為替介入額9兆7,885億円、最大規模の円買い

 通貨当局の財務省が5月31日に発表した4月26日~5月29日の円買いの為替介入額は計9兆7,885億円でした。円買い介入としては過去最大規模でした。実施日や日次の介入金額は8月上旬に公表とのことです。

 2022年10月の介入のように「大規模」、「連続」、「覆面」介入を実施したことになります。そして介入後の相場は頭の重い展開が続いていることから、この介入効果はまだ続いているようにみえます。

 鈴木俊一財務相は「引き続き為替市場の動向を注視し、万全の対応をとる」という姿勢を表明しているため、1ドル=160円に近づくにつれて介入警戒感は高まることが予想されます。

 また、日本の長期金利も上昇しており、日銀の国債買い入れ方針も材料になりやすくなってきていることや、米国の景気先行き不安もあり、1ドル=160円は遠い水準になったようです。

6月の欧州利下げ織り込まれるも、7月以降の見方分かれる

 ECB(欧州中央銀行)理事会が6日にあります。0.25%の利下げが織り込まれています。ただ、7月の連続利下げについては市場の見方は分かれており、ECB理事たちの意見も分かれているようです。

 しかし、米国の動きからハト派色が強まるかもしれません。欧州景気は底入れし始めていますが、米国景気が減速していくのなら、欧州も安心して景気回復というわけにはいかず、ECB理事たちもタカ派に慎重になる可能性があります。FOMCの試金石として今回のECB理事会は注目する意味合いが大きそうです。

 欧州のもう一つの注目材料は、6~9日の欧州議会議員選挙です。EU(欧州連合)に懐疑的な右派や極右が支持を広げているとの見方であり、どこまで議席を伸ばすかが焦点になります。移民受け入れの厳格化や環境政策の見直しを主張していることから、各国の政局も左右する可能性があるため注目です。

OPECプラス減産縮小で原油急落、来週のFOMCに影響も

 原油価格が急落しています。OPEC(石油輸出機構)加盟国とロシアなど非加盟産油国によるOPECプラスの2日の閣僚級会議で自主減産の縮小が決定されました。

 週明け3日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は前週の1バレル=76ドル台から74ドル台に下落し、4日には一時72ドル台に下がりました。原油価格下落は世界の石油需給が供給過剰になることが嫌気されたものと思われますが、下落の背景には中国や米国の景気先行きを不安視する動きもあると予想されます。

 加えて、中東情勢が和平に向かって動いていることを材料としているのかもしれません。イスラエルが提案した新停戦案は国内極右の反発から可能性は低いとの見方がありますが、市場は中東情勢の沈静化をみているとも考えられます。逆に言えば、中東情勢が緊迫するかどうかは原油の動きを見るのも一つの判断材料になるということです。

 さらに原油下落は、インフレを警戒する各国の中央銀行にとっては好材料であり、来週のFOMCに影響するかどうか注目です。