1月21日
12年第4四半期のGDP成長率が7.9%に回復、不動産市況などの回復が寄与
国家統計局によると、中国の2012年第4四半期のGDP成長率は前年同期比7.9%と、第3四半期の同7.4%から回復傾向を示した。この数字はBOCIの予想を小幅に上回る水準。下期の不動産市況の回復や銀行融資の拡大が成長底上げに寄与した。また、12年通年のGDP成長率は前年比7.8%(1-9月期は前年同期比7.7%)。セクター別では、農業部門のGDP成長率は豊作を背景に前年比4.5%(1-9月期4.2%)。サービス業も不動産市況の回復や銀行資産の拡大を受けて8.1%(同7.9%)に達した。一方、第二次産業(鉱工業・建設業など)のGDP成長率は通年で7.9%と、1-9月期並みだった。BOCIは最新指標を受け、実体経済の回復基調が鮮明になったとしながらも、今後は金融政策の方向性と不動産市場の動向が景気回復ペースを大きく左右すると指摘。うち金融政策については、3月の全国人民代表大会(国会に相当)まで現行維持とみている。
住宅販売は12年通年で前年比1.8%増と、1-9月期の4%減からプラス成長に転じた。金融緩和と物件供給の回復によるもので、ここ数カ月は住宅ローンの伸びも顕著。また、主要都市部の市況回復を背景に、不動産開発投資も前年比16.2%増と堅調だった。ただ、小都市部の大半は在庫増大圧力にさらされており、BOCIは小都市部の不調が投資全体に影を落とす可能性を指摘。13年には不動産投資の伸びが小幅に減速するとみている。
一方、固定資産投資は9月以降加速に転じ、12年通年で前年比20.6%増。融資制限の緩和や事業認可の加速を受け、第4四半期のインフラ投資、公共サービス投資の拡大が鮮明だった。その半面、従来型産業の多くが供給過剰体質を抱える状況下で、鉱業、製造業投資はそれぞれ11.8%増、22.0%増と、1-11月期の12.2%増、22.8%増から減速した。BOCIは製造業投資、不動産投資の緩やかな減速を見込む半面、インフラ、公共サービス投資の加速を予想。13年の固定資産投資伸び率を前年比17%と予測している。
小売売上高は12月に前年同月比15.2%増と、市場予想をやや上振れた。品目別では、食品・飲料・タバコ・酒が18.3%増、日用品、医薬品(漢方薬を含む)が21.9%増、21.4%増と堅調。原油相場上昇で、石油・関連製品は12月に19%増と加速した。また、住宅市況の回復で、家具、建材・内装材が32.4%増、23.3%増。自動車売り上げの伸びも9.0%に加速した。BOCIは、食品価格の上昇や一般消費財の販売堅調、耐久消費財の売れ行き回復を背景に、小売売上高がこの先緩やかな加速傾向を維持するとみている。
鉱工業生産の伸びは11月に前年同月比10.1%に上向いた後、12月には10.3%とさらに加速した。輸出や住宅市況の回復が背景。軽工業の生産高は12月に9.6%増(11月9.2%増)。重工業も10.6%増(同10.5%増)とやや上向いた。品目別に見ると、通信・電子機器が15.3%増(同12.6%)と回復傾向が顕著。BOCIは従来型産業の設備供給過剰を理由に、13年の鉱工業生産伸び率について緩やかな減速を見込んでいる。