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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「「ドル/円は155円が分岐点?今後の重要イベントに注目」」
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは156.85円
↓下値メドは154.70円
キャリトレ:金利差よりもボラティリティの低さが重要
日銀:「利上げは時期尚早、今後も緩和状態続ける」
米利上げ:ボストン連銀総裁「利上げの可能性を完全に排除することはできない」
中豪経済:RBA、中国の不動産不況が豪経済に波及することを警戒
BOE:ベイリー総裁「インフレが目標値に下がる前に利下げできる」
前日の市況
6月6日(木曜)のドル/円相場は前日比0.47円の「円高」。
2024年114営業日目は155.99円からスタートして。東京時間はドル売りが優勢のなか、昼前に155.35円まで下落してこの日の安値をつけた。しかし、日銀の「利上げは時期尚早」とのコメントが間接的な介入効果となって円高が止まると、夜遅くには今週火曜日からの高値圏の156.44円まで円安に戻した。ただ156.50円を超えることはできず、再び155円台に押し戻されて、終値は155.66円。24時間のレンジ幅は1.09円。
ECB(欧州中央銀行)は、6月6日の理事会で、2019年9月以来、約4年9カ月ぶりの利下げを決定して、主要政策金利を0.25%ポイント引き下げた。9カ月にわたり過去最高の4%で維持していたデポ金利は3.75%に引き下げられた。
ECBは物価の上昇を抑えるために2022年7月から10回連続で利上げを行ってきたが、インフレ率の伸びが落ち着いてきたとの判断で、今回利下げに踏み切った。ラガルドECB総裁は、2025年下半期にはインフレが目標値の2.0%まで低下するとの自信を示した。その一方で2024年と2025年のインフレ予想は2.5%と2.2%にそれぞれ上方修正された。
ECB会合後のユーロ/ドルは上昇した。利下げはユーロ売り材料だが、すでに100%織り込み済だったことや、今後の利下げをコミットしない「タカ派的利下げ」だったことで欧州と米国の金利差拡大は広がらないとの見方がユーロのサポート材料となった。
欧州のインフレの性質は米国と類似性が高いと言われている。3カ月後に利下げを実施する考えのFRBにとっては、今回のECBの利下げは、絶好のケーススタディになりそうだ。