今日の為替ウォーキング

今日の一言

今日できても、翌日、一歩を踏み出せるかどうかが、勝敗を分けることになる

I Think We're Alone Now

 FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は8月23日、ジャクソンホールでのシンポジウムで「金融政策を調整する時が来た」と宣言した。米国のインフレ率が著しく低下し、持続的に2%に戻るとの確信が強まるなかで、米利下げに備えるよう世界の金融市場に注意を与えたのである。

 また、パウエル議長は米労働市場に関して「さらなる減速は歓迎しない」と述べた。これはFRBが金融政策の重点をインフレから労働市場へと移すことを示唆するものである。FRBがインフレ率2.0%の達成に固執せず、米経済の力強い成長を支援することは、株式市場にとって安心材料であり、大きな支援材料となるであろう。

 FRBの利下げは今年残り3回(9月、11月、12月)の会合でそれぞれ0.25%、場合によっては9月に0.5%の「大幅」利下げを行うと予想されている。パウエル議長のスピーチは、金利引き下げという意味ではハト派的であったが、不安な様子はなく、0.5%の大幅利下げが必要であるとも述べていない。

 米国の4-6月(第2四半期)の米GDP(実質国内総生産)改定値は、良好な消費支出が予想以上に支えられて、前期比+3.0%に上昇修正となった。この時のFOMC(米連邦公開市場委員会)は、政策金利を予想するドットチャートで利下げ予想を0.75%から0.25%に縮小するほど、米国経済は力強いと6月の会合で評価していた。その後景気は勢いを失ったとはいえ、まだ十分にFRBの許容範囲内であり、パウエル議長も「全体として堅調なペースで成長を続けている」と述べている。

 金利市場は今年12月までの利下げを1.0%と予想しているが、おそらくFRBが政策を適切なスタンスに再調整するのに必要なのは0.5%だけであろう。ただFRBは市場の動揺を避け、成長カーブを先回りするために、0.75%の利上げを実施する可能性が高いと思われる。

 今回の利下げは、緩和目的ではなく、成長ペースに合わせて、引締めすぎた政策を調整するのが狙いである。今年のFRBは「利下げしすぎて」しまう可能性が高いようだが、それは来年の利下げを減らすことで調整されるであろう。米国経済は減速しているとしても、悪化しているわけではない。

今週の注目経済指標

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今日の重要ブレークアウトレベル

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タイムゾーン 分析

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