昼間仕事をしている個人投資家は「デイトレード」ができない

「投資期間」という括り1つとってみても、何年も同じ銘柄を保有し続ける「長期投資」から、買った株をその日のうちに売却してしまう「デイトレード」まで、株式投資のスタイルは様々です。

でも、多くの個人投資家はサラリーマンであり、昼間は仕事をしています。株式市場が開いている時間に株価をチェックしたり、注文を出したりすることができません。日計りで売買を繰り返すデイトレードなど不可能です。

一方、株式投資に関するインターネットのサイトでは、明らかにデイトレーダーなど場中に株価を見ることができる個人投資家向けのアドバイスがなされているものをよく見かけます。しかし、デイトレードができない個人投資家がそれらのアドバイスを元に株式投資をしても、うまくいかないものです。

実は筆者も昼間は仕事をしているため、場中に株価をチェックしたり売買注文を出すことは困難です。そこで、今回と次回の2回で、筆者が日ごろどのように株式投資をしているのかをご紹介します。個人投資家の皆さまの参考になれば幸いです。

株価のトレンド転換直後の売買を目指すのが筆者の投資スタイル

本コラムを以前からご覧いただいている方はご存知だと思いますが、筆者は日足チャートと25日移動平均線を使って、上昇トレンドに転換した直後の銘柄を新規買いしています。この方法を用いると、上昇トレンド初期の安い株価で買うことができるばかりか、仮にトレンド転換がダマシであって再度下降トレンドに戻ったときも、小さい損失で損切り・撤退することが可能となります。

逆に、保有している銘柄が下降トレンドに転換した場合は、速やかに売却ないしはヘッジの空売りを実行します。

筆者は、これらを着実に実行するために、以下で記したルーティンワークを日々こなしているのです。

上場銘柄全ての株価ウォッチは不可能-筆者は常時200銘柄程度をウォッチ

日本の株式市場に上場する銘柄は3,500銘柄以上あります。この中から、上昇トレンドに転換したばかりの銘柄をすべて抽出するのはとても大変です。仮に抽出したところで、それらの全ての銘柄を実際に買うことは資金面からみても、日々の銘柄管理の面からみても不可能です。

そこで筆者は、常時200銘柄ほどの株価をウォッチしています。東証1部の大型株から、新興市場(マザーズやジャスダック)の小型株まで様々であり、業種も多岐にわたっています。今まで手がけたことのある銘柄が中心で、どちらかといえば国際優良株は少なく、中低位株が多くを占めています。業界トップ銘柄は少なく、2番手以降の銘柄が多いです(2番手以降の銘柄の方が株価の上下動が大きいため)。

そして、日々の値上がり率ランキングなどから気になる銘柄や、仲間の個人投資家から教えてもらった銘柄で「これは」と思うものがあった場合には適宜ウォッチする銘柄を入れ替えたりしています。

前日夜の作業-トレンド転換の可能性のある銘柄を抽出

それでは、売買の注文を出す日を「当日」とし、前日の夜からの筆者ルーティンワークを時間を追って紹介していきましょう。

まずは前日の夜です。仕事が終わった後の夜(当然株式市場はすでに閉まっています)に、保有している銘柄や空売りしている銘柄、そしてウォッチしている約200銘柄(この中には既保有株等も含まれています)の日足の株価チャートを全てチェックします。

保有銘柄については上昇トレンドにあるかどうかをチェックし、もし25日移動平均線を下回っている銘柄があればピックアップします。これらの銘柄は上昇トレンドがストップした可能性が高いので、翌朝に売り注文、もしくはヘッジの空売り注文を出します。

ウォッチ対象銘柄やヘッジの空売りをしている銘柄については、下降トレンドが続いているかどうかを確認します。25日移動平均線を上回っている銘柄があれば、下降トレンドが終わっている可能性が高いので、ピックアップしたうえで、翌朝に買い注文や買戻しの注文を出します。

トレンド転換寸前の銘柄や、転換したかどうか微妙な銘柄は?

中には、ウォッチ対象銘柄や空売り銘柄のうち、25日移動平均線をほんの少し上回っていたり、もう少しで25日移動平均線を上回りそうな銘柄が見つかることがあります。逆に保有銘柄の中に、25日移動平均線を少しだけ下回っていたり、あと少しで25日移動平均線を下回ってしまうといった銘柄が見つかることがあります。

こうした銘柄については、今後の株価のトレンドにつきはっきりとした判断ができないため、とりあえず翌朝の売買注文は見送ります。その上で、今後の株価推移を特に注意して見守る必要があるため、銘柄コードと現在の株価、そして25日移動平均線の株価をメモしておきます。

次回は、売買注文を出す当日朝以降の作業、そして筆者のルーティンワークはとても真似できないという個人投資家の皆さまのための対処法をご紹介します。