これまでは商品先物取引におけるレバレッジや限月(げんげつ)、損益計算などについて触れてきました。
今回は国内商品先物の「取引時間」について触れてみたいと思います。
取引時間は“取引所で取引が行われている時間”ということになりますので、本稿においては“東京商品取引所で取引が行われている時間”ということになります。
以下は銘柄ごとの取引時間です。(以降すべて日本時間、24時間表記となります)
図:東京商品取引所の取引時間 ※楽天証券取扱い銘柄
出所:東京商品取引所の資料を基に筆者作成
東京商品取引所では5時30分から8時45分までの3時間15分、および15時15分から16時30分までの1時間15分の合計4時間30分を除き、1日のほとんどの時間帯で取引が行われています。ゴムについては19時で夜間立会いが終了します。(ゴムの取引時間については後述します)
未明と夕方の一部を除く1日のほとんど、つまり日本で生活する人が活動している時間帯と、欧米市場で活発に取引が行われている時間帯の両方で取引が行われていることになります。
16時30分から翌朝5時30分を「夜間立会い」、8時45分から15時15分を「日中立会い」と呼びます。
東京商品取引所の1日の取引の始まりは、夜間立会いが始まる16時30分です。夜間立会い開始後、翌朝5時30分に夜間立会いが終わり、その後8時45分に日中立会いが始まり、15時15分に日中立会いが終了します。この15時15分の日中立会いの終了が1日の終了、その1時間15分後の16時30分から始まる取引は次の日の取引、という流れです。
本日7月5日(水)を例にすると以下のようなイメージになります。
図:東京商品取引所の“1日(計算区域)”イメージ
出所:東京商品取引所の資料を基に筆者作成
現在が7月5日(水)の17時だとすれば、その時に行われている取引はすでに翌日の7月6日(木)付けの取引ということになります。上図に示したとおり、日足のチャートを見る際には、始値と終値の日時に注意が必要です。
日本時間の夕方、つまり欧州時間の始まりの時間帯に東京市場の1日の取引が始まる、ということになります。
また、以下は東京商品取引所を含めた、貴金属・石油・穀物・ゴム市場の世界の主要市場の取引時間のイメージです。(欧米市場は夏時間で記載しています)
図:世界の主な貴金属市場の取引時間
出所:各種資料を基に筆者作成
図:世界の主な石油市場の取引時間
出所:各種資料を基に筆者作成
図:世界の主な穀物市場の取引時間
出所:各種資料を基に筆者作成
図:世界の主なゴム市場の取引時間
出所:各種資料を基に筆者作成
貴金属と石油市場について、欧米の主要市場でほぼ24時間取引が行われています。穀物市場についても日本の未明(米国では現地の夕方前後)に一時取引が中断しますが、それ以外は継続して取引が行われています。
価格は世界中で起こるさまざまな事象を絶えず織り込みながら動いている、ということになります。
ゴム市場については、貴金属・石油・穀物市場と異なり世界の主要生産地域である東南アジアの時間帯で取引が行われています。上海市場では夜に取引が行われていますが、やはり1日の取引のメインの時間帯は日中のようです。
貴金属・石油・穀物は生産地が世界各地にありますが、ゴムについては生産地のほとんどが東南アジアとされています。世界において生産地が東南アジアに偏在していることが、取引時間がアジア時間に限られている一因であると考えられます。
東京商品取引所のゴム市場の夜間立会いが19時で終了するのは、東南アジアの主要取引所の一つあるシンガポール取引所の取引終了時間に合わせた結果であるように思われます。
東京市場は日中も、欧米市場で活発に取引が行われている時間帯(日本の夕方から翌朝未明)も取引が行われています。
その意味では東京市場は、朝起きて夜休むという人間の通常の生活サイクルの中で取引することも、世界のメイン市場が活発化する時間帯で取引することも、両方可能な取引所であると言えそうです。