雇用統計の結果次第では米大統領候補者のTV討論会に影響も
また、話を再び米雇用統計に戻すと、今回の米雇用統計の結果次第では来週10日(火)に予定されている、米大統領候補者のTV討論会にも影響を与えるかもしれません。今回の雇用統計の結果が悪化し、株式市場が米国の景気後退を強く意識する展開となった場合には、討論会での話題の中心が経済政策になることも考えられます。
その場合、とりわけ足元で急速に支持率を追い上げている米民主党のハリス候補がどんな経済政策を語るのかが焦点になります。
ハリス氏については、「共和党トランプ候補の当選を阻止する」という大義名分と、バイデン大統領が選挙戦から撤退を表明した時期が、正式なプロセスで新たな候補者を確立する時間的余裕がないという民主党の事情がある中で指名されたという面がある点に注意が必要です。
ハリス氏は民主党内での候補者争いを勝ち残ってきたわけではないため、現時点で具体的な政策があまり明確でないことや、同氏は政策内容やリーダーシップ、実績面が必ずしも評価されているわけでない(副大統領時代には移民対策で批判も多かった)こともあり、「反トランプ派」という立ち位置や、「米国初の女性大統領」という期待だけで、選挙本番まで支持率を維持していくのは難しいと思われ、仮に大統領選でトランプ候補に勝利したとしても、その先にある政権運営の方問が題視されるかもしれません。
米大統領候補に指名された経緯が微妙なだけに、党を率いるのではなく、党の方針に従わざるを得なくなったり、党内の政策論争に巻き込まれて政策や方針が二転三転することも考えられます。
そのため、来週の討論会は、話題の中心が「経済」にならなくても、ハリス氏のリーダーとしての素質が問われ、引き続き支持を伸ばせるかどうかを探る大事なイベントになると思われます。この試練を乗り越えられなければ、「ハリス旋風」が止まり、再びトランプ氏が有利となって、市場では「トランプ・トレード」が復活する場面があるかもしれません。