先週は、目先NYダウの下落を想定したが、逆に上放れの形へ

先週は、為替の動きからみると数日中に目先はドル高のピークとなる可能性があることから、12月4日(金)の90.76円に対するダブル天井のような形となっていったん円高へ向かい、NYダウも10,231ドルを切って下落となり、日経平均も連動する(その場合は、NYダウに比べて下げは軽い)ケースも想定していました。しかし、為替が想定以上のドル高にフレ12月23日(水)には91.881円まで上昇しました。(日柄的には数日中に目先はドルのピークとしていましたので、この日がそうなるかもしれません)。そのため輸出関連株中心に買われ、日経平均は上昇することになり、12月24日(木)は△158円の10,536円となって約3カ月ぶりに10,500円台を回復しました。又、アメリカ市場ではハイテク企業の業績好調や半導体市況の回復からナスダック指数が高値を更新し、NYダウを引っ張る形となったことで12月24日(木)のNYダウは△53ドルの10,520ドルとなって10,231ドル~10,516ドルのもみあいを上にぬけました。しかし、12月25日(金)の日本市場は利益確定売りで▲42円の10,494円で引けました。結局、為替が想定以上の円安進行となったことやナスダック指数がNYダウを引っ張ったことで、NYダウは10,231ドル~10,516ドルを上にぬけ、そのため、この中での日足での売りの形が消滅したことになり、日経平均が戻りを試す形となりました。ただし、前週の12月18日(金)の日足での10,027円までの長い下ヒゲはあとで実体で埋めにくる確率が高いので頭に入れておく必要があります。ここで12月7日(月)のメッセージを再度検討してみる必要がでてきました。

12月7日(月)の下げても戻りを試していく形へ-予想外のシナリオも描けるか?

12月7日(月)の分析では、この日に△145円の10,167円で買いの法則(ろあ買)が出現したことで、いずれ日足の上値抵抗ラインである10,500円台を試す可能性がでてきたとし、終値で10,600円を突破(日足では8月31日の年初来高値10,767円)できれば三尊天井を上にぬけて“三尊天井崩れ型”という再騰の形になるとしました。そうなると週足でみると現時点での上値ゾーンである11,000円が今回の戻りの最終地点というシナリオを描けることになることを想定しました。先週の動きをみる限り12月24日(木)に10,558円まであって終値は△158円の10,536円と約3カ月ぶりに10,500円台を回復し週末(12月25日)一服したあと、本日は△139円の10,634円となしましたが出来高が少なく、どこかでNYダウの下落と円高となっていったん下落し、押し目が浅ければ(下げても12月10日の9,834円で止まるところ)次の上昇では8月31日のザラ場での年初来高値10,767円を目指し、ここをぬけると11,000円ということも視野にはいってきます。

為替次第で、12月7日(月)に想定した“予想外の上昇シナリオ”へ

12月7日(月)の“予想外の上昇のシナリオ”が現実味を帯びてきました。私はNYダウの10,231ドル~10,516ドルのもみあいの中で売りの形が出来上がっていたことで10,231ドルを切るとNYダウは大きな下落となり、日経平均もつれ安して買いチャンスが到来すると考えていました。しかし、先週の12月24日(木)に新規失業保険申請件数が減少し、雇用改善が進んでいることでNYダウも引っ張られ△53ドルの10,520ドルとなって10,231ドル~10,516ドルのもみあいを上放れしました。これによってNYダウの売りの形が消えたので、当面は大きな調整が遠のいた形となります。

日経平均は、為替の円安とナスダック指数の上昇を受けて値ガサハイテク株が指数を引っ張り12月24日(木)には10,558円まであって△158円の10,536円となり、週末は利益確定売りで▲42円の10,494円でした。日経平均がこのまま上昇して、まず8月31日(月)の10,767円の年初来高値を試すという見方もありますが、そのためには為替の円安が続くことが前提となります。その為替ですが目先は8月22日(火)の91.84円がピークとなっている可能性もあり、ここで円安一服も考えられます。今回の為替の動きは日銀総裁がデフレ対応を明確にしたことで、日米の金利差の拡大からアメリカの長期金利が上昇して、ドルが買われているのですが短期金利の方では日米の金利差が縮小しており、ドルの上値を重たくしています。ただし、目先ドル高のピークとしても日銀の姿勢がかわりましたので前回のように円高が進んでいくということにはなりにくいといえます。むしろ、日経平均の上昇の形を考えるといったん円高となってもそれほど進行せず、もしくは日柄をかけて現水準でもみあったあと、8月22日(火)の91.84円を上にぬけると95円を試す円安の動きも想定されます。それを織り込む動きとなれば日経平均は週足のフシの上値抵抗ラインの11,000円台を試すことになります。

日経平均は、為替とNYダウの動きによってちょっとした調整のあと、上値を目指すのか、もみあいがしばらく続くのかとなります。このところ寄り前注文で外国人投資家の買い越しの日が続いてきているので世界の株式市場からみた出遅れ市場として目が日本市場に向いてきている面もあります。

来年はどうなる?株価は年前半高、後半安の可能性

民主党の予算編成も終わり来年の景気はどうなるのか誰もが気にかかるところです。12月21日(月)の日経新聞のトップの見出しに『景気二番底、半数が懸念』となっており、円高進行と政策に不安感が広がっています。これは日本経済新聞社が「社長100人アンケート」を実施したもので、国内景気が本格回復する前に再び下降する「二番底」を懸念している経営者が全体の約半分の47.2%を占めることが分かったとしています。円高の進行と政策の先行きの不透明さなどが主因で、国内景気が改善しているとの回答も前回の調査(9月)の7割から5割に下がっているということです。成長市場としては経営資源を優先して配分したい地域としては日本の41.1%に対して中国や韓国を中心とする東アジアに72.1%となっています。アメリカ経済は大型の景気対策と超低金利政策による過剰流動性から金、原油など商品市況が上昇し、つれて株価も上昇して年初来高値を更新していますが、本格的な回復という見方は少なくバブル的な動きとみている人が多いようです。住宅ローンの焦げ付きは上昇を続け、失業率も改善が遅く、個人投資家が回復するにはまだ時間が必要です。

伝説の投資家といわれるジム・ロジャース氏はダイヤモンドZAI(1月号)のインタビューで次のように言っています。「各国中央銀行が一斉利下げと大型の景気対策で昨年より経済は持ち直しているようにみえますが、単なる見せ掛けにすぎない。今年は米国の地銀が100行以上潰れたが、来年はもっと多くの企業が潰れるだろう、今米国債は買われ過ぎだが、いずれ暴落すると思っている。大量の負債と過剰消費を抱えているアメリカ通貨は長期的に下落せざるをえない。ただし、米ドルは相当売られたので短期的には買いが入るとみている。短期的に戻してきたら売り払えるいいチャンスだと捉えている。中国株は死ぬまで持っているつもりだ。2人の娘たちにも中国語を勉強させている。日本円に対してはしばらく強気だ。アジアに向けて輸出している日本企業はいいと思う」

日本の経営者に限らず世界中の金持ちまで中国に目を向けています。過去の経験則からも大天井を打ったアメリカ株式は、現在の上昇は大暴落後の戻りであり長期にわたって下落を続けていくのは間違いありません。そうだとすれば日本経済が輸出型の産業で成り立っている限り、中国を中心とするアジアへの比率を高めていくのが長期戦略だといえます。来年は、まだそれまでの過渡期であり、アメリカ経済に左右される状況からはぬけ出すことができないでしょう。日本の経営者が心配しているような「二番底」には結果としてはならないと思われます。それは政府をはじめ、それが起こる可能性をわかっているためです。すでに分かっている材料では暴落などは起きません。もし株式市場が大きな下落の動きとなれば、すぐに追加の景気対策がでてくることになります。民主党が7月の参議院選挙で大勝するためには経済が回復をみせないといけないので株価が7月までに下落する場面があれば対策が打たれることになるでしょう。2010年は前半高、後半安というパターンが考えられます。

(指標)日経平均

先々週のNYダウが3日続落となり、この週末の日経平均は長い下ヒゲの小さな陽線という売りの形となったことで、先週はNYダウが10,231ドル~10,516ドルのボックスの下限を切った場合を想定しました。しかし。為替が想定した90円台後半でのダブル天井とはならず91円台後半までの円安進行となったことや、ハイテク企業の多いナスダックが連日の高値更新となったことで、日本市場は値ガサハイテク株中心に輸出関連銘柄が買われ12月24日(木)は△158円の10,536円となりました。この日のNYダウは新規失業保険申請件数が減少したことから雇用の改善が期待され△53ドルの10,520ドルと10,231ドル~10,516ドルのボックスを上にぬけました。これによってボックス内でできていた日足での売りの形は消滅しましたので、当面は大きな調整は遠のいたといえます。12月28日(月)の日本市場は、91円台の円安水準に落ち着いていることや寄り前発表の11月の鉱工業生産指数が予想の△2.4%をこえる△2.6%と9カ月連続上昇となったことを好感し、又、アジア株式が大きく上昇していることを受けて8月31日以来の△139円の10,634円となって終値での年初来高値更新となりました。ここで注意すべきことは売買高が14億5,713万株、出来高9,489億円と極端に薄く、又、トピックスは△5Pの914Pと日経平均に比べて上昇しておらず、値ガサハイテク株中心の相場だといえるため、為替が円高にフレるようだとすぐに下落になるということです。

日経平均のチャートの形としては、本日(12月28日)2つ目の山である8月10日の10,630円をぬきました。柴田罫線では10,656円以上で引けないと引線がでて三尊天井崩れ型にはなりません。このまま上昇するかどうかは為替次第ですが、ここではいったん1万円近辺まで調整した方が相場が長続きすることになります。リスクをとれる人は1万円近辺の調整であれば買いとなりますが年数回の大きな調整は今回の戻りを試したあととなります。

日経平均

(指標)NYダウ

11月27日(金)の10,231ドルを守って10,231ドル~10,516ドルのもみあい(ボックス相場)の中で日足で売りの形ができているために、下放れする確率が高いとみて要注意としてきました。しかし、ハイテク企業の業績好調でさらに半導体市況の見通しが好調なことからハイテク銘柄が買われナスダック指数が高値更新となって、NYダウを引っ張る形となりました。12月24日(木)は11月耐久財受注や新規失業保険申請件数が改善され、ヨーロッパ株式が年初来高値で引けていたことで買い安心感が広がり半日取引ながらクリスマスラリーが続き、ハイテク株がけん引してNYダウは△53ドルの10,520ドルと想定していたのと逆に上放れの形となりろく買出現となりました。これでもみあいの中の売りの形は消滅したことになります。高値圏でのろく買は売法則に転換しやすいので注意が必要です。アメリカ株式の上昇はゼロ金利をもとに過剰流動性によるマネーゲーム化していますので、何かきっかけで大きな下落となることを念頭に置いておく必要があります。

但し、目先は10,231ドル~10,516ドルの長いもみあいを上にぬけたことで、この中ででてきていた目先での売りの形が消滅しましたので、上放れの形となってもう少し上値を試すか、高値圏でのもみあいが続くのかどちらかとなります。その間は日経平均は出遅れ感から戻りを試すことができます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、12月4日の90.76円、12月18日の90.91円とダブル天井のような形となっており、数日のうちにいったんピークをつけて円高となっていく可能性があるとしました。しかし、12月21日(月)に白川日銀総裁が低金利の長期化を示唆したことで円売り優勢となり、さらにNYダウの上昇を受けて91円台の円安となり、12月23日(水)には97.88円までのドル買い・円売りとなりました。その後は、やや円安となって週末(12月25日)の終値は91.43円となりました。過去1年近くをチャートでみると昨年の12月17日の87.109円のドル安・円高を安値にドルの上昇トレンド(A)を形成しましたが、この中で3月5日の99.662円、4月6日の101.43円、5月7日の99.764円の三尊天井となって上昇トレンド(A)を下に切り、下降トレンド(B)を形成し7月13日の91.714円まで下落しました。ここから8月7日の97.759円まで反発したあと、今度は下降トレンド(B)よりもゆるやかな下降トレンド(C)を形成することになりました、現在は、この下降トレンド(C)の中で11月27日に84.769円までドルが下落し、ここから反発となって先週の12月23日(水)に91.881円まで戻りを試したところです。92円前後は下降トレンド(B)の上値斜線や強い抵抗ラインがあるところですので、この水準ではいったんドルの下落となったところです。但し、日銀のデフレ対策への姿勢がはっきりしましたので、ドルが深押し(円高進行)しないで、12月23日(水)の91.88円を上にぬけて、下降トレンド(B)の上値斜線にあたる1ドル=95円水準までの円安も想定されます、そうなった時は日経平均の11,000円へのシナリオが実現してくることになります。

ドル/円