11月15日
共産党大会後の中国、制度改革と経済構造転換を加速へ
11月14日閉幕した中国共産党の第18回党大会で、向こう10年間の発展戦略が明らかになった。胡錦涛・国家主席は党大会開幕に伴う活動報告の中で、経済成長の恩恵が平均的な家庭にも及ぶよう、経済構造の転換や制度改革を進める必要があると強調。また、2020年のGDPを10年比で倍増させる方針を示した。BOCIによれば、この目標を達成した場合、中国のGDPは年間平均およそ7%の伸びを示す見通し。これは第12次5カ年計画(2011-15年)において設定されたGDP成長目標(年率7%)と等しく、政府は2020年まで10年間にわたって国内経済の安定成長を目指す方針を示す形となった。
胡錦涛主席はまた、活動報告の中で、都市部・地方部の所得を2011-20年に年間平均7%引き上げる方針を明らかにしている。人口の増加を考慮すれば、所得水準は向こう10年間、GDPをやや上回るペースで拡大することになる。党・政府指導部は都市部・地方部のすべての世帯が平等に雇用支援、教育、社会保障の恩恵を受けられるよう、より良い公共サービスシステムの構築を目指す計画だ。さらに世帯登録制度を整備し、地方出身の労働者による都市部への移住を段階的に認める意向。このほか、土地収用政策を見直し、土地譲渡に際した農業従事者への保障をより手厚くするとした。また、政府は今後も、低所得層向け「保障性住宅」の整備事業を継続する計画。BOCIはこうした政策方針を踏まえ、「家計消費は向こう数年間にわたって安定成長を維持する」とみている。
党大会の開催に伴い、胡錦涛主席は国内経済発展を促すための制度改革を強化する方針を明らかにした。胡主席は「政府と市場との関係」に効率的に対処するよう政府に要請。政府当局はこれを受け、金融セクター、資源価格、公共サービス・セクターなどの各分野で、一連の“市場化”政策を進める可能性が高いとみられている。経済構造の転換と産業構造のアップグレードの促進が市場化政策の目的。このほか、行政コストの円滑な削減や減税プランの推進にむけ、政府機構再編計画の調整を進める計画も明らかになった。