「10年後のS&P500は1万4,000」を予想する前提条件

 米国株式市場を象徴するS&P500の過去20年(2005年以降)における暦年騰落率を平均すると+9.4%でした。この20年には、2008年の金融危機(リーマン・ショック)でS&P500が38.5%下落、2022年のインフレショック(金融引き締め)で19.4%下落した年も含まれています。

 こうした中、長期視点に立つと2004年末に1,221ポイントだったS&P500は20年かけて4.6倍に成長してきました。特に、2019年以降のS&P500の暦年平均騰落率は+15.7%と成長率を高めています。相対的に利益成長期待が高いビッグテック(時価総額が大きいGAFAMなどナスダック主力銘柄)のS&P500におけるウエートが増えてきたことが主要因です。

 今後10年についても、米国は「世界最強の資本主義経済」であり続け、合法移民の流入で労働人口増勢が続き、AIの進展(後述)で産業界と企業の生産性が向上していくと予想しています。2025年から10年の平均騰落率を10%と仮定した上で「複利効果」を想定すると、2034年末までにS&P500が1万4,000に到達する道筋が視野に入ってきます(図表2)。

<図表2>S&P500は2034年末までに1万4,000を目指すと予想

*上記した破線はイメージ図であり将来の投資成果を保証するものではありません
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成

 特に、2022年末にスタートした「生成AIブーム」で、エヌビディアに象徴されるAI向け半導体企業だけでなく、クラウド事業やデータセンターに積極投資してAIの収益化を目指しているGAFAMなど関連銘柄が時価総額ウエートを増加させているトレンドは軽視できません。

 とはいえ、今後も景気変動、金利変動、地政学的リスクなどに起因する需給変動次第で株価が揺れる局面も想定されますので長期投資が肝要となります。図表2の破線で示した株価軌道はあくまでイメージであり、その変動の大小や投資成果を保証するものではありません。