運用方針は「ファミリーアロケーション」が考えられれば理想的
口座開設と積立は「まずは夫婦ともにやっておこう」という結論になりますが、iDeCoを夫婦がそれぞれ開設した場合、運用方針についてどこまで情報共有するかは難しいところです。
夫婦でチャレンジする、といっても個人の管理すべき口座ですから、詳細な売買履歴についてお互い介入するべきではないと思います。ただ、それぞれがどのような投資スタンスで臨むかは共有しておきたいところです。たとえば
- 全額投資する
- 一部分(たとえば半額)投資する
- 全額安全運用とする
くらいのところでは情報共有しておきたいところでしょう。
iDeCoとそれ以外の資産(特に退職金)をトータルで考え、資産配分を検討する「アセット・ロケーション」の発想が重要であることは指摘されるようになりましたが、ここでは夫婦それぞれの資産状況も踏まえた資産配分の検討もできるようになります。いわば「ファミリー・アロケーション」のような意識です。
例えば
- 「投資経験のある夫はiDeCo掛金を100%投資する。これも含めて夫の資産は7割程度を投資に回す」
- 「投資経験もなく理解と関心もないため妻はiDeCo掛金を100%安全資産である定期預金におく。これを含めて妻の資産は100%安全資産になる(ただし個人向け国債は利用する)」
- 「夫婦の合計資産でおおむね5割程度が投資され、5割程度は安全確実な資産に置かれるよう意識する(個人向け国債は安全資産と位置づける」
くらいの意識共有があるだけでも十分です。
最終受け取り額についての意識共有も(掛金拠出計画を考える際に)重要です。しかし、個人において運用益を加味したシミュレーションは少々複雑になりますし、必ずしも実現性が保証されるわけではありません。まずは「元本で60歳にはどれくらいになるか」だけでも理解しておくといいでしょう。
まとめ 実行した夫婦ほど老後の笑顔が増やせる
「夫婦でiDeCoを2口座作る」というテーマで考えてみました。共働きの場合、それぞれが資産形成をしている(あるいはまったくしていない)ことが多く、なかなか話し合いの機会がないものです。
一度決めてしまい、口座開設まで持ち込めば、iDeCoのいいところは確実な積立継続につながることです。毎月少額であろうとも、最終的には老後の豊かさを獲得する大事な財産に成長することでしょう。
今、ちょっとの時間を作って話し合い、そして行動に移した夫婦ほど、老後の楽しみが増やせるはずです。
学費準備や住宅ローンの返済計画だけではなく、老後資産形成についても話し合ってみることをおすすめします。