前々回の第3回「呼値(よびね)とは?」で、“呼値(よびね)”について触れました。例えば、“金(ゴールド)今いくら?”と聞かれた時、2017年4月26日9時現在では多くの場合(※期先限月の)“4,499円”と呼びますが、その値段に対する数量(重さ・容量)が呼値であるということをお伝えしました。(※期先限月については前回の第4回「限月と先限つなぎ」をご参照ください)

金の場合、上述の4,499円は1グラムあたりの価格であるため、呼値は1グラムということになります。呼値は銘柄ごとに取引所によって定められています。

また、第2回「商品先物取引のメリット①」では “レバレッジ”について触れました。レバレッジについては以下の計算式で求められるとしました。

図:レバレッジの計算の仕方

出所:筆者作成

レバレッジを求めるのに必要な総代金を計算する上で、価格(上述の呼値あたりの価格)に“倍率”と保有枚数を乗じます。今回はこの“倍率”について触れたいと思います。

商品先物取引は、取引を行う際、最低1枚(“枚”は取引所における基本となる取引の単位)以上の取引を行うこととなりますが、この1枚の取引が「価格(呼値あたりの価格)に対して実質的に何倍分の取引をしているのか?」「呼値をどれくらい倍した数量(重さ・容量)分を動かしているのか?」ということを表したのが“倍率”ということになります。このため、倍率の単位は(グラムやトンではなく)“倍”となります。

また、“取引単位”については、取引所が定めるもので、1枚の取引で実際に動いている数量(重さ・容量)を表しています。このため取引単位の単位は(倍ではなく)“グラム”や“トン”となります。

つまり、実際に動いている数量を示す取引単位を、数量の基本となる呼値で除した値が倍率ということになります。

倍率 = 取引単位 ÷ 呼値

さまざまな情報元を参照すると、倍率と取引単位の値が同一である銘柄が多い(呼値の値が1の銘柄が多い)ことからか、言葉が混同して記載されている(本来倍率の意味で表記されるべきところ「取引単位」と表記されている)ケースがあるため、今回はあえて“倍率”“取引単位”をそれぞれ紹介することとしました。(改めてですが、損益計算やレバレッジの計算に必要なのは取引単位と呼値から計算された“倍率”であります)

以下は楽天証券で取り扱っている銘柄の倍率と取引単位、および呼値の一覧です。(2017年4月26日時点)

図:国内商品先物銘柄の倍率と取引単位、および呼値

銘柄
(当社取扱い商品)
倍率 (①÷②) 取引単位 ① 呼値 ②
1,000 倍 1キログラム
(1,000グラム)
1 グラム
ゴールド100 100倍 100 グラム 1 グラム
金ミニ 100倍 100 グラム 1 グラム
10,000倍 10 キログラム
(10,000 グラム)
1 グラム
白金 500倍 500 グラム 1 グラム
白金ミニ 100倍 100 グラム 1 グラム
パラジウム 500倍 500 グラム 1 グラム
ガソリン 50倍 50 キロリットル 1 キロリットル
灯油 50倍 50 キロリットル 1 キロリットル
原油 50倍 50 キロリットル 1 キロリットル
軽油 50倍 50 キロリットル 1 キロリットル
中京ガソリン 10倍 10 キロリットル 1 キロリットル
中京灯油 10倍 10 キロリットル 1 キロリットル
ゴム 5,000倍 5,000 キログラム
(5 トン)
1 キログラム
とうもろこし 50倍 50,000 キログラム
(50 トン)
1,000 キログラム
(1 トン)
一般大豆 25倍 25,000 キログラム
(25 トン)
1,000 キログラム
(1 トン)
小豆 80倍 2,400 キログラム
(80 袋)
30 キログラム
(1 袋)

出所:東京商品取引所のウェブサイトの情報を元に筆者作成

取引単位と呼値は東京商品取引所のウェブサイトの値を参照しています。カッコ内の値は筆者による注記です。

今回は「倍率と取引単位」についてご紹介いたしました。

次回もどうぞよろしくお願いいたします。