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企業年金・退職金に老後の資産形成はどれだけ頼れるか
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

企業年金・退職金に老後の資産形成はどれだけ頼れるか

2012/4/12
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファイナンシャル・プランナーであり年金の専門家である山崎俊輔氏がやさしく解説していきます。
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老後のお金の柱として大きい「退職金・企業年金」

AIJ投資顧問の資産消失問題も少しずつ落ち着きつつあるようです。しかし、本当の解決に向けてはまだ長い時間がかかります。
今回の衝撃的なニュースではじめて「退職金・企業年金」について考えた人も多かったのではないでしょうか。おそらく、今まで退職金・企業年金について真剣に考えたことはない、という人がほとんどでしょう。

会社が定めにもとづき社員の退職時にお金を支払う制度を退職給付制度といいます。一時金で払うものが退職金(退職一時金)、年金払いの選択肢があるものを企業年金といいます(厚生年金基金、確定給付企業年金、企業型の確定拠出年金がある)。
退職給付制度の採用は労働基準法における義務ではないので、制度の有無、給付の水準等は企業ごとに労使間で決められます。

給付水準は企業ごとに異なるものの、中小企業でも500~1,000万円程度、大企業であれば2,000万円以上になることもあり、これは老後資産形成上大きな柱です。
ところが、企業によっては、これを減額したり廃止することもあります。そのため、セカンドライフに向けた資産形成の柱に大きな影響が出てきます。今回、AIJ投資顧問会社へ運用委託の割合が大きかったところでは、制度の廃止(解散)や給付の減額を行うところが出るかもしれません。
今回は老後資産形成における退職金・企業年金のリスクと対策について考えてみます。

退職金、企業年金の減額・不支給リスクはどの程度か

退職金や企業年金制度は、必ずしもその給付が保証されているわけではありません。また、事前積立の有無にも大きな違いがあります。分かりやすく整理したのが下記の表です。

企業年金の積み立て不足がよくクローズアップされていますが、実は退職一時金制度は積立義務そのものがありません。積み立てゼロというところも多いのです。企業年金については積立不足を有しているところが多いものの、事前準備と外部積立(会社が資金流用できない)が義務付けられています。仮に10%~20%の積立不足があっても、企業年金制度のほうが資産の保全体制があるといえます。

退職金制度や企業年金制度は、減額リスクがあります。会社の存続、雇用の維持が困難である場合には、退職給付制度の改定を行うことがあるからです。
退職一時金制度については退職金規定の改定で減額されます。話し合いは求められますが労使合意は義務ではありません。ただし減額の程度が著しい場合は不利益変更として認められないことがあります(労働基準監督署が指導する)。
企業年金制度については労使合意にもとづき、減額の改定を行うことがあります。この場合は、制度を主管する厚生労働省の認可を必要とし、減額の必要性や程度についてチェックされます。業績好調な企業の減額は認可されないこともあります。
過去の例ではJALが現役5割、OB 3割の給付カットしたことが話題になりました。5割はかなり厳しい例ですが、赤字転落に陥っている有名企業などでは数割程度の給付引き下げは珍しいことではありません。

こうした給付削減の改定の恐ろしいところは、それこそ59歳の人にも即座に影響し、60歳退職時に減額された給付を受け取ることです。これはつまり、退職直前に数百万円の給付減が決まる可能性がある、ということです。退職直前者に経過措置を設けることもありますが、老後資金準備としては、退職直前にリーマンショックがきて、保有資産価値が大きく下落するようなリスクがあるというわけです。

頼りつつ、頼りすぎない老後資金準備が重要

こうした「減額リスク」「制度終了リスク」については今後高まっていくと思われます。つまり、個人の老後資金準備計画にも少なからず影響を及ぼすものと考えていく必要があります。少し対策方法を考えてみましょう。

まず、「楽観的な老後資金準備プラン」を考えてみます。国の年金で基礎的な生活費がまかなえ、不足する分として老後の資金準備を3,000万円と仮定、うち退職金・企業年金のモデル水準が1,500万円であったから、残りの自助努力分を1,500万円としているようなケースです。

しかし、冷静に考えれば、公的年金については、給付水準の引き下げを織り込んでいくことが必要です。消費税増なども実質的な給付減額要因になることはすでに本連載でもまとめているところです。

そのうえに、退職金・企業年金について給付の減額があったとすれば、これは老後資金準備に大きな影響を及ぼします。
先ほどの例で公的年金の不足を考えて、老後資金準備の水準を3,500万円に引き上げ、さらに退職金・企業年金水準が20%ダウンしたとすれば、300万円の影響が生じますから、自助努力枠はなんと2,300万円までアップすることになります。

結果として退職金・企業年金のカットは行われない場合もあるでしょう。しかし、50歳代後半になってから制度変更(減額)があってからでは軌道修正が間に合いません。対策としては、自助努力における資産形成の取り組みを強化し、「給付減少の可能性」が現実化してもなんとか老後をやりくりできるようなバッファーを多く作っておくことが必要です。

結果として給付カットがなければ老後資金が増えてリッチな老後を実現できますから、がんばって無駄になることはありません。「減額リスクに備えた老後資金準備モデル」についても考えてみたいところです。

401kは「会社に減らされない」最強の制度

ところで、確定拠出年金(日本版401k)は、「会社に減らされない」制度です。401kといえば自己責任による運用を行わなければならず、厳しさが強調されることが多いのですが、会社に減らされない企業年金制度でもあるのです。

確定拠出年金において会社の都合で減らすことができるのは、勤続3年未満で辞めた場合だけです(退職金も勤続3年でもらえるようになるのが一般的)。それ以上勤めた場合はどのような理由であっても、会社が事後的に給付をカットすることができません。

自己都合で中途退職した場合でも、会社の業績が悪化したとしても、今まで積み立ててきた資産を減額することは一切できません。懲戒解雇であっても、会社が倒産したとしても全額が個人の資産として保全されます。

そう考えてみると、自己責任を押し付けられた分のメリットもあることが分かります。老後資産形成における401kのメリットは、覚えておくといいでしょう。

退職金・企業年金に頼れるか

頼りつつ、頼りすぎない老後資金準備

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