連続増益・増配が続く銘柄はNISAの主要投資対象に

 2024年からは新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)がスタートし、年間投資額が大幅に拡充されました。それに伴って個人投資家の裾野が広がる形となり、日本証券業協会によると、証券会社10社ベースで、1〜3月の新規口座開設数は170万件となり、前年同期比3.2倍に膨らんだもようです。

 同様に、NISA買付額もそのタイミングで大きく拡大する状況となりました。株式市場の先高感が強まれば、2025年も年明けからの早い段階で、NISA投資が活発化するものと考えられます。NISAにおける主要投資対象である高配当利回り銘柄などは、年明けからの資金流入、それに伴う株高をそろそろ見込んでもいい局面と判断します。

 高配当利回り銘柄はNISA投資の主要な投資対象と考えられますが、とりわけ、増配が続いている銘柄には、より中長期での投資妙味が高いとみられます。今回は、本業の好調が続いており(営業増益基調継続)、かつ、連続して増配を実施している高配当利回り銘柄をスクリーニングしています。連続増益・増配期間はともに、今期予想を含めて5期間以上としています。

(表)連続増益・増配が続く高配当利回り銘柄

コード 銘柄名 配当利回り (%) 10月18日終値 (円) 時価総額 (億円) PER (%) 騰落率 (%)
6432 竹内製作所 4.18 4,780.0 2,342 7.60 11.55
7817 パラマウントベッドホールディングス 3.83 2,533.0 1,564 14.40 ▲8.59
8098 稲畑産業 3.75 3,330.0 1,921 10.82 6.05
3003 ヒューリック 3.63 1,432.5 11,000 11.13 ▲2.98
6028 テクノプロホールディングス 3.20 2,808.5 3,045 16.09 ▲24.4
注:騰落率は2023年末終値比

銘柄選定の要件

  1. 配当利回りが3.0%以上(10月18日現在)
  2. 時価総額が1,000億円以上
  3. 今期予想含めて5期以上連続で営業増益
  4. 今期予想含めて5期以上連続で増配

厳選・高配当銘柄(5銘柄)

1 竹内製作所(6432・東証プライム)

 建設機械の専業メーカーです。主力製品は、ミニショベル、油圧ショベル、クローラーローダーとなります。360度・全旋廻ミニショベル、クローラーローダーは世界初開発製品となっており、後者は不整地や雨でぬかるんだ場所での作業安定性が高く、粘土質の土地が多い米国で需要のほとんどを占めている状況にあります。

 また、同社製品の代表的な用途としては、主に居住区域での小規模な工事に使われているようです。売上はほぼ海外向けで占められており、ミニショベルでのシェアは欧州で2位、北米で5位の位置づけとなっています。

 2025年2月期上半期(3-8月期)営業利益は248億円で前年同期比46.5%増となっています。北米向けの売上高が好調推移となったほか、為替相場での円安進行、値上げ効果なども寄与しました。2025年2月期通期では445億円で前期比26.1%増の見通し、従来予想の385億円から上方修正しています。海上運賃の減少および円安の影響を上振れの背景としています。

 下期の前提為替レートは、ドルが1ドル=138円、ポンドが1ポンド=179円、ユーロが1ユーロ=152円としています。為替前提は減少からみて保守的と捉えられるでしょう。なお、年間配当金は前期比42円増の200円を計画しています。

 2025年2月期で5期連続営業増益となる見通しです。また、年間配当金は9期連続での増配計画となっています。株主還元方針としては、配当性向30%を目安として安定した配当の継続に努めるとしているほか、株価水準や資本効率を勘案の上に自己株式の取得も適宜実施するとしています。

 為替の円高反転は今後の収益鈍化要因につながる可能性も残りますが、欧米では利下げステージに入っていることで、今後は住宅需要の回復が望めるとみられ、トップラインの成長確度は高まっていく見通しです。米大統領選次第では、インフラ投資拡大なども期待材料となってくる公算があります。

2 パラマウントベッドHD(7817・東証プライム)

 医療・介護用ベッドでシェア7割と推定されているトップ企業です。病院用ベッドの専業メーカーとしてスタートし、その後は高齢者施設や在宅介護分野にも事業領域を拡大しています。また、ベッドなどの点検・メンテナンス、福祉用具のレンタル卸など、事業の多角化にも取り組んでいます。

 海外展開では、東南アジアや中近東、中国などをはじめ、近年ではインドや中南米にも進出、納入実績国は110カ国以上にのぼっています。病院向け常駐サービスなどのリカーリングビジネスの拡大、睡眠改善商品拡充など健康事業の進化に注力しています。

 2025年3月期第1四半期営業利益は15.9億円で前年同期比51.1%減となっています。診療報酬の改定時期が従来に比べて2カ月後ろ倒しの6月となったことが影響し、設備投資に対する様子見の傾向が広がったため、ベッド・備品などの販売が低調に推移したもようです。中国におけるゼロコロナ政策明け特需の反動減も影響したようです。

 新製品発売に伴う販促費用などもコストアップ要因となりました。2025年3月期通期では、営業利益は前期比1.3%増の140億円となる見通しです。第1四半期は通期計画に対しておおむね計画通りの推移となったようです。配当方針の見直し実施に伴い、年間配当金は前期比32円増の97円を計画しています。

 2025年3月期で5期連続営業増益となる見通しです。また、年間配当金は5期連続での増配計画となっています。とりわけ、株主還元方針として、2025年3月期からDOE(純資産配当率)4.0%、配当性向50%を目安に変更しており、足元での増配ペースは拡大する形となってきています。

 これから高齢化社会の到来を迎える中、現段階で高水準の業界シェアを握っている点から、今後の展開において優位性が強いと考えられます。インドネシア、中国、インドなどを中心に海外需要も着実に拡大していく可能性が高いことから、中期的な安定成長期待は高いと考えられます。