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会社の確定拠出年金とiDeCoの投資スタンスは違うものか
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

会社の確定拠出年金とiDeCoの投資スタンスは違うものか

2017/5/2
先日、「自分は投資経験がそれなりにあるが、iDeCoは魅力を感じないので口座開設するつもりがない」という意見を聞きました。
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同じ確定拠出といっても企業型とiDeCoではずいぶん違う

ここしばらく、本連載ではiDeCoこと個人型確定拠出年金と資産運用について考えてきました。iDeCoは、個人が任意で加入する確定拠出年金制度であり、今年に入って急激に加入者数を増やしていますが、すでに普及しており利用者数も圧倒的に多い(約600万人)のは企業型の確定拠出年金です。

600万規模というのは民間の会社員の6人に1人が加入している計算になります(あと数年で5人に1人になる可能性もある)。もしかすると、「iDeCoに興味があったけど、すでに企業型の確定拠出年金に入っているから利用できないんだよね」という読者も多いかもしれません。

企業型の確定拠出年金は、会社の退職金・企業年金制度の一部(ないし全部)として採用されるもので、会社が主体的に制度設計を行います。掛金も会社が出すのが原則です(マッチング拠出もしくは掛金の選択制により自らの資金を追加入金できるケースもある)。

これに対し、iDeCoは個人が任意に加入する制度であり、掛金も全額自らの所得や保有資産から拠出します。

このふたつの制度、企業型の確定拠出年金とiDeCoは、運用のスタンスについて違いがあるのでしょうか。例えばiDeCoの投資本を読んで、そのまま企業型の確定拠出年金の運用の参考にしてよいものでしょうか。

今回はふたつの確定拠出年金制度の運用の違いについて考えてみたいと思います。

企業型DCとiDeCoの違いを確認してみる

最初に企業型確定拠出年金(以下、DCと略す場合あり)、とiDeCoの違いを資産運用の観点から整理してみましょう。

運用商品ラインナップの決定

企業型DC:会社の規約ごとに決定済み

iDeCo:運用商品のラインナップを考慮し好きな運営管理機関を選択できる

口座管理手数料の負担

企業型DC:ほとんどの場合、会社が全額負担する

iDeCo:自ら負担する

掛金額の決定

企業型DC:会社の人事制度にもとづき決定される(多くの場合給与比例)

iDeCo:5000円以上限度額の範囲で自ら決定できる

資産配分の決定

共通:自ら決定する(この項目は差異なし)

税制優遇のつきかた

企業型DC:会社負担の掛金について所得控除はない(マッチング拠出があって自らの所得から掛金拠出した場合はiDeCo同様の所得控除扱い)

iDeCo:全額が所得控除になり所得税・住民税が軽減される

共通:運用益の非課税、受け取り時の軽減税率適用は同一

企業型DCの投資条件をiDeCoと比較した場合、自ら掛金額の決定ができないこと(マッチング拠出分を除く)と、掛金段階での税制優遇により、最初から運用益を稼いだも同然の効果はない、という違いに注目するといいでしょう。

企業型の確定拠出年金の「想定利回り」は目標にしてはいけない

ところで、企業型の確定拠出年金にのみ現れる「数字」として「想定利回り」というものがあります。会社の説明会やパンフレット等に記載されていることがあるものです。

これは「従来の退職金・企業年金制度と同水準の受け取り額を確保するためには、このくらいの運用利回り(年率)を確保する必要がある」という数値です。そう聞くと、「なるほど、この数値が運用目標なのか」と考えてしまいますがこれはミスリードです。

確かに旧制度との比較でいえばそうかもしれませんが、自己責任型の企業年金制度に移行したわけですから、想定利回りを上回る期待リターンを目指してリスク高めのポートフォリオを組もうが、想定利回りを下回ることを受け入れたうえでリスク控えめの資産配分としようがそれは個人の自由です。

むしろ個人のリスク許容度のほうが重視されるべきところ、「想定利回りを確保するためのポートフォリオ検討」になっていることがあり、注意すべきです。

また、確定拠出年金の中だけで想定利回りとの兼ね合いで資産配分を行うよりは、自らの手元資金も一体的に考えたうえで資産配分を考えるほうが効果的です(アセット・ロケーションの発想)。

仮に元本確保5:投資信託5の投資比率を考えたとしても、手元に同額の資金があるなら、手元でも5:5で投資し、確定拠出年金でも5:5で投資をするような非効率な資産配分をする義務はありません。

超低金利の定期預金を確定拠出年金の中で保有し、利息を全額非課税で受け取ったところでわずかなメリットでしかありません。確定拠出年金は全額投資信託に振り向け、手元は全額定期預金とし、リスク資産をすべて確定拠出年金内で保有し、その運用益を全額非課税で享受する、という選択があっていいわけです。

会社の投資教育はどうしても会社のメッセージになりますから、想定利回りを強調しがちです。しかし個人は個人の立場から運用方針を検討していけばいいでしょう。

本質的には両者に投資方針を変える必要はない

iDeCoと企業型の確定拠出年金の投資条件の違いを整理してきましたが、基本的に投資の方針を区別する必要はありません。

アセット・ロケーションの発想で、確定拠出年金内の資産とそれ以外の資産を一体的に捉え、自分なりの資産配分を考えられるならば、企業型の確定拠出年金とiDeCoの投資方針に差が出ることはないはずです。

iDeCo本を読んで資産運用のスタイルを考え、企業型の確定拠出年金に活用してもかまいませんし、一般的な投資書籍のエッセンスも確定拠出年金の運用の参考になります(ただし短期売買の手引き書は確定拠出年金投資では役に立たないので要注意)。

iDeCoは自らのお金を拠出する感覚が強い一方、企業型の確定拠出年金は「会社が出してくれるお金」ということで実感を持ちにくい人が多いようです。しかし、自分が働いて得た労働条件の一部に確定拠出年金の掛金も含まれており、それもあなたの仕事で稼いだお金だと考えてみてください。

企業型の確定拠出年金とiDeCoは基本的に同時加入できません。企業型の確定拠出年金の加入者も確定拠出年金のメリットを活かしつつ、積極的に老後資産形成に取り組んでみてください。

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