製造業景況感の改善は生産者物価、PCEデフレーター「財」の上昇につながる
4月17日のレポート(「株式市場が恐れる米国の『金融政策失敗シナリオ』とその兆候」)では、(1)ISM(米サプライマネジメント協会)の製造業景況感指数がおおむね3年周期で循環しており、現在その改善局面の入り口にいるようにみえること、(2)その改善は数カ月のタイムラグを伴って生産者物価指数(PPI)に影響を及ぼすこと、を紹介しました(図表3)。
<図表3 ISM製造業景況感指数と生産者物価指数>
米ISMが3日に発表した5月の製造業景況感指数は48.7と、好不況の分かれ目となる50を2カ月続けて下回りましたが、図表3を見ると、2023年からの改善傾向が崩れているわけではないことが分かります。
その改善トレンドで製造業景況感指数の先行きを延ばし、それとPPIとの関係を利用してPPIの先行きを推定すると、図表3の赤点線のように上昇率が緩やかに拡大していく姿となります。さらにそのPPIを前提にPCEデフレーターの「財」を推定したものが図表4です。
<図表4 生産者物価指数とPCEデフレーター「財」>
図表4の青点線で分かる通り、ISM製造業景況感指数が今後も改善傾向をたどっていくとすれば、このところゼロ%近辺で落ち着いていたPCEデフレーターの「財」が、再びプラス幅を拡大していくことになります。そうなれば、FRBが目指す物価目標2%への収束が後ずれることにもなりかねません。