今日の為替ウォーキング
今日の一言
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する- パーキンソンの法則
That’s All
FRBのパウエル議長は8月23日、ジャクソンホールで開催されたシンポジウムの講演において、「金融政策を調整する時が来た」と明言した。米国のインフレ率は著しく低下しており、持続的に2%に戻るとの確信を強めるなかで、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)会合での利下げにマーケットが備えるように忠告した。
パウエル議長は、米労働市がかなり冷え込んでいることに対して、「労働市場の状況がさら減速することは歓迎していない」と懸念を示した。FRBの政策の重点がインフレから労働市場へと焦点が変わったことを示す明らかなシグナルである。
ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長のスピーチは「ハト派的」だった。とはいえ、焦っている印象ではなかった。FRBは今年残り3回の会合でそれぞれ0.25%の利下げを行うと思われるが、0.5%の「大幅」利下げが必要であることを示す言葉はなかった。
米経済の見通しについてパウエル議長は、「全体として堅調なペースで成長を続けている」との認識を示した。利下げが緩和政策というよりも、引締め政策を「元に戻す」オペレーションであり、成長ペース(の鈍化)に合わせた政策の調整であることを示唆している。FRBが米経済の成長カーブの後を追いかけるのではなく、先回りすることが、利下げの狙いである。
FRBがこれまでのようなインフレ率2.0%の達成に固執することなく、米経済の力強い成長を維持へ政策の重点を戻すことは、株式市場にとって安心材料であり、大きな支援材料になる。
パウエル議長のスピーチを受けて、マーケットは米金利低下とドル安に動いたが、これはお約束的反応で、短期的にすぎないだろう。世界の他の地域を見回しても、ドル資産を積極的に振り替えるほど魅力的なマーケットはない。
米国は、景気後退に向かっているのではなく、ただ単に成長スピードが鈍化するだけだと、マーケットが確信するならば、不安を一蹴して長期金利は上昇し、やがてドル高へとつながっていくだろう。