今日の為替ウォーキング
今日の一言
今日一日、怒らず、恐れず、悲しまず、正直、親切、愉快に生きよ
I Should Be So Lucky
FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げをためらっていたのはなぜか。それは、 インフレ率を目標値まで引き下げる唯一の方法が、失業率の上昇だとFRBが信じていたからである。そのためには、引締め政策を続けて経済にブレーキをかける必要がある。失業率が4.3%まで上がったのを確認したFRBは、9月に利下げに踏み切った。
FRBの政策の考えは、フィリップス曲線に従っている。フィリップス曲線とは、 横軸を失業率、縦軸を物価上昇率にとって関係をグラフに描いた時、「失業率が上がるほど、物価は下がる」という曲線を描くというものだ。
しかし米経済は、成長は力強く失業率は低かったのに、インフレ率も低下して、右肩下がりのフィリップス曲線では説明がつかない経済事象が起きていた。高インフレはコロナ禍によるサプライチェーンの混乱が生み出したもので、それが収まるにつれてインフレも失業率とは関係なく低下したという見方になっている。
FRBには、物価の安定と雇用の最大化というデュアルマンデートが(二重の使命)課されている。失業率が上昇するまで金利を高く維持したことは、完全雇用の使命と矛盾するとの批判もある。
米国の急速なインフレ鈍化は、FRBの政策とは「ほとんど関係がなかった」との考えになっている。初期の利上げは必要だったが、後期の利上げはインフレにほとんど影響がなかった。むしろFRBは経済を邪魔しないように潔く利下げするべきだったという考えが主流になっている。