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少し気が早いが日本版ISAの活用法を検討してみる
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

少し気が早いが日本版ISAの活用法を検討してみる

2013/2/27
現在、譲渡所得にかかる税率を10%に引き下げる証券優遇税制(上場株式等の配当等及び譲渡益への課税にかかる優遇税率)が行われていますが、2013年末をもってとうとう終わりを告げようとしています。
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2013年12月で証券優遇税制が終わりを告げる

現在、譲渡所得にかかる税率を10%に引き下げる証券優遇税制(上場株式等の配当等及び譲渡益への課税にかかる優遇税率)が行われていますが、2013年末をもってとうとう終わりを告げようとしています。

1月29日に閣議決定された「平成25年度税制改正大綱 PDF」では、証券優遇税制の廃止が明示され、あわせて日本版ISAの拡充が設けられました。

ISAとはイギリスの個人貯蓄勘定(Individual Savings Account の略)をモデルにした制度で、少額投資非課税制度等と日本では説明されています。イギリスのISAは老後資産形成を促進する政策として大きく普及し、投資信託等の金融ビジネスを発展させただけでなく、国民の資産形成にも大きく寄与したものと評価されています。

まだ口座開設申込みもできない段階ですが、一足お先に日本版ISAの活用法を考えてみたいと思います。

日本版ISAの概要

楽天証券にも日本版ISAの解説サイトがオープンしていますので、ここでは概略を説明します。

まず、2014年から毎年1口座、ISAのための口座を開設します。1口座についてはその年に100万円までの投資が可能になります。入金方法はまだ確定していませんが、イギリスのISAなどを参考にすれば一時入金だけでなく定期的な入金方法も用意されるものと考えられます。

当該1口座において投資を行った上限100万円までの資金については配当益・譲渡益が非課税となります。ただし一度(購入→売却)までプロセスを行うとその枠を再利用することはできません。

1口座ごとの非課税枠は5年目の年末まで繰り越されます。2014年に購入した100万円については、2018年末までに行った利益確定が非課税となりますので、最大で100万円×5口座(5年間に毎年1口座)が非課税投資枠となります。

もし5年間で売却をしなかった場合、100万円までの範囲でしたら新しい年のISA口座に移すこともできます。先ほどの例だと2018年末まで引っ張った資産を2019年の口座枠に移すこともできるわけです。

スタート時点では2023年まで10年間はこの制度が継続するものとしています。イギリスの例などをみると普及が進むたびに規制緩和や期間延長が行われましたので、10年のあいだにさらに使い勝手が良くなる可能性は大いにあります。

問題は売り買いしながら長期保有できないこと

日本版ISAの概要は以上ですが、似たような仕組みで税制優遇のある確定拠出年金と比較すると違いがよく分かります(確定拠出年金は日本版401(k)としてアメリカの同種の制度をモデルにしている)。

確定拠出年金でも、確定拠出年金口座内にある資産の譲渡益等がすべて非課税となる点で日本版ISAと似ています。しかし、60歳になるまで何度売り買いしてもよい点がISAと大きく異なります。受け取り時点まで、ずっと税制優遇(運用益非課税)が続くのです。複数の運用商品間を移動しても非課税が継続するわけですから、リバランス等のテクニックを使って運用期間中は部分的利益確定をしていくことができます。

ISA活用のヒントはどうやらここにありそうです。税制メリットを享受するのが利益確定時の一度に限られますので、可能であればできるだけ長期保有し、含み益を最大化する戦略が必要になります。

また、最大でも500万円しか資産をおけないことも中長期的な資産形成としては難点です。100万円ぴったり投資し、5年後に150万円まで値上がりしていた場合、仮に6年目の新口座に引き継ぐとしても、50万円は利益確定しなければなりません。

そもそも、老後資産形成を国民に本気で考えさせたいのであれば、最大500万円といわず、毎年100万円の入金を10年以上続けさせるほうがいいのですが、現行の制度のままですと「500万円原資は作ったので、あとは5年ごとに回転しながら含み益だけ利益確定」という使われ方になるかもしれません。

その他、1年あたりの入金枠はISAのほうが勝りますが、所得の段階から非課税になる確定拠出年金のほうが税制優遇に軍配、など一長一短あります。比較表を作っておきましたので、図のほうも合わせてご覧ください(たぶん、確定拠出年金との比較では現状もっとも詳しく正確だと思います)。

活用法としては現物株より投信向きか、少額からでも積み立てしたい

さて、日本版ISAの活用方法を現状でまとめてみます。

まず、商品性でいえば、利益確定の形でいったん現金化してしまうと非課税メリットがストップしてしまうのが一番もったいないところです。そうすると、回転売買はほぼ不可能ですから、値動きの激しい現物株式を複数保有するより、投資信託を活用したほうが妙味があります。限度額ぎりぎりまで購入することを考えても投資信託のほうが使い勝手が勝ります。

また、投資信託においても、異なるアセットクラスの投信を複数本保有して、リバランスしながら中長期保有するようなアプローチは日本版ISAでは採用できません。それよりも、バランス型の投資信託において「運用方針に示したモデルポートフォリオに従いリバランスする」という運用方針のものを選択するほうが商品を解約しなくても利益確定や安値仕込みをしてくれることになるので、日本版ISA向きです。イギリスのISAでもバランス型投信が人気のようですし、投資初心者が国際分散投資を実践するいいきっかけにもなるでしょう。

ただし、悩みどころはバランス型投信の手数料が割高になるところです。できれば割安な手数料設定をしたバランス型投信(できれば新興国も投資対象に含めたもの)が商品設定されることに期待したいところです。中長期保有を前提にすれば、購入時にかかる販売手数料は取っても、期間中の運用手数料は割安にするような、挑戦的価格設定が見てみたいところです。

アクティブ型の投信については永続的な好成績を期待することは難しいので、利益確定のタイミングを考えなければなりません。個人的にはインデックス運用に分があると考えますが、そこは個人の嗜好に委ねてもいいところでしょう。

先に比較をしてみましたが、個人型の確定拠出年金やマッチング拠出については、日本版ISAと比較しながら、あるいは併用するに足る大きな税制メリットがあります。金融機関が積極的に勧めないのは、彼らが儲からない商品だからで、この機にセットで検討してみるといいでしょう。

日本版401kや日本版ISAと言うと、輸入パッケージばかりのようですが、これらは国の制度でありながら、各金融機関が商品性を競い合い口座獲得合戦を繰り広げる新しい金融商品です。画一的な商品設計を押しつけられる昔の国の老後資産形成支援制度とは異なります。21世紀向きのモデルです。

秋以降、具体的な商品設計が見えてくると思いますが、前向きに検討してみるといいでしょう。

通常の投資、確定拠出年金と日本版ISAの比較表

今からイメトレしておきたい日本版ISA活用方法

NISAについての詳しい情報はこちら

NISA

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