8月5日の日経平均株価は1日でマイナス12.4%の暴落となり「令和のブラックマンデー」とも呼ばれます。今回のショック安が終わったとはまだ言えませんが、現時点で分かる範囲でその原因を振り返り、今後の展望を考えます。

日経平均テクニカル分析

 8月最終週の日経平均は、1週間で283円上昇して、3万8,647円となりました。

日経平均株価週足:2024年1月4日~8月30日

出所:楽天証券MSIIより作成

 激しく乱高下する日経平均ですが、2024年のこれまでの動きを俯瞰(ふかん)すると、3万8,000円台前半(上のチャートで赤い線で囲んだ長方形)から、大きくは上にも下にもいけない展開が続いているとみることができます。

 3月に日経平均は上に抜けて一時4万円を超えましたが、4月には急落して3万8,000円台前半に押し戻されました。7月にもう一度上に抜けて4万円を超えたがすぐに打ち返されました。

 日経平均は次に下値トライして一時3万1,500円辺りまで売り込まれましたが、そこからV字回復して3万8,000円台に戻ってきました。

 テクニカル分析の視点から、「3万9,000円より上は売り圧力が強く」「3万8,000円から下は買い圧力が強い」と考えられます。

今、何が起こっている?

 日経平均に歴史的乱高下を起こした要因を振り返ると、以下の通りと考えています。

今、起こっていること

 7月10日まで、米景気好調とみられる中、いつまでも「円安・株高」が続くとの見方を背景に、外国人投資家が、日経平均を4万2,000円超えまで押し上げました。

 ところが、7月11日からストーリーが変わりました。米景気に不安があるとの見方が広がり、米金利が低下、円高急伸を嫌気して、日経平均が急落しました。つまり、7月11日から「円高・株安」の流れとなり、日経平均は一時3万1,500円以下まで売り込まれました。

 8月5日から、またストーリーが変わりました。米景気はそれほど悪くないとの見方が広がり、円安・株高に戻り、日経平均は急反発しました。米景気への見方が強気→弱気→やや強気に変わったことを原因に、日経平均が乱高下したことになります。

 ただし、歴史的な急落急騰を引き起こすほどの、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の変化があったわけではありません。海外投機筋によるデリバティブズ(日経平均先物・オプション)によって、値動きが増幅され、経済実態とは無関係に、激しい乱高下を引き起こしたと考えられます。