波乱相場で損をしない優待投資の3原則、2:優待が継続されるか、企業業績を確認

 優待銘柄の株価が下落したからといって必ずしも企業の業績見通しが悪いというわけではありません。単に株式市場全体がリスクオフによって下落していることもありますし、その銘柄の株価上昇が続いていて調整しているだけかもしれません。しかし、優待については企業の業績に大きく左右されます。

 一度始めた優待を業績が良い時に廃止したり、優待内容を落としたりすることで短期的に株価の下落を招き、業績不振なのかと推測されてしまうため、企業にとってはなかなか実行しづらい内容です。

 ただ波乱相場ではそもそも株価が下がっていたり、業績が落ち込んだりと株主優待の内容を変更しやすい時期です。これまでの相場調整局面で優待を受け取っていた銘柄が、優待をとりやめた経験がある方も多いのではないでしょうか?

 投資において企業業績予想は今後の株価を予想するのに重要な指標であることは言うまでもありませんが、ただ一時的に業績が落ち込んだからといって優待などを変更することは難しいのが現状です。

 自社だけではなく他社も業績が落ち込むような時だからこそ、優待を企業にとって負担の多い経費として削減される可能性が高くなります。もちろん見通しが良くなければ他社動向に関係なく優待が削減される可能性もあるので注意しておきましょう。

波乱相場で損をしない優待投資の3原則、3:優待内容の将来的なメリットを確認する

 株価が大きく変動する波乱相場で株価が調整するようなら、世の中の景気が後退していくことが予想され、自身の収入が減る可能性も十分ありえます。とくに賞与など業績に連動するような収入は予定よりも少なくなる可能性を考慮しておくべきです。

 また株式投資をしているならそもそも株価が下がっていけば保有資産が減ることにもなり、それによって、家計支出やライフプランの変化が起きる可能性があります。ここ数年は株式相場が上昇し、為替も円安に動いていたので積立投資をしている人は楽観的に考えすぎているかもしれませんが、相場は常に右肩上がりが続くわけではありません。

 実際に内閣府が公表する景気動向を表す指数には、遅れて動く遅行指数、ほぼ一致して動く一致指数、そして景気を先取りして動く先行指数があります。主な先行指数には、新規求人数(除学卒)、実質機械受注(製造業)、新設住宅着工床面積などのほかに「東証株価指数」も含まれています。

 どんな優待銘柄がいいかを選ぶ時に「今」の状況から優待内容を考える方が多いようですが、長期投資家により良い優待内容を付与する企業が増えている中においては、投資家も長期的な目線で優待の価値を考えることが大切です。

波乱相場では、これまでとは相場が「変わる」可能性を考慮しよう

優待投資も長期的な目線であわてずに行うこと

 9月や3月になるととりわけ優待銘柄が増えてくるため、権利落ち日が近づくにつれて何へ投資するか考える人も増えてくるようですが、権利落ち日が投資するタイミングかどうかは別問題です。良いと思った優待銘柄を見つけることができた時には、今投資するべきなのかをしっかり検討しましょう。

 優待投資も長期投資が基本です。ただその時に優待が欲しいだけなら優待クロス(つなぎ売り)を利用するほうが良いかもしれません。ただ自分の支出やライフプランにあわせた株主優待を見つけることができれば資産形成に大いに役立ってくれることでしょう。

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