個別銘柄と株価指数のトレンドが異なるときはどうすればよい?

右肩上がりの持続的株価上昇が終焉した現在の日本株では、単に長期保有するのではなく、株価のトレンドに従って売買を実行するのが、成功への秘訣です。

ところで、実践の場でしばしば遭遇するのが、個別銘柄と株価指数(日経平均株価やTOPIXなど)とで、株価のトレンドが異なる局面です。例えば、2月中の日経平均株価のチャートをみると、確かに2月4日~5日を底値に反発はしていたものの、トレンドとしては下降トレンドが続いていました。しかし、NEC(6701)は、2月中一貫して上昇トレンドを維持していました。

日経平均株価

NEC(6701)

このようなとき、個別銘柄と株価指数のどちらのトレンドを重視するかといえば、それは個別銘柄です。

そもそも、日経平均株価やTOPIXといった株価指数は、「個別銘柄の集合体」に過ぎません。株価指数が上昇するから個別銘柄も上昇するのではなく、個別銘柄の多くが上昇した結果、株価指数が上昇するのです。

ですから、たとえ株価指数が下降トレンドであっても、持ち株が上昇トレンドを維持しているならば保有を続けても一向に構いませんし、投資候補の銘柄が上昇トレンドになれば新規買いしてもよいのです。

株価指数のトレンドを重視しすぎると「先行銘柄」を買いそびれる

個別銘柄は、どれもが同じように上昇・下落するわけではありません。例えば全体相場が大きく上昇するときも、上昇トレンドに入るタイミングの違いで「先行銘柄」「一致銘柄」「遅行銘柄」に大きく分けることができます。

「先行銘柄」とは、他の銘柄に先駆けていち早く上昇を開始する銘柄です。この銘柄は、株価指数が下降トレンドにあるうちから、すでに上昇トレンドに転じて上昇をはじめます。

「一致銘柄」は、株価指数とほぼ同じように動く銘柄です。この銘柄は、株価指数が上昇トレンドに転じるのとほぼ同じタイミングで上昇トレンド入りをします。

「遅行銘柄」は、株価指数が上昇トレンドに転じてしばらくしてから、ようやく上昇トレンド入りする銘柄です。

「先行銘柄」を、日経平均株価やTOPIXといった株価指数が上昇トレンドに転じるのを待ってから買おうとすると、すでにその先行銘柄の株価は大きく上昇してしまい、せっかく安値圏で買うことのできるチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。

株価指数のトレンド把握は「ポジション管理」の面からは重要

ただし、株価指数のトレンドは、全体的なポジション管理という面からは、重要な判断材料になります。その意味では、株価指数のトレンドを無視してよいわけではありません。

筆者は、株価指数がまだ下降トレンドにあるうちは、上昇トレンドの個別銘柄に投資するにしても、ポジションは少なめにします。そして、株価指数が上昇トレンドに転じ、個別銘柄の多くも上昇トレンド入りするにしたがって、ポジションを次第に増加させていきます。

また、上昇トレンドにあった株価指数が下降トレンドに転じた場合は、まだ上昇トレンドを維持している個別銘柄についても一部を売却するなどして全体のポジションを減らし、本格的な株価調整局面が来ても対応できるようにしておきます。

株価指数が下降トレンドの状態とは、日本株全体でみて調整局面にあることを示しています。その間は、上昇トレンドにある個別銘柄であっても、相場全体の軟調な動きに引っ張られて大きく下落してしまうこともあるため、無理のない範囲でのポジションに留めておくことが無難です。少なくとも、株価指数が下降トレンドにある間は強気で勝負に出る場面ではありません。

日経平均株価とTOPIXのトレンドが異なるときはどうする?

結構よく見かけるのが、日経平均株価とTOPIXの2つの株価指数の間でトレンドが異なる、というケースです。例えば、日経平均株価は下降トレンドから上昇トレンドに転換したものの、TOPIXは下降トレンドのままである、という場合です。こんなときはどう判断すればよいでしょうか。

この場合は、TOPIXを重視してもろもろの判断をするのが良いと思います。当コラムでも何度か取り上げましたが、やはり日経平均株価は一握りの個別銘柄を使って操作されやすい株価指数です。TOPIXの方が、日本株全体のトレンドをより正確に判定することができます。

2月初めから今までの筆者のポジション管理の実際は

筆者の投資手法は、投資候補としてピックアップしてある銘柄の株価チャートを日々チェックし、上昇トレンドに転じた銘柄を買い、逆に持ち株が下降トレンドに転じたら売却する、というものです。この手法をとると、日本株全体の株価のトレンドの変化に応じて、ポジションを自動的に増減させることができます。

1月中旬までは株価指数も、個別銘柄の多くも上昇トレンドでしたから、かなり大きなポジション(投資可能資金の50%程度)を有していました。しかし、1月下旬から2月初めにかけての株価急落で、下降トレンドに転換した個別銘柄から順次売却をしていったため、2月4日のボトムの時点ではポジションはかなり小さくなっていました。投資可能資金の10%程度にまでポジションは減少していたと記憶しています。

その後、2月4日以降の反発局面では、株価指数はしばらく下降トレンドを継続したままでしたが、個別銘柄の中には一足先に上昇トレンドに転じる銘柄も出てきたため、これらの銘柄を少量ずつ新規買いしていきました。

3月に入り、株価指数の上昇トレンドへの転換とともに、個別銘柄の中にも上昇トレンドとなるものが多くなってきましたので、そうした銘柄にも買いを入れ、3月7日時点ではポジションは25%程度にまで膨らんできました。

ただ、筆者がウォッチしている銘柄をみると、まだ結構下降トレンドにある銘柄や、なんとか上昇トレンドに転じかかっている銘柄がかなり多い状態です(3月7日時点)。もし、これらの銘柄も明確な上昇トレンドに転じてくるようであれば、すでに保有している銘柄の追加買いも含めて、もう少し強気を貫いてもよいのかな、とは感じています。