アイデア2)については、NISAを使ってみるという方法もあります。この場合NISA口座を開設しておくことが前提です。また、NISAの口座は2014年1月以降でしか購入できませんので、しばらく放置しておいたまま、ほったらかしになるリスクもあります。

しかし、NISAのほうが投資条件として優れている部分があるのは確かです。年間の投資可能額は100万円までですが、売却益については非課税ですから、現行の軽減税率よりも有利になるからです。売買手数料がNISA口座の方が有利な場合もあります。利益確定「その後」も運用を継続したい、また利益確定前の銘柄と異なる銘柄で投資を継続したい場合には、積極的に検討してみるといいでしょう。

ただし、いくつか注意点もあります。まず、投資をした年から数えて5年目の年末までがNISA口座の期限であることです(ただし、手元の証券口座に移管すれば、そこまでの含み益は非課税のまま運用を継続できる)。また、損失が生じた場合は損益通算の対象となりません。

いくつかのデメリットを差し引いても、多くの個人投資家にとってNISAは2014年以降の有力な投資選択肢たりうると思います。投資を続けていくための器として、前向きに考えてみたいところです。

利益確定の「その次」を意識する

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