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朝鮮半島危機再び?有事リスクに備える投資は(香川睦)
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

朝鮮半島危機再び?有事リスクに備える投資は(香川睦)

2017/7/7
北朝鮮によるICBM発射で朝鮮半島情勢の緊張が高まる。プット・コール・レシオの上昇は投資家が警戒感を高めていることを示す。リスク回避の円高進めば株価は下落へ。中国の習近平国家主席は、秋の共産党大会まで朝鮮半島の混乱を避けたい。ただ、米国の出方は苛立つトランプ大統領次第。米防衛関連銘柄群の優勢は当面も続きそう。有事リスクに備える「ドル建ての金買いとタイミングをずらしたドル売り」は有効か。日本でも「国防力の強化」を意識し、防衛関連銘柄の株価が回復傾向を辿る可能性がある。
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執筆:香川睦

今日のポイント

  1. 北朝鮮によるICBM発射で朝鮮半島情勢の緊張が高まる。プット・コール・レシオの上昇は投資家が警戒感を高めていることを示す。リスク回避の円高進めば株価は下落へ。
  2. 中国の習近平国家主席は、秋の共産党大会まで朝鮮半島の混乱を避けたい。ただ、米国の出方は苛立つトランプ大統領次第。米防衛関連銘柄群の優勢は当面も続きそう。
  3. 有事リスクに備える「ドル建ての金買いとタイミングをずらしたドル売り」は有効か。日本でも「国防力の強化」を意識し、防衛関連銘柄の株価が回復傾向を辿る可能性がある。

(1)再び地政学リスクが日本株の暗雲に

今週の東京市場では、米国の独立記念日(4日)をめがけて北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射したことで再び地政学リスクに対する警戒感が広まりました。米国の景況感改善と長期金利反発を契機としたドル円の安定が下支えとなっていますが、日経平均は2万円を割れ上値の重い展開となっています(7月6日時点)。図表1でみる通り、日経平均ベースのプット・コール・レシオ(PCR)は急上昇し、投資家の不安心理が強まっていることを示しています。PCRは、オプション市場における相場観の強弱をはかる指標(プットの売買代金(5日平均)÷コールの売買代金(5日平均))で、同レシオの上昇はプット(売る権利)のコール(買う権利)に対する需要増加、即ち「株価下落に対する警戒感の強まり」を示します。こうした事象は、今年の春に朝鮮半島情勢が緊迫化した場面と同様で、注意を要します。

<図表1:日経平均とプット・コール・レシオの推移>

(出所: Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年7月5日))

(2)有事リスクに備える投資を考える

トランプ政権の意向を受けたヘイリー米国連大使は5日、国連安全保障理事会の緊急会合で、北朝鮮による核ミサイル開発計画を阻止するため「やむを得なければ軍事力を行使する用意がある」と警告しました(ロイター報道)。地政学(有事)リスクの高まりで、5日の米国市場では防衛関連株が優勢となりました。そもそもトランプ大統領は、昨年の大統領選挙中から「強いアメリカ」を標榜。大統領就任後は来年度予算案での国防費増額を提案しました。従って、昨年11月の大統領選挙以降、「S&P航空宇宙・防衛関連株価指数」は市場平均(S&P500指数)をアウトパフォームしています(図表2)。実際に軍事衝突が起きるか否かは不明ですが、その場合の相場展開は想定可能です。一般的に、(1)有事に向け緊迫度が高まると金相場が上昇し、リスク回避の円買いでドル円は下落。外国人投資家は朝鮮半島に近い日本株を売る可能性があります、(2)その後(有事の行方や日本経済への影響次第ですが)、「米軍事力の強さを再評価する動き」を反映し、米ドルも米国株も上昇。日本株も持ち直すと期待しています。有事リスクに備え金を買う場合、為替が円高となれば「円換算の金」のリターンは抑えられます。そこで、金に投資する場合は、米国上場のドル建てETF(例:GLDなど)を購入する方が良いかもしれません。有事で金が上昇した局面ではいったんドル建て利益を確定。その後、状況が安定化し、為替がドル高・円安に戻ってから(タイミングをずらして)ドルを円に換金した方が得策と考えられるからです。

<図表2:米国の航空宇宙・防衛関連株価指数>

(出所: Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年7月5日))

(3)日本の防衛関連銘柄(参考情報)

米メディアの中では、CNNが「北朝鮮が米国にミサイル脅威をもたらす、トランプ政権の対応はいかに」(4日)と題した記事でホワイトハウスの対応を迫りました。独立記念日を狙った北朝鮮の挑発行為に、トランプ大統領が静観を続けるとは考えにくい状況です。同大統領は、中国の北朝鮮に対する対応に期待していましたが、北朝鮮との関与を理由に中国内の銀行を制裁対象とするなど苛立ちもみせています。とは言うものの、武力衝突に伴う韓国、日本、米国軍(及び韓国在住の軍人の家族)に見込まれる犠牲を考慮すると、安易な決断もできないジレンマを抱えています。今後の展開を占う上では、7月7日と8日にドイツで開催されるG20サミット、米中首脳会談、米露首脳会談での朝鮮半島情勢を巡る議論や合意が注目されます。習国家主席やプーチン大統領とのディール(交渉)次第で、トランプ大統領が北朝鮮に対して強硬姿勢に出る可能性も否定できません。この場合、武力衝突による影響を憂慮し、市場は一段の不透明感に覆われそうです。日本でも、「防衛力強化」を巡る意識が高まり、業績面で恩恵を受けそうな銘柄群が「防衛関連銘柄」として注目度を高めていく可能性があると思われます(図表3と図表4を参照)。                            以上

<図表3:日本の主な防衛関連銘柄(参考情報/時価総額の降順)>

 (注:上記は参考情報であり、特定の銘柄を推奨するものではありません。予想値はBloomberg集計による市場予想平均)

(出所: Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年7月6日))

<図表4:日本の主な防衛関連銘柄(5銘柄平均)>

(注:2016年末=100とした場合の推移、出所: Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年7月6日))

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