中東情勢・利下げ見通し
中東情勢は相場の重しとなった。人質解放による恒久停戦を求めるハマス側とハマスの軍事的・政治的無能力化を求めるイスラエルとの間で話はまとまらず、イスラエルはラファへの侵攻を進めた。同国がラファの難民キャンプを空爆、停戦を求める国際世論が高まったが、結局、ラファへの地上侵攻を米国はレッドラインを越えていないと許容した。
引き続き停戦に向けた努力は続いており、また地域的な紛争がより広範囲の武力衝突に飛び火する可能性がそれほど高くなく、予断は許さないが市場への影響は限定的で、むしろ停戦となった場合の上振れが見込めそうだ。
FF先物利下げ織り込み回数
利下げ見通しは迷走している。5月の雇用統計とCPI(消費者物価指数)は緩やかに減速、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げシナリオを肯定する内容だったが、コアCPIはまだ前年比3.6%と水準としては高く、利下げに否定的なFRB高官の発言が相次いだ。
そうした中、FF先物に織り込まれる利下げ回数は、3月や4月と比べて安定しているのが特徴だった。初回利下げ時期は9月と11月との間で、このどちらが正解か、まだ6月時点の数字では勝負がつかない。ワイルドカードとして、今後発表されるCPIなどが急低下したり、景気が急減速したりしていれば7月利下げの可能性も否定できない。
材料面から見た6月見通し
このように、5月の相場はETFフローの復活とETH ETFの承認、その背後にある民主党の態度軟化で上昇したが、中東での停戦交渉難航、利下げ期待は9月か11月に1回と、硬軟材料が交錯し、特に後半は方向感を失った。
ETFは今後いずれ第2波が期待され、半減期後の低迷期もいずれ急騰相場に転じるイメージだが、まだ6月は早い印象だ。またETH ETFは7月初ローンチ予想で、利下げもあって7月。月末にはTV討論会も控えている。
こうした中、6月の相場は基本的には横ばい圏での取引か。7月以降の期待感もあり底堅そうだが、月前半は決め手に欠ける展開となりそうだ。場合によっては月末前後に一段の上昇はあり得るか。
テクニカル面で見たBTC相場見通し
BTC/USD
BTCは先月紹介した上昇相場の中での下降チャネルでレンジ上抜けを示唆する上昇フラッグの中にいる。4月末から5月初にかけて一時割り込んだがダマしに終わった。この結果、レンジ内で2往復して3往復目に差し掛かっているイメージで、いつレンジを上抜けしても不思議はないが、過去のパターンで見るともう少しもみ合っても不思議はないか。
BTC月別騰落一覧
恒例の月別のアノマリーで今一つだった5月は陽線。6月は過去13年で8回陽線でこれも6割強。合わせ技でどちらかといえば上昇しやすいイメージか。翌7月も同様で、6月か7月にレンジを上抜けする可能性が高そうだ。
6月見通し
6月の相場はレンジ内での横ばい圏での取引を予想する。材料的には6月中は決め手に欠くが、7月以降上昇しそうな雰囲気。テクニカル的にもいずれレンジブレークしそうだが、もう少し時間がかかっても不思議はない。
アノマリー的にも6月はそれほど強くないが、6月か7月のいずれかに上昇するイメージ。うまくすれば月末付近、7月にレンジブレークするイメージで、6月は底堅く推移しそうだ。
2024年 時事イベントと暗号資産イベント(最新順)
4月20日 | BTC半減期 |
4月4日 | ビットコインキャッシュ(BCH)半減期 |
3月13日 | ETHデンクンアップデート |
3月5日 | ドル建てで史上最高値更新 |
2月29日 | ブラックロックのIBITが史上最速7週間で100億ドルファンドに |
2月19日 | 週次の暗号資産ファンドへの流入が過去最高の24.5億ドルに |
2月15日 | 円建てで史上最高値更新 |
1月11日 | BTC現物ETF10件ローンチ |
1月10日 | SEC、ETF承認(日本時間11日) |
*マイニングとは:暗号資産(仮想通貨)は一般的にブロックチェーンと呼ばれるネットワーク参加者が誰でも見られる元帳上に取引を記録していきます。そのブロックチェーン上に取引データを記録する際に、膨大な計算を行うことで新たなブロックを生成する暗号を見つけ出し、その報酬としてコインを手に入れる行為のことです。マイニングの主な役割は「暗号資産の新規発行」と「取引の承認」です。
**BlockFiとは:暗号資産融資プラットフォームBlockFi(ブロックファイ)が提供する暗号資産を預かって利息を払うサービス(レンディング)が証券法に違反したと提訴された事件に関する和解として、SEC(米国証券取引委員会)に1億ドル(約115億円)を支払うと発表。
楽天ウォレットで毎日の仮想通貨マーケット情報をチェック!>>