米ドル離れ・金(ゴールド)寄り傾向に
さまざまな意図を持ち、外貨準備高や金(ゴールド)を管理している中央銀行ですが、当該調査では今後の方針を問う質問もなされました。5年後、米ドル、ユーロ、人民元、金(ゴールド)の保有割合はどの程度になると思うか、という質問です。(ここでは米ドルと金(ゴールド)の結果を記載)。
以下は「米ドル(現在の保有比率49%)」についてです。先進国、新興国ともに、多くが米ドルの保有比率は低下すると回答しました。先進国と新興国合わせて62%が低下すると回答しました。おととしは42%、昨年は55%だったため、米ドルの保有比率が低下すると考える中央銀行の割合が上昇傾向にあることが分かります。
先進国だけで見ても、低下(43%)と大きく低下(13%)を合わせた56%が、米ドルの保有比率が低下すると回答しました。先進国においても、米ドル離れの思惑が浮上しつつあると言えます。新興国は大きく低下(13%)と低下(51%)を合わせた64%でした。
図:5年後、中央銀行の米ドルの保有比率(現在49%)はどうなると思いますか?
以下は「金(ゴールド)(現在の保有比率16%)」についてです。先進国、新興国ともに、多くが金(ゴールド)の保有比率は上昇すると回答しました。先進国と新興国合わせて69%が上昇すると回答しました。おととしは46%、昨年は62%だったため、金(ゴールド)の保有比率が上昇すると考える中央銀行の割合が上昇傾向にあることが分かります。
先進国だけで見ても、上昇と回答した割合は半数超の57%に上りました。先進国においても、金(ゴールド)寄りの思惑が強まりつつあると言えます。新興国は上昇(71%)と大きく上昇(4%)を合わせた75%が、金(ゴールド)の保有比率が上昇すると回答しました。
全体的に見て、中央銀行の「米ドル離れ・金(ゴールド)寄り」の傾向が強まっていると言えます。金(ゴールド)は危機時に注目が集まる、という思惑が継続して意識されていること、そして特に新興国の中央銀行の間で「世界経済のパワーシフト」や「実物資産への回帰」という切り口で改めて、金(ゴールド)が選好されていることが背景にあると考えられます。