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U-40世代が考えておきたい「インフレ」対応の資産形成
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

U-40世代が考えておきたい「インフレ」対応の資産形成

2013/3/27
サッカーのオリンピック代表をU-23(23歳以下の意味)といいますが、団塊ジュニアより若い世代はさしずめU-40世代ということになります。バブル世代以上の年代と区別してみると、U-40世代にはひとつの特徴があります。
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インフレターゲットといわれてもぴんとこない世代

私はちょうど40歳です。団塊ジュニア世代の先頭ランナーで、就職氷河期の最前列の世代です。自分が大学1年のとき、4年生の先輩が楽勝でNTTに入ったのをみていて「就活なんてそんなもんなのか」と思っていたら、自分はひどい就活を味わう羽目になって、世の中をずいぶん恨んだものです(しかし、あのときひどい目に遭ったことが、今こういう仕事につくきっかけなのだから、世の中は分からないものですが)。

サッカーのオリンピック代表をU-23(23歳以下の意味)といいますが、団塊ジュニアより若い世代はさしずめU-40世代ということになります。バブル世代以上の年代と区別してみると、U-40世代にはひとつの特徴があります。それは、インフレ未経験世代ということです。

デフレ退治のため、政府も日銀も口を揃えてインフレターゲットを叫ぶ時代に「それ、何のこと?」とぴんとこない世代です。団塊ジュニア世代は子どもの頃にかすかにインフレの印象があるのですが、社会人になって以降はデフレしか知りません。今、新社会人になる世代などはまったくインフレを経験していません。

しかしインフレは資産形成においても大きな問題のひとつです。今回は、なんとなく投資を卒業するキーワードとして「インフレ」をあげてみたいと思います。

かつて初任給が1年で30%アップした時代もあった!

インフレが貨幣価値の低下、つまりモノの値段の上昇であることは教科書的知識です。しかし、実感としてのインフレを理解できない世代にとって、インフレの怖さはなかなか理解できないと思います。

すでに定年退職を迎えた、いわゆる団塊の世代はインフレを何度か体験した世代です。過去のデータをさかのぼってみると、1970年前後の新卒初任給の変化にインフレの激しさを見ることができます。下図は1950年からのインフレをグラフ化したものですが、昭和25年以降でもなんと8倍ものインフレを日本は味わっていることが分かります。

展望社「物価の文化史事典」は物価上昇のすさまじさを克明に記録した良書ですが、大卒初任給についての項目をみても現代の感覚からすれば異常さが伝わってきます。1965年度に24,102円であった男性大卒初任給は、1970年度に40,961円、1975年度に91,272円と急増、1980年度にはなんと118,138円まで高まります。1968年度から74年度にかけては毎年10%以上の上昇ペースが続き、1974年度は前年比28.8%増を記録しているほどです。

しかし、消費者物価指数も1965年から1980年までの15年間に3倍になっています。金額ベースでどんどん増えた給与も、実はかなりの部分は物価の上昇を補うものでしかなかったのです。

これから、こんな極端な時代が戻るとは考えにくいのですが、「モノの値段が上がる」「貨幣の価値が下がる」という時代が来ても私たちは運用を考えていく必要があります。

インフレは運用目標の上方修正要因である

もし個人投資家の皆さんが、「インフレがくれば景気回復だ」とのんきに考えていると、おそらく足下をすくわれることになります。というのは、インフレはあなたの運用目標を上方修正しなければならない、厳しい要素であるからです。

「たかが年+2%の変化」と思っていても、10年連続すればモノの値段は22%増加します。1,000円で買えたTシャツも、年2%の値上げを10年続けると1,220円になる計算です。当然ながら10年後には1,000円ではTシャツが買えないことになるので、リスク運用などを行い、資産価値を10年後までに1,220円まで引き上げておかなければなりません。

モノの値段が上がるということは、必要な資金額も多くなる、ということです。仮に現在3,000万円の老後資金目標額を設定していたとしたら、インフレを考慮しこれを増額改定しなければなりません。つまり、3,000万円の目標は3,660万円になるわけです。これはかなりヘビーな話です。

老後の資金準備の難しさは、数十年先の資金ニーズに合わせて、できるだけ早くから資産形成を行わなければならないところにあります。直前に準備しても間に合わない金額なので長期にわたった計画が必要なのですが、運用の不確実性以上に不確実要因になってくるのは実はインフレなのです。

これは、話を言い換えれば、運用によって得られたリターンの一部がインフレに食われてしまうということでもあります。インフレが2%継続する世の中において、2%以上の運用を実現することは難しくないかもしれませんが、実質的な価値で考えればこれは資産の増になっていません。価値が維持されたにすぎないからです。

今の時代において5%のリターンは実質的にも資産価値の5%増ですが、2%のインフレ時にはこれは実質+3%でしかないと考える必要がでてきます。この20年、インフレを資産運用において考慮する必要はありませんでしたが、どうやらこれからは違うかもしれません。

インフレ時代の老後資産形成はどうなるか

自己資金における資産形成がインフレを視野に入れて運用計画をコントロールすべきだとして、他の老後資産形成制度はどうでしょうか。

退職一時金制度や企業年金制度についてはインフレに見合った増額改定をしてくれれば資産価値が維持されます。かつてはそのような対応が標準的でした。ただしこれから起きるインフレにおいて同等の改定が行われるかは保証の限りではありません。なお、確定拠出年金(日本版401k)は自己責任で運用を行いますから、インフレへの追随も自己責任のもと運用していかなければなりません。

国の年金制度については、マクロ経済スライドが発動され、インフレよりも少なく年金額を増額させることになります(当初計画時はインフレ2%時に1.1%の増額改定としていたが、増額幅はもっと少なくなる可能性が高い)。一見すると年金額は増額されますが、実質的にはじりじり目減りし、最終的には公的年金水準を15%ほど低下させていくことになります。

全体的に考えると、自助努力における老後資産形成はもっと目標を上方修正しなければならないでしょう。先ほどの3,000万円目標を3,660万円に引き上げるだけでは十分ではなく、公的年金水準の目減り分等を考えれば4,000万円以上にしなければならないかもしれません。

将来の賃金増がもしもたらされたとしたら、老後のための積立額をベースアップさせることがまず必要です。また、リスク資産の運用においては上昇益を獲得できる時期に、これをしっかり得ておくことも欠かせないでしょう。

今回はインフレが老後資産形成に与える影響の原則を解説してみました。インフレ時代のリタイアメントプランニング、あるいは運用術については、今後も情報提供していきたいと思います。

過去を振り返れば、インフレは激しく生じてきた

毎年2%のインフレも続けば10年のインパクトは大きい

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