7月10日
世界的な景気不透明感が投資心理に影響、銅と鉄鉱石のファンダメンタルズが良好

中国の景気減速や米景気回復ペースの鈍さ、さらに欧州債務危機を受け、投資家の多くは金属セクターに対して慎重な投資スタンスを取っている。BOCIは複数のカバー銘柄のバリューに言及しながらも、短期的には金属セクターへの投資意欲がマクロ経済環境に左右されるとみている。品目別では銅および鉄鉱石のファンダメンタルズが良好との見方。この2品目においては、世界最大の金属消費国である中国の国内自給率が低く、輸入依存度が高いことをその理由に挙げた。一方、アルミニウムについては世界的な供給過剰や在庫の高水準を指摘し、価格低迷が続くと予想。金に関しては「投資資金の避難所」としての地位を理由に楽観見通しを示している。

アルミニウムについては、中国の不動産引き締め政策を背景に需要萎縮と価格の軟化が続くとの見方。今年下期に不動産引き締めの緩和が行われる可能性は低いとし、来年まで続く見通しを示した。ロンドン金属取引所(LME)のアルミの在庫量は対消費量ベースで37-38日と、過去3-5年の平均値35-40日とほぼ同水準にあるが、BOCIは世界の生産状況に目を向け、在庫が大きく縮小する可能性は低いと指摘している。中でも中国で生産量が高水準にあるという。個別ではUCルサール(00486)、中国アルミ(02600)の株価の先行きに対して中立的な見方を継続した。

銅については中国国内での供給不足と輸入依存を指摘。国内の精錬銅の供給不足量が2012-15年に180万-200万トンの水準で推移する見通しを示した。中国国内では銅消費の40%を電力セクターが占めるが、中国政府は第12次5カ年計画(2011-15年)の下、電力セクターに対して向こう10年で11兆1000億元を投資する方針。電力セクターが銅需要の牽引役の一つとなる見通しという。LMEの銅在庫はおよそ4日分と、過去5年間の平均値6-8日を下回る水準。個別では江西銅業(00358)に対して中立的、五鉱資源(01208)およびCSTマイニング(00985)に対しては強気の見方を明らかにしている。

一方、鉄鉱石価格に関しては中国の輸入依存度の高さから、下値余地は限定的との見方。中国では鉄鋼業界で供給過剰が続く半面、鉄鉱石の国内自給率は低い。BOCIは鉄鉱石のグレードの低下や生産コストの増大を国内生産者の懸念材料としながらも、IRC(01029)の株価の先行きに強気の見通しを示した。

金セクターについてはヒストリカル水準に対する相対的な値ごろ感を指摘。さらに現在株価が2012年予想PER9.5倍と、海外同業銘柄の12倍を下回る水準にあるとした。個別では紫金鉱業集団(02899)や招金鉱業(01818)、国際資源集団(01051)の株価の先行きに対して強気見通しを示し、中国黄金国際(02099)については中立的な見方を明らかにしている。