雇用悪化リスクに市場は敏感、年内1%の利下げあるか焦点
6日の雇用統計の前には、雇用関連指標として7月JOLTS(雇用動態調査)求人件数(4日)、8月ADP雇用統計(5日)、前週分新規失業保険申請件数(5日)が発表されます。雇用関連指標に市場の反応は敏感になることが予想されるので注意が必要です。
また、景気関連では8月ISM製造業景況指数(3日)、8月ISM非製造業景況指数(5日)が発表されます。3日の8月ISM製造業景況指数は47.2と前月(46.8)を上回りましたが予想をわずかに下回り、好不況の分かれ目である50を5カ月連続で縮小したことが嫌気されたことからドル売りとなりました。
しかし、構成項目の雇用指数が前月を上回ったため、ドルは若干反発しました。このように雇用関連指標について市場は敏感になってきているようです。
そして4日には米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表されます。各経済地区の景気や雇用状況がどのようになっているのか注目されます。
9月17~18日のFOMCまでには二つのインフレ指標が発表されます。11日に米8月CPI(消費者物価指数)、12日には米8月PPI(卸売物価指数)が発表されます。これらの指標を参考にFOMCで政策変更が決定されますが、同時に公表される金利見通し(ドットチャート)で年内利下げ幅が確認できます。
3月のFOMCの金利見通しでは、0.25%刻みで年内3回でしたが、6月の金利見通しで年内1回に修正されました。インフレ再燃を警戒して利下げ回数が減りましたが、今回、政策の軸足を雇用リスクにシフトした現状では、3月の見通しに戻すことも予想され、それ以上に修正されるのかどうか注目です。
FOMCまでに発表された景気、雇用指標が悪く、物価が低下していれば、年内1%利下げの可能性が高まります。その場合、市場の期待通りであってもドル安に再び動き出すことが予想されます。
一方、それまでの景気、雇用の指標がよく、物価が反発していれば、0.25%刻みで年内3回あるいは2回の可能性が予想されます。その際には、6月の見通しより利下げ幅が増えていても、1%ではなかった失望から円安の戻りを試すことも予想されるため注意が必要です。
いずれにしろ、市場の年内1%利下げ期待は、この金利見通しで決着が付きそうです。
3日のNYダウは、このところ急ピッチで上昇していたことから米雇用統計を控えて売りが優勢となり、大幅下落となりました。市場は米雇用統計に神経質になっているようです。まずは、6日の米雇用統計を占う4日の7月JOLTS求人件数に注目です。