西側、非西側、スタンスなしで世界は分裂
ここからは世界分断の発生過程を確認します。下図の左のとおり、東西冷戦が終結した1989年ごろから世界の民主主義がピークに達した2010年ごろまで、世界は民主主義の機運を強める方向でおおむね一致していました。
お互いを認め合い、話し合い、世界が団結して前に進もうとしていたころです。1993年のEU(欧州連合)発足や、その後、断続的に発生した東欧諸国のEU加盟などは、まさにその象徴だったと言えます。
しかし、冒頭の図「自由民主主義指数(世界平均)(1903~2023年)」が示す通り、世界の民主主義は2010年ごろをピークに、徐々に減退しはじめました。この2010年ごろ以降のイメージが下図の右のとおりです。
図:世界分断・分裂の過程(筆者イメージ)
2010年ごろ以降、あくまで民主主義を貫く西側諸国、それと対抗する姿勢を鮮明にする非西側諸国との間で分断が目立ち始めました。この分断は、考え方が真っ向から割れていることから、(1)スタンスの分断だと言えます。
同時に、西側や非西側と意図的に距離を置く、あるいは無関心などの理由で、明確なスタンスを示さない国の存在も目立ち始めました。この分断は、(2)スタンスの有無の分断だと言えます。2010年ごろ以降、(1)の分断を中心とし、(2)の分断も相成って、世界はさながら「分裂」状態にあると言えます。
世界が分断・分裂した背景については以前の「SNSが世界を壊す?金(ゴールド)相場上昇へ」で詳細を述べたとおり、SNSとESGのマイナスの側面が目立ったことによる影響が大きかったと考えられます。