2024年2月本決算は21%増益、高配当が株価下支えか

現地コード 銘柄名
06110

滔搏国際控股

(トップスポーツ・インターナショナル)

株価 情報種類

5.49HKD
(5/23現在)

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 ナイキやアディダスなどの有力ブランドを扱う中国のスポーツウエア販売最大手、滔搏国際の2024年2月通期決算は、純利益が前年比21%増の22億1,300万元と、BOCIの予想を小幅に下回った。販路のオンラインへのシフトなどの影響で、利益率の回復が遅れたことが下振れの要因。ただ、小売販売額は段階的に改善しており、収益多様化への取り組みも一定の成果を上げ始めた。また、同社は1株当たり計0.2元の期末配当と特別配当を実施する方針であり、年間の配当性向は101%となる。BOCIは株主還元の強化策を進めていると受け止め、景気の弱さが本業に影響する中、高配当利回りが同社株価を下支えすると予想。株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 2024年2月本決算の純利益は市場コンセンサス予想の範囲内だったが、営業利益は前年比15%増の27億8,700万元と、BOCIの予想を10%余り下回った。粗利益率は前年比ほぼ横ばいの41.8%。年度下期に店舗数が65店の純減となったことで、総売場面積は0.8%の小幅減。実効税率の低下(23年度の20.9%、22年度の26.4%に対して19.9%)が最終利益の21%の伸びを支えた。

 それでも通期の売上高は前年比7%増と、小売販売額の緩やかな回復傾向をうかがわせている。主力ブランド(ナイキとアディダス)の売上高は前年比6%増にとどまったが、うちアディダスの売上高は年度下期に改善傾向を示し、次年度に向けた明るい兆しとなった。その他ブランドは年度下期に前年同期比10.5%の増収を確保するなど好調。HOKAや李寧(Li-Ning)といった新規取扱いブランドの販促において成果を上げた。

 中国版TikTokの「抖音」や「微信」ミニプログラムを通じた売れ行きの伸びを受け、BOCIは2024年2月通期のオンライン売上高が前年比約25%増加したと推定。小売販売全体に占める割合が20%台半ばに上向いた可能性を指摘している(前年度は20%台前半)。こうしたネット通販へのシフトは粗利益率を圧迫する可能性があるものの、営業利益率には影響しないとの見解。オムニチャネル(各販路を連携させたアプローチ)の強化が高額ユーザーの取り込みにつながる可能性を指摘している。

 一方、同社は期末配当(1株0.05元)と特別配当(0.15元)を実施する方針。国内消費市場の低迷で、続く3-4月の売上高がほぼ横ばいに推移する中、高配当が同社株価を下支えする可能性がある。

 売上高や利益率、店舗の拡大ペースが予想を下回ったことで、BOCIは2025年2月期、2026年2月期の予想EPS(1株当たり利益)を4%、3%減額修正。2025年度予想PER(株価収益率)16倍をあてはめ、目標株価を引き下げた。ただ、同年度の予想EPS成長率は19%、予想配当利回りは8.3%、予想ROE(株主資本利益率)は26.7%の高水準。ディフェンシブ性の高いスポーツウエアの有力銘柄であると評価し、株価の先行きに強気見通しを継続している。