株価急落時の「リバウンド狙い」は意外とうまく行かない

1月下旬から2月初めまで約2週間続いた株価急落は、2月4日に一旦の底打ちをしました。日経平均株価の25日移動平均線からのマイナス乖離率が10%に達していましたから、「セオリー通り」の下げ止まりだったことになります。

この株価急落局面で、「リバウンド狙いの買い」を実行した個人投資家の方も多かったはずですが、実行した皆さんは、その成果はいかがだったでしょうか。

実は、このリバウンド狙い、実際にやってみると意外とうまく行かないものです。

今回は、2月4日以降の個別銘柄の株価チャートを検証しながら、なぜリバウンド狙いが思ったほどうまくいかないのか、そしてリスクを最小限に抑えつつリバウンド狙いをしていくための方法を考えていきたいと思います。

リバウンド狙いの成功の秘訣は1にも2にも「タイミング」

まず、リバウンド狙いで最も重要なのは、リバウンドの買いを入れるタイミングです。実は、これが非常に難しいのです。1日早くてもダメ、1日遅くともダメなのです。さらに、1日の間でも寄り付き直後ならベストタイミングだが、後場になるとすでに大きく上昇してしまっていて遅いということもあります。とにかくリバウンド狙いは「タイミングが命」です。

サンフロンティア不動産(8934)を例に、リバウンドのタイミングをみてみましょう。この銘柄は、今回のリバウンドで非常によく反発した銘柄の1つです。

もし、2月4日の寄り付き付近で買うことができれば、非常に高い利益をあげることも可能でした。翌2月5日の寄り付きで売却してしまっても20%近くの利益ですし、もう数日頑張って持ち続ければ、30%以上の利幅をとることができました。

タイミングが少しでもずれるとたちまち損切りや塩漬けのリスクが…

しかし、これが1日早い2月3日の寄り付きで買った場合だと、そこから底打ちまで20%下落してしまいます。さらに1営業日早い1月31日の寄り付きに買うと、そこから30%近く下落してやっと底打ちします。

逆に、2月4日の翌日の5日の寄り付きで買うと、すでに安値から20%も上昇した水準で買うことになってしまいます。安値から20%の上昇といえば、リバウンド狙いなら買いではなく買った株の利食い売りを考えるレベルです。少しの利益で満足せずに持ち続けると、2月下旬には買値を下回ってしまって含み損に陥ってしまいます。

なお、1月31日や2月3日に買っても、損切りせず我慢していれば買値まで戻りましたが、これは結果論です。買ってから底打ちするまでに20%、30%も下がってしまうならば、その前に損切りをするべきです。損切りせずに同じことを繰り返していれば、たまには成功したとしてもいずれは大きな含み損を抱えることになってしまいます。

タイミングを少しでも誤ると、たちまち損切りの憂き目にあう、損切りしなければ含み損がみるみる膨らんでいく、これがリバウンド狙いの難しさなのです。

サンフロンティア不動産は強力なリバウンドで一瞬25日移動平均線をも上回ったものの、その後は再び下落に転じています。リバウンド狙いは所詮下降トレンドの中の短期的な反発を狙うものですから、短期決戦で行うのが原則です。

全般相場はリバウンドしていても個別銘柄は?

リバウンド狙いでもう1つ注意したい点が、全般相場がリバウンド局面に入っていても、ほとんどリバウンドをしない銘柄も結構あるということです。

リバウンド狙いの基本は、直近で大きく株価が下がった銘柄の自律的反発を狙う、というものです。

ところが、直近で株価が大きく下がったにもかかわらず、ほとんどリバウンドをしない銘柄が結構あるのです。それどころか、デジタルガレージ(4819)新電元工業(6844)長谷工コーポレーション(1808)のように、2月4日の安値を割り込んで、さらに下落を続けている銘柄も珍しくありません。こうした銘柄に運悪く当たってしまったら、速やかに損切りをするほかありません。

もし、1銘柄に絞ってリバウンド狙いをした場合、うまく当たればそこそこの利益になりますが、外れれば損切りにより損失が生じてしまいます。

これを5銘柄や10銘柄に分散して行えば、成功する銘柄もあるものの失敗して損切りとなる銘柄も出てくるので、トータルすると大して利益が出ない、ややもすれば損失になってしまいます。買いタイミングも難しいが銘柄選びも結構難しい、これがリバウンド狙いの実態なのです。

筆者ならこうする~リバウンド狙いの買いタイミングと売りタイミング

リバウンド狙いの方法はいくつもありますが、筆者は株価が下げている途中の逆張りの買いはしません。場中に株価を見られないこともあり、リバウンド狙いはあまり得意ではありませんが、もしやるなら次のように行動します。

今回であれば、2月4日の寄り付き後の始値から反発をはじめ、始値から3~5%程度上昇した局面で買いをいれます。そして、寄り付き付近でつけた安値を割り込んだら損切りとします。

場中の株価を見られない場合は、2月4日の昼休みの間に各個別銘柄の株価をチェックし、あまり大きく上昇していないものに買い注文を入れます。この場合も寄り付き付近の安値割れで損切りとします。

今回は2月4日の寄り付きが安値であった銘柄が大部分でしたが、例えば前日に大幅安で終わった後、翌日の寄り付きは前日終値よりも高くはじまる、というパターンもあります。この場合は前日につけた安値を損切り価格として買い向かうことになります。

このような方法であれば、損切りをすることになった場合も5%程度の損失に抑えることができます。

買ってから株価が順調に上昇した場合は翌日以降に持ち越しますが、もし翌日にかなり高く寄り付くようであれば、半分程度は利益確定させてしまいます。買った当日のうちに株価が大きく上昇したなら、当日中に半分を利確してしまってもよいでしょう。

残りの持ち株についてはその後の株価の推移によってもうしばらく粘りますが、もし反発の勢いが弱く、再び買い値付近にまで戻ってきた場合、少しでも利益があるうちに売却してしまいます。

まとめると次のようになります。

  • 底値から少し(3~5%)上昇したら買い、底値を割り込んだら損切り
  • 底値を割り込まず上昇した場合、あまり欲張らずに売却して利益を確保
  • 上昇後再び下落に転じ、買値に近づいたら利益があるうちに売却。

無理にリバウンド狙いをするより上昇トレンド転換を待って新規買いするのが無難

このように、リバウンド狙いは、タイミングをよく見計らって新規買いする必要がありますので、場中に株価をみることのできない個人投資家は失敗する可能性が高まります。

そもそも、リバウンド狙いは、株価の急落によって株価のトレンドが下降トレンドになってしまっている銘柄への買い、つまりトレンドに反した買いですから、無理してリバウンドを取りに行く必要もないだろう、と筆者は思います。

現に、2月4日以降、日経平均株価がリバウンドして一時25日移動平均線を超えてきているにもかかわらず、25日移動平均線を超える気配がいまだにない、元気のない個別銘柄は非常に多くあります。そんな銘柄にリバウンド狙いの買いを入れ、損切りせずに放置していたら、たちまち多額の含み損を抱える結果にもなりかねません。

場中に頻繁に株価をみることができない会社勤めのサラリーマンの方などは、目先の短期的な利益をあまり追い求めることはせず、株価のトレンドが上昇トレンドになるまで待ってから新規買いすることをおすすめします。